2009年9月22日火曜日

北国街道 木之本(食文化編)


北国街道は若狭、北陸と京都を結ぶ道。
日本海の美味なものがこの地に集まらないわけがない。
また、琵琶湖で獲れる魚を美味しく調理する技法が発達した町でもある。

まずは若狭の鯖などを使ったすし料理店「すし慶」。
ここの鯖寿司はその時期上がる良質の鯖を日本海に限らず取り寄せ
素晴らしいすしをつくる。鯖は肉厚で臭みがまったくない。
京都の老舗「千鳥酢」、能登珠洲の天然塩、北海道産の「黒昆布]、米は近江米を使用。
酢飯に実山椒が入っており、独特の風味が食欲をそそります。
鯖のほか若狭の小鯛や金目鯛を使ったすしもある。

「すし慶」の店構え。店内にはよく手入れされた庭があり、
季節のしつらえが美しい和室がある。
下の写真は「すし慶」で買い求めた鯖寿司と金目鯛寿司。
金目鯛は皮を軽く炙ってあり、身の甘味と香ばしさが絶妙です。
これを富田酒造の純米吟醸酒「七本槍」なんぞで1杯やれば
いうことなし!でしょうが、私は残念ながら飲めません!

9月17日から「なんば高島屋」で毎週月曜、金曜定期出店販売してます。
9月23日~29日まで「うめだ阪急」美味探訪10階催場にて販売。
鯖寿司、金目鯛寿司とも1本3,775円です。鯖寿司はハーフサイズもあります。

   
さて次は余呉湖の湖畔にある熟れすしの名店「徳山鮓」さん。熟れすしを作らせたら
日本一といわれ、全国からその味を堪能しに来られる方が引きもきらず、
予約オンリーの鮓店です。残念ながら今回は時間の都合がつかず予約を
しておりませんでしたので、当然食べられません。
お店だけを見せていただきました。

このお店の対岸に以前発酵研究所があり、そこの所長をされていた
発酵食品の研究であまりにも有名な東京農大の小泉武夫先生から
指導をいただいて熟れすしをつくられるようになったとか。
鮒以外にも鮎、秋刀魚、鯖など色々な熟れすしを作られています。
余呉湖で獲れる鰻の素焼きなども絶品らしいですよ。
この鮓店は近いうちに絶対食べに来たいと思ってます。
テラスに座って余呉湖を眺めながら鮒すしが食いて~!

お持ち帰りで鰻茶漬け(1,500円)などもあります。
うめだ阪神百貨店に売ってるらしいです。

ちなみに「鮨」「鮓」「寿司」の違いわかりますか?
ヒント関東のすし店は「鮨」をよく使い、関西は「鮓」が本場らしいです。


本日最後の品はよみうりテレビ「秘密のケンミンSHOW」で有名になっちゃった
一部滋賀県人の大好物「サラダパン」。パンにサラダが挟まってるわけではありません。
中身はたくわんの千切りをマヨネーズであえたものをパンに挟んであります。

つるやパンという木之本のお店に山のように積まれていますが、あっという間に売れてしまいます。
テレビで有名になってしまったせいか、観光客がお土産にまとめ買いをするので
すぐに売れてしまいます。他にもキナコ、シナモン、プレーン、ガーリックトースト味の
ラスクなどもあるのですが、美味しいです。

サラダパン試しに1つ買って食べてみました。
おそるおそる口に入れてみると、たくわんの
あの味と香りが広がるのかと思いきや予想外の
まったく違う味でした。

キャベツのコールスローをコッペパンに挟んで食べてるかんじで
素直に食べれます。普通に美味しいかも。
ある意味ホッとしたけど、ちょっと期待ハズレがしないこともないかな。。。

つるやパン製造 サラダパン1個130円です。 ヨロシク!
「鮨」は古い言葉の意味は魚介類を塩を使って塩辛にしたもの。
「鮓」は米、麹などを使い乳酸発酵させたもの。熟れすしのことで「鮒すし」など。
「寿司」は江戸時代の縁起かつぎの当て字です。
もともと「酸し」から来ているようです。
江戸前の海で獲れる魚介類を使ったファーストフード的な鮨が出来るまでは、
大阪の押しすしや熟れすしが中心だったようです。





