2009年10月29日木曜日

「プリザーブドフラワーレッスンのご案内」


今日はスタジオクランツォ ギャラリーでの催しのご案内です。

大人気のプリザーブドフラワーを使ってミニブーケを
作るレッスンを行います。

プリザーブドフラワーとは、生花を特殊な液に浸すことによって
生花のみずみずしさを保ちつつ、長期間楽しんでいただけるお花です。

ミニブーケはラッピングまでしますので、そのままギフトにもなります。

初めての方もお気軽にどうぞ!


日時
① 11月8日(日)  午前11時~午後12時30分
② 11月15日(日) 午前11時~午後12時30分

持ち物
ワイヤーの切れるハサミ(なければお貸しします)
持ち帰り用袋

レッスン代
4,500円(材料費込み)

レッスン場所
大阪市北区曽根崎新地2-5-5
スタジオクランツォ ギャラリー

お問い合わせ・お申し込みは下記までメールでお知らせ下さい。

kayumanis128@aol.com

 

2009年10月27日火曜日

なにわの治ちゃん


色々な方から僕は居酒屋みたいなところへ行くイメージがないとよく言われます。
いえいえ私も行きます。ただお酒があまり飲めないので、食事をメインにした
お店に時々おじゃまします。

僕のとっておきのお店を紹介します。中津にある「味匠 なにわ」という和食屋さんです。
もうかれこれ15~6年くらい前から通ってます。常連といっていいのかどうかわかりませんが
行かない時は3ヶ月も4ヶ月も空けるので、自分だけがそう思ってるだけで
ホンマに常連と思われているかどうかわかりません。
でも15年もつき合ってると互いの人生の出来事を色々知ることになり、
他人とは思えぬ感情も湧いてしまいますし、この店で色々な人と知り合ったり
たくさんの人を紹介したり。。。だからここに食べに行くぞ!という感じじゃなくて
ぶらりと立ち寄る感覚なんですが。

お店の主は「治ちゃん」
実をいうと彼はけっこう凄腕の料理人で、先だってのミシュラン京都、大阪版で
三ツ星を獲得した京都「菊の井本店」で修行し、京料理に貢献した功績で
京都市長から表彰状なんかももらっちゃったりしてる人です。
ワイン飲んでる顔はそんな風には見えないかもしれないですが。
美味しいワインが飲みたくなると、食べに来ないのかあと連絡があります。

ただ彼の味覚、嗅覚の凄さは半端じゃなく、さすがプロやなあと思うときが多々あります。
その感覚をテストするのが楽しみで、店へ行くときは彼が飲むための赤ワインを持参します。
「食べにいくで~」と電話しておくと赤ワインに合った料理を用意しておいてくれるのですが、
まずブラインドテイスティングで葡萄の種類、国、生産年を当ててもらうのが慣わしになってます。
年代まではさすがになかなか当たりませんが、種類と国については結構当てるんです。
わざとちょっとマニアックなワインなんかを持っていったりするのですが、しっかり当ててしまいます。
満足そうな顔でワイン飲んでるでしょう?
僕はグラス一杯だけいただいて残りは彼と他の常連さんが飲み干してしまうことになりますが。


最近は手の込んだ料理を食べてくれる人が少なくなっておもろないと嘆いていますが
これからの季節、すっぽん鍋、てっちりやしっかり漬かった鴨ロース、里芋饅頭など
お奨めですが、定番ではないので前もって言っておかないと材料を用意してませんので念のため。
お値段も居酒屋さんレベルですのでよろしければ一度行ってみてください。
事務所では新年会や忘年会によく利用します。


味匠 なにわ  大阪市北区豊崎4丁目2-11-105
電話 06-6372-0840 
定休日 日祝

予約された方がベターだと思います。

2009年10月18日日曜日

一人泣いた建築

最近、東京で共に土地探しから考えたいというお客様や
岡山県からは私どもの作品に興味があるので作品集を送って送って欲しいという方、
最近完成した住宅のクライアントからは別に新しい住宅を検討したいなど、
住居系の問い合わせが増えてきた。本当に有難いお話で大変感謝しております。

そんな中、あるプランを考えていくうちに、はたして自分は設計の中身にどれだけ
真剣に向き合っているのだろうか?と考え込んでしまった。
打合せで要望などをお聞きし、そのことを考慮しながら設計してるつもりになっているだけで、
深い考えや工夫もなく安易に提案をしているのではないか?

