2009年6月28日日曜日

優しさのよりどころ

バリ島へ通うようになって何年になるだろうか。

この島のこの場所が好きだからとか、食べ物が美味しいからだとか
美しい風景があちこちにあるからとか、選択肢の多いホテルが
ロケーションごとにあるからとか、リゾートだからとか、
そういったことではなくて、もちろんそんなことも
多少は理由になっているのかもしれないけれど。

リスやマカク(カニクイザル)が屋根を駆け回る音で眼を覚ましたり
小鳥達が美しい鳴き声を響かせながら谷から山の方へ移動する早朝。
夜の間に落ちた、フランジパニ(プルメリア)の花や葉を掃く竹箒の
「サッサッ」と言う音に「スラマパギ」と挨拶の声が重なる涼しい朝の風景。
神様が鎮座している、ありとあらゆる場所に毎日お供えを欠かさない
女性たちの美しい後ろ姿。
波の音だけを乗せた心地よい海風が身体をなでていく昼下がりのガゼボ。
放課後、お寺に集まり汗を流しながら必死にレゴンを練習する子供達のまなざし。
海が茜色に染まる時間が訪れると、砂浜をゆったりと散歩する村人たち。
夜、風に乗って流れてくる谷間のお寺のガムランや笛の音。

日々繰り返されるこの風景を、僕は確かめるためにこの島を訪れているのだと思う。
バリがバリであることの証を、この目で、耳で、そして全身で感じているのだ。
人として正直に生きることが、「幸せと優しさに満ち溢れる世界を創造すること」なのだと。

    

 
     



   

Santika Villas  現在は The Samaya に変わりました。

jl. laksmana,Seminyak Beach, Bali
http://www.thesamayabali.com/

2009年6月26日金曜日

美都餐室(MIDO CAFE)

香港朝食はお粥、麺、飲茶などがセオリーかもしれないけれど
選択肢の一つにフレンチトーストとインヤンティーがある。
インヤンティーとは珈琲と紅茶を混ぜたもの。
ちょっと怪しげだが、なんでも飲み込んでしまう香港の奥深さを考えると
こんなもんかるーい飲み物なんだろう。
フランス(豆はフレンチローストぽい)とイギリスが仲良く香港で
握手したようなカンジなんだろうか?味の方は飲めないことはないけど
なんとなく香港を感じるテイストというのか、そんなに感動する
ようなものではないと僕は思う。
因みに一緒にオーダーしたフレンチトーストはちょっと甘ったるいが、
インヤンティーに合わせるにはちょうどいいかもしれない。
でも揚げ油の量に女性の方はちょっと閉口するかも。

ここは「油麻地」にある「美都餐室」という、とてもレトロな九龍の風情を残す
カフェ。
道路向かいには天后廟と小さな広場があり、早朝だと近所の人たちが
太極拳などを思い思いに楽しんでらっしゃる。
2階席の方がもっと雰囲気があるのだが、早朝い時間は閉まっている。
ビルの谷間にひっそりと佇む姿は香港映画の舞台になったりしてるそうだ。
お店のおじいちゃんがとてもいい味を出してる。


左が普通の珈琲、右がインヤンティー。  お皿にどかっと載せられたフレンチトースト
日本のフレンチトーストとちょっと違うか!

  
給仕の合間にひと休みするおじいちゃん。 美都餐室の外観 雰囲気ありますよ!
       
Nathan Rd から2ブロック西に入ったところにあります。 天后廟の塀のところにある観音像
商品なのかどうかわからない。でも手に取ろうとすると、ササッと誰か飛んで来るんだろうな?
   美都餐室  63 Tenple Street Yau Ma Tei

2009年6月24日水曜日

母校



この2つの写真は僕の母校、長崎海星学園高校の卒業アルバムを撮影したものです。
建築に興味を持つ中で、僕のその後の人生に大きな影響を与えた学校です。
学校は東山手という明治の木造洋館が立ち並ぶ中にあり、隣接して1910年代の
ヴォーリズ事務所の主要メンバーであったJ.Hヴォーゲルが設計した水女学院があり、
2校ともオランダ坂を上ったところ、港を望む高台にありました。

左側の写真は学校の本部で、中に修道院(海星志願院)、神父様たちの住い、
礼拝室などがあり、僕達生徒は簡単に内部に入れませんでした。
学校のシンボルのような存在で、色々な行事がこの建物の前庭で行われました。
設計したのはマリア会のフランス人神父ヨゼフ・セネンツ。
明治30年着工 同31年完成。その後、大正7年に1フロア継ぎ足し
写真にある4階建ての建物になりました。
残念ながら平成元年に老朽化のため解体され新しい建物に生まれ変わりました。
学校へ登校してくるとこの建物が赤レンガ塀沿いに見え隠れし、その風景が
たまらなく好きでしたし、海星の生徒であることを誇りに思っていました。

右の写真の建物は中央校舎棟です。僕は随分後になって知ったのですが、
設計は早稲田大学の故吉阪隆正先生です。
先生はフランスに留学中ル.コルビジェと出会い、彼の事務所で2年間働き
帰国された後、1957年にこの校舎を設計され1959年に完成しています。
なんでも海星の姉妹校である東京の暁星学園の卒業生という縁で白羽の矢が
たったと聞いています。僕は1年生の間この校舎で学びました。