設計者の思いばかりを前面に出し、クライアントが求められていることを設計に
きちんと反映していないのではないか?そんなことを考えながら、
いつもはスタッフが作ってくれるプレゼン模型を久しぶりに自分で作り始めた。
週末の終電間際にやっとその模型は出来上がり、じっくりと眺めて思わずハッとしてしまった。
真剣に悩み考え、試行錯誤した痕跡が見つからないのだ。

こんなプラン提案出来るわけがないと思い、あらためてプランを練り直すことにしたのだが
その時思い出したのがアルヴァロ・シザ・ヴィエイラが設計したマルコ・デ・カナヴェーゼスに
建つ「サンタマリア教会」だ。
 
  
ポルトの街から電車を乗り継ぎ1時間30分程でマルコ・デ・カナヴェーゼス駅に到着する。
見ての通り小さな駅で駅前からのバスもない。運よく客待ちのタクシーが待機してればよいが
いなければ乗降客は自家用車で迎えにきてもらうか、公衆電話に貼ってあるタクシーの
携帯番号に電話することになる。僕は運よく駅へお客を乗せてきたタクシーを拾うことが
できたけど。

 
駅から10分程走ると丘の上に建つ教会に到着する。
白い塊を彫刻刀で大胆に削りだしたようなフォルムだが
教会内部は心を奪うような豊かな空間が存在する。
見学者は私一人で朝早く到着したものだから、見学開始まで1時間もあり
別棟の管理室にいらっしゃる神父様に少し早く開けてもらえないか
お願いしたのだが、「規則だから1時間待ちなさい」と言われてしまった。

 
朝の澄んだ空気の中、その場所にいることだけでも満ち足りた気持ちだった。
教会の向かって左側の塔にある開口部に光がさす。
この光が後程、感動を呼ぶことになるのだが。

  
やっと開場時間が来て中に入ることができたのだが、見学者はもちろん僕一人で、
神父様は「ゆっくり見ていきなさい」と声を掛けれら控え室に戻って行かれた。

内部空間は静寂で高い天井のハイサイドライトから柔らかな光が零れ落ち、
シザ自身が心を込めてデザインした十字架や、整然と並べられた木製の椅子が
静かに祈りの主たちの訪れを待っていた。

  

辺りには洗礼室の大理石の器から滾々と湧き出る聖水が流れ落ちる音だけが響き、
言葉では言い表せない神聖な空気が漂っていた。

洗礼室に近寄り、その器の写真を撮って吹き抜けの上部を見上げた瞬間、
理由もなく涙がボロボロこぼれてきて嗚咽を漏らしてしまった。
そこにはキリストが民に祝福を与えているシザ自身のドローイングが描かれており
ハイサイドライトから差し込む光の反射が、キリストの身体と祝福を受ける者の
身体を貫通していたのだった。なんと美しく崇高な空間なんだろう。
あまりの感動で涙が止まらなかった。

この光と洗礼室の場所は偶然ではなく、シザ自身が熟考して考えた開口部と
ドローイングの配置だろう。これが本当の建築なんだと心の底から思った。
色々な細工やデザインをしなくとも本当に必要なものを配置するだけで
こんなにも感動する空間を作ることが出来るなんて、あらためてシザは
すごい人建築家なんだと実感した。

この建物が完成するまでに6年の歳月が流れている。58歳くらいから計画を始めたようだ。
完成までの間、彼は悩み葛藤し続けたのだろう。その痕跡に僕は感動し涙したのだと思う。
教会から駅へ向かうひまわり畑の田舎道を歩きながら、シザのすごさに身震いした。

建築は感動を与えればよいというものではないだろうが、少なくとも悩み続け、あらゆるものとの
葛藤を経た上で、納得できる建物を作らなければならないとしみじみ感じたのだった。

もう一度初心に戻り、必死で考えよう人は悩み苦しむために生きているのだから。

2009年10月12日月曜日

二次会


昨夜、知人の結婚式の二次会が神戸ポートピアホテルで開かれ友人と出掛けた。

新郎は「上方オペラ工房」に所属するオペラ歌手。
新婦は大阪西区の知る人ぞ知るオリジナルメガネ工房のお嬢さん。

二次会という名目にはなっていたが、新郎が新婦と招待客へのプレゼントにしたくて
「上方オペラ工房」や音大時代の友人達によるオールスターオペラ歌手結婚お祝いの会になった。

歌手全員によるプッチーニの「トゥーランドット」で新郎新婦の入場が始まり、椿姫の「乾杯の歌」や
新郎を含むテノール歌手全員が「オーソレミオ」を新婦にプレゼントするなど次から次へと
名曲を歌手達が歌いつぐ。そのつなぎ方も本当にオペラが上演されているような間のとり方で
まさにプロだなあと関心することしきり。

その間にテレビアニメの主題歌をオペラ風に合唱したり、恩師のご夫婦がご主人のピアノ伴奏で
奥様がシャンソン「愛の賛歌」を歌われるシーンもあったりして大変盛り上がり、
いままでに経験したことのない素晴らしい二次会であった。

さすがに歌い手が全員プロなので聞いてるほうも心地よく、目の前で色々なオペラを合体したような
とても楽しい会だったが、歌手の皆様 披露宴、二次会とかなり歌われたと思いますが、
本当に聞きほれました。ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

新郎のKさん、奥様への最高のプレゼントになりましたね!ブラボー!

新郎も出演されるオペラが下記の日時上演されます。
ご興味のある方はどうぞ!

11月15日(日曜日)14:00開演 豊能町立ユーベルホール 演目プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」
チケットはホール、各プレイガイド発売してます。

2010年1月7日(木曜日)18時開演 西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
         「具体 x カルメン x AU 」 が上演されます。
チケットは「チケットぴあ」でお申し込みください。




2009年10月10日土曜日

恩師との再会


先日、長崎の中学時代の恩師から近々に関西へ行くので会えないかと
ご連絡をいただき、昨日なんと41年ぶりに再会することができた。

昨年、私的なことで卒業以来始めて連絡をいただき、あの頃とまったく変らぬ声で
「ガマ君」と呼ばれ無茶苦茶緊張したことを覚えている。
中学時代いつの頃からか僕は「ガマ」と呼ばれるようになった。

僕は中学2年の夏まで美術部に所属して油絵を描いていたのだが、
ある夏の日の放課後、デッサンをしている教室の窓の向こうで男子バレー部が
汗と土にまみれながらボールを追いかけていた。
親友がバレー部に所属していたのだが、その彼が絵を描いている僕を見つけ
2年生が8人しかいなくてチームが組めないから入部しろと誘ってきたのだった。
古い話で恐縮なのだが、その当時中学のバレーは9人制で前衛、中衛、後衛に
わかれ各自ポジションを変更することはなかった。

何故その時「いいよ!」といってしまったのかわからないけど、翌日から
僕はバレー部に所属することになって中衛というポジションを与えられた。
しかしいきなり運動部に入ったものだから、初日の練習が終わる頃には
手足は擦り傷だらけ、筋肉痛で足が上がらず親友達に引きずられて
なんとか家にたどり着いた記憶がある。