窓はモデュロールで割付された木製で大きな開口部があり、南山手の大浦天主堂や
グラバー邸がガラスの向こうに見えていました。廊下の端部にはロンシャンの教会の
ように小さな開口部が穿たれ、ガラスが嵌め込まれていました。普通の学校の校舎
とはすこし趣の違う校舎で、今思えばコルビジェのテイスト満載の建物で
学生時代を過ごしていたことになります。
すごい環境で学んでいたんだとあらためて驚いています。
他にも明治時代の木造洋館の中等部寄宿舎(全寮制)などがキャンパスに
点在していました。

今年の夏、学校の許可を得て、この中央校舎の内部を見学させていただくことに
なりました。あの頃を思い出しながら校舎を散策できる喜びを一人かみしめています。
見学の報告はまたその時期に、長崎の風景とともにブログに書きたいと思います。

2009年6月21日日曜日

ヘルシンキ中央駅

旅をする度感じるのですが、ヨーロッパの鉄道駅は
どこの国の駅舎も趣があり、美しい姿をしている。
空港も同様の事が言えるけれど、プラットホーム、
駅で働いている人、発着表示ボード、行きかう人々
売店、レストランなど、その国らしい空気を肌で感じ
ああ着いたんだなあと実感する何かがある。

日本の代表的な駅舎ではレンガ造りの旧東京駅ぐらいのもので、
現代建築の駅舎は別にして、他に印象に残る駅がとても少ない。
その東京駅もオランダ アムステルダム駅を参考にして
作ったといわれているし(本当によく似てますが、あちらの方が
さすが本家本元で重厚な佇まいです。)
隣国と地続きの国境で向き合っているヨーロッパは
物流や民族の往来が激しいせいか、
その国を最初に知ることになる駅舎は
国の威信を誇示する場所として重要だったのだろう。
ミラノ中央駅にしろ、ローマ テルミニ駅、パリ北駅、
サンラザール駅、リヨン駅など美しい駅はきりがない。

フィンランドの首都ヘルシンキにある「エリエル サーリネン」
設計のヘルシンキ中央駅。設計1904年 建設1910年~14年
フィンランド国民的ロマン主義の作品。
コンペ当選案のクラシカルなデザインを 若い建築家達がかなり批判したらしく、
サーリネンはそれを聞き入れ 現在のコンクリート造りの建物になったらしい。
のちに彼はアメリカへ移住し、クランブルック美術アカデミーの校長となる。
ここから息子のエーロサーリネンやイームズ夫妻(当時はまだ結婚していなかった)
などの優れたデザイナーや芸術家が生まれる。

アールヌーボーのデザインが随所に見られ、駅正面のガラス開口部から
こぼれれ落ちる光と影は温かく美しい。


ホールは左側がカフェになっています。右側は切符の発券売り場。
けっこうのんびりしてます。
     
天井部分や柱のデザインが時代を彷彿させます。でも行き届いた
維持管理してある様子がうかがえます。
プラットホーム。当初のサーリネンの設計にあったガラスのプラットホームが
2000年に現代風にアレンジされて復活した。

2009年6月20日土曜日

八月花


香港の九龍半島新界にある「八月花 ジャスミン」という
ヌーベルシノワ風のヘルシーな広東料理を出すお店。
地下鉄、KCR、九龍塘(カオルーントン)駅に直結した
ショッピングモール又一城(フェスティバルウォーク)内
にあります。

雑誌にとても美味しそうな写真が掲載されてたので
どうしても食べに行きたいと2年越しに思ってました。
週末だけどそんなに混み合ってないだろうと
安易に考えて夕食を食べに出掛けました。
ところが行ってみると予約で満席!
それでも次から次へと、予約していない
お客さんが押し寄せる。
ここまで来てそのまま帰るのも悔しいから
順番待ちをすることにしました。
ショッピングモールをうろつきながら
待つこと1時間30分。やっと名前を呼ばれました。

食べ物専門のブログではないので詳しい料理内容は書きませんが、野菜を
スープ状にして味付けをし、蝦のすり身を入れたとてもヘルシーな料理。
後ろは落花生を炒めたもの。滋養があってさっぱりして美味しい。

牛肉と芯菜の炒めもの揚げにんにく添え。
薄味です。後ろの料理名ちょっと失念してしまった。

ヘルシー点心、甘くないエッグタルトも入ってます。

蟹身とその卵のあんかけ麺
薄味でこれは本当に美味しかった!


デザートはシノワ風のクリームブリュレ
マンゴー味、中華風クレープ、ココナッツ
アイス。お茶はもちろんジャスミン茶。


普通の香港人はそんなにヘルシーな
新広東料理を食べていないと思ったのです。
どちらかといえばお粥や麺を惣菜と一緒に
食べてるイメージが強かったのでちょっとびっくりしました。
香港料理大賞で賞を取ったこともあるらしいのですが、
ここら辺りは高級住宅地のせいでしょうか、皆さん
けっこう健康に気を使ってらっしゃる。
黒ウーロン茶片手にではダメなようですね!