恩師はそのバレー部の監督で、前年「長崎大学」を卒業され教師になられた。
最初の赴任校が僕達の中学だった。監督最初の年、僕らの1年先輩達は
長崎市の体育大会で優勝して恩師は同僚からすごいことだと言われたらしい。

翌年、僕らは身体も小さくあまり期待されていなかった。案の定1回戦でボロボロに
負けたのだが、なんと敗者復活戦で勝ちあがり本命に圧勝してとうとう優勝してしまった。
おまけに県大会でも優勝してしまい九州大会まで出場した。
そんな優勝チーム今までなかったらしく、恩師は一躍注目の人となってしまった。
そのことが思い出深かったのかいつまでも覚えてくださっていた。
奥様にも1度だけ高校1年の時、結婚されたお祝いにチームメイト全員で新居に
ムリムリ押しかけ、お会いしたことがあるのだがその時以来の再会であった。

本当にお元気そうで素直に嬉しかった。ハリのある声も昔のままで懐かしく
当時のチームメイトの名前を書かれたメモを持参され、一人一人の消息を
尋ねられた。9人のほとんどと今でも交流があり、それぞれ活躍していると
伝えると、とても嬉しそうにされ何度もうなずいておられた。

先生、奥様いつまでもお元気でいてください。
お会いできたことチームメイトにちゃんと伝えますから。
あのときの負けん気があったからこそ、なんとかやってこれました。
先生、本当にありがとうございます。

写真、ブログに載っけちゃいましたけどいいですよね!


2009年10月1日木曜日

高価な食事


私は食事というものに対して貪欲だと思う。どんなに遠いところだろうが
不便なところだろが料理人が素晴らしい食材と培った技術を使い
丹精を込めた食べ物を提供している店に行くことに労を惜しまない。
ある意味それは高価な食事と言われるものかもしれない。
高価というのは値段が高いという意味ではなく
そこに費やされる食材探しの時間や料理人の長年にわたる技術や経験の
蓄積に対する評価ではないかと思う。

料理人と同じ職人気質である「設計」という仕事を生業としているからこそ
心底理解できるもので、それが決して単なる金銭的に高価な食べ物だとは思わない。
もちろん利益を追求する為に店構えを立派にしたり豪華な内装を売りにしている
高級と呼ばれる料理店もあるのは間違いない。



本来、その季節にしか捕獲又は収穫されない素晴らしい食材はことのほか少量で
当然高価になる。旬といわれるものだが、人工的肥料を使ったり季節に関係なく
収穫される食材と比べると体にとって遥かにパワーがあり、滋養もあると思う。
その食材を手間と時間をかけて調理し美しく盛り付けた料理をいただく。
それは一種の天然の薬ではないかと思う。それがすべてではないだろうが
お蔭様で私は40年以上病院で治療を受けたことがない。
多少の風邪は引くことがあっても医者にかかるような大事になったことはない。
それは食べ物のおかげだと信じている。もちろん日々そんな高価なものを
食べているわけではないし、お金も持ち合わせていない。


しかし満足度の高い食事の回数を増やすことが出来れば、精神的にも肉体的にも
豊かになり、本来人間が持っている自浄能力を発揮できるのではないかと思う。
入院したり手術したりお医者様にお世話になる頻度を少しでも軽減できることになれば
高価な食事をすることは決して無駄や浪費ではないと思う。

料理をいただくという行為の中に存在するあらゆる出来事や事象を推測し
そして味わい、その後に訪れる至福の時間を有意義に過ごす。
それを独り占めすることなく、同じ考えを持つ人と分かち合いたい。
そして料理人を囲いその食材、料理に関する薀蓄を聞きながら共有する
時間や空間を持つことこそ人生を豊かなもにするのではないだろうか。


写真は設計、店舗デザインを担当した豊中市にある「ラ メゾン ブランシュ」
南フランスの優しい料理とシェフのエスプリの効いた会話が楽しめる
上質フレンチレストラン。