2009年6月19日金曜日

メトロ デル マーレ

ここのところ暑い日が続いているので 少し気休めに海の話題を。話はちょっと長くなりますが。

南イタリア、ソレント半島の主要な都市を巡る 「地下鉄!?」を紹介します。

ソレント半島と言えばナポリ民謡「帰れソレントへ」に歌われるように

風光明媚な場所として世界的に有名です。

そんなところに地下鉄?と驚かれる方も多いと思いますが、

本物の地下鉄が開通したわけではありませn。

春から夏の間、「メトロ デル マーレ」と呼ばれる船が

ナポリからソレント、ポジターノ、アマルフィー、と寄港しながら

サレルノまで一日何便か運行します。

運営しているのはナポリ市。これが結構いい船旅なんです。

2時間30分くらいですが、ソレント半島やカプリ島、イスキア諸島を

眺めながらのクルージングは最高に気持ちいいです。

本当に「サンタルチア」や「帰れソレントへ」などを口ずさみたくなります。

何故「メトロデルマーレ」と呼ばれるのかよくわかりませんが、

そんなことなんかどうでもいいのです。

とにかく潮風が気持ちいし、海がマリンブルー、

点在する街はパステルカラー。夢のような世界です。


ナポリを出港。港には地中海クルーズの大型客船が停泊しリゾート気分を盛り上げてくれます。

すこし走ると左手にベスビオ火山、ポンペイの町が見えてきます。

最初の寄港地はソレント。街自体はこのがけの上に広がっているため、

船からは全貌は見えませんが、夏の間はリゾート客でいっぱいです。


トンネルとか階段でビーチまで降りることができます。写真の右側にビーチがあります。


次の寄港地はポジターノ。タイル張りのクーポラが美しい教会が海岸に建ってます。

民家や、別荘、ホテルは崖にへばりつくように建てられています。

形は違うけど僕のふるさと長崎のようです。

この辺りは映画やTV,コマーシャルでよく見かける風景です。
乗船していた人たちの半分ほどがこの町に滞在するために下船します。 船着場のすぐ横が海水浴場になっています。 小さな漁船もいて、獲りたての食材を供給しているようです。 港へ入っていく豪華水中翼船。ポジターノに別れを告げ次の寄港地 アマルフィーへ出発です。 アマルフィーに到着しました。この町は中世の頃から造船、 海運で有名な町です。名前の響きも良いですね。 なんだか本当にセレブが似合う町です。 今、アマルフィーを舞台にした邦画やってませんでしたっけ? しかし陸路でこのあたりの町を訪ねるのはけっこうスリリングではないでしょうか。 断崖絶壁の狭い道路を対向車に気をつけながら運転しなければならないから 景色どころではないでしょう。 この町で大半の人が降りてしまいます。 船には色々な人がいてポジターノに泊まってアマルフィーに遊びにいく人 ソレントからアマルフィーに行く人など、皆さんバカンスをエンジョイしてます。 アマルフィーを出港すると20分程度でサレルノ港へ到着します。 この港で下船する人はほんの一握りでした。 僕達はサレルノの町をぶらぶらしながら駅まで歩き、 ナポリ行きの電車に乗って帰りました。 船賃は確か片道21Euroだったと思います。 このメトロ デル マーレの詳しいことを知りたい方は http://www.metrodelmare.com/へアクセスしてみてください。

2009年6月17日水曜日

ミラノ da Doriade ショップ

イタリア ミラノにある「ダ.ドリアデ」社のショップ
外観は古い建物なのですが、お店の中は
古さとモダンが混じりあった独特の雰囲気。
カッシーナほどのシャープさはないですが
温もりを感じる家具が多いです。

この写真は何年か前に訪れた時のものなので
今はまったく異なったディスプレイになっていると思いますが、
色彩コーディネートはいつ見てもすばらしい!
僕らにはなかなか真似出来ない美しさがあります。

いつだったかサンフランシスコのダウンタウンにある
「ガンプス」というインテリアショップを訪れた時も
独特の色彩感覚に驚きましたが、このショップは
イタリア人ならではの感覚と計算された美しさが
みごとにマッチして、どこを見てもうなるばかり。
すぐ近くにモンテナポレオーネ通りというブランド街が
あるので、ミラノセレブ御用達のショップであることは
間違いない。

あまり広くない入口を入った横のスペース
   
お店はぐるりと回遊できるようになってて小物、寝室、キッチン、リビング
中庭、ガラス製品などを見て購入できます。
   
コーヒー豆を敷き詰めたテーブルコーディネート 
         
こちらはヴェネチアンガラスのコーナー。とても手が出ないお値段ですが、
見てるだけでも楽しい。オレンジの部屋の向こうにライトグリーンのスペースが
上手いバランスで見えてて、思わずそちらに足が向いてしまいます。
         
以前分譲マンションの設計をしたとき、モデルルームも
デザインさせていただいたことがあるのですが、
ドリアデの家具、おもいっきし使わせてもらいました。
気持ちよかった!