北国街道 木之本(町並み編)



昨日、所用があり滋賀県の北部木之本町へ出掛けた。
連休中ということで車で行くには相当な時間がかかるだろうなと
予測はしていたのだが、たっぷり4時間程かかってしまった。

木之本は20年程前、この町の東を流れる高時川上流へ
フライフィッシングという渓流釣りにきて以来で、
正直その当時は釣りの事しか頭になく、町は通り過ぎるばかりで
町並みの風情などほとんど記憶にない。

今回は釣りに来た訳ではないので、あらためてゆっくりと
古い町並みを眺める機会を得た。
この辺りは「北国街道 木之本宿」の街道筋。
古くから造り酒屋や醤油醸造が盛んなようで
今でもそんな建物が現役で頑張っている。
   
懐かしい赤いポストが傍にある建物は「山路酒造」さん。
軒先には杉玉が下がっている。470年くらい前から酒造りをしている
日本で5番目に古い酒造屋さんだそうです。
  
このあたりの「うだつ」はとても直線的で特徴があるなあと上を見ながら歩いていると
すごい看板がぶら下がっている商家を発見した。
  
古い薬屋さんの玄関先にずらりと並んだ看板は趣があり、ある意味迫力があります。
この薬飲んだら病気もすぐに治りそうな気がします。中には「浅田飴」や「中将湯」
などの看板もあります。
  
色鮮やかだった頃は「錦絵」のようで美しかったのではないでしょうか?
僕が子供の頃によく見かけた長崎の「おくんち」に来る見世物小屋の
看板絵みたいな少し「おどろおどろしい」雰囲気がちょっとノスタルジックで
懐かしい(いつの頃の話!?)感じがします。

こちらは清酒七本槍で有名な「富田酒造」さん。店の横には看板が立っていて
この家の歴史が書かれています。やはり450年程前からお酒を造っていたようです。
年間250石しか生産していないので、一番美味しい吟醸酒はほとんど地元だけで
消費されてしまうそうです。酒蔵の見学をお願いしてみたのですが、残念ながら
見学会等はしていないとのことでした。この母屋は1744年に完成したらしい。
15代目の若い当主は大阪の「Graf」などで新酒会などを開いているようです。
  
横丁の奥まで続く酒蔵。店内のでディスプレイスペースにあった
ガラス絵らしきロゴ。味があります。
    

富田酒造からほど近い造り醤油屋さんの建物の前に面白い張り紙があった。
思わず口元が緩んでしまいシャッターを押してしまった。

他にも面白いものが色々あり、僕的にはもう一度来たいと思う。

帰り道高速を使わず、さざなみ街道という琵琶湖沿岸を通る道を
大津まで走行したのだが、湖北地方はまだまだ自然に恵まれ
美しい風景や動植物の宝庫で、これからも時々訪れることになりそうだ。



2009年9月20日日曜日

紺碧色の空

  

    
この写真、日曜の昼下がり事務所がある建物の最上階に上がり
北向いにあるハービスプラザとブリーゼタワーを写したもの。
あまりにも空気が澄んで穏やかで、雲ひとつ無い「紺碧色の空」が大阪の街の上に
広がりなんだかとても幸せな気分になってしまった。

日曜日、仕事を片付けるために事務所へ出掛ける途中、空を眺めてみると
すがすがしい空が一面に広がっていて行きかう人々すべてが
幸福に包まれているように感じてしまった。

時々思うんです。どんな時に人は本当に幸せって感じるんだろう?って。
何か特別な願い事が叶ったり、人生を不自由しないほどのお金が手に入ったり
好きな人と結婚出来たり、もちろんそんなことも幸せって感じるものの一つかも
しれないけれど、僕はもっと身近の本当に些細なことに一番幸せを感じているような気がする。
それは身の回りの自分と自然にかかわることが多いのではないかと思います。

今日の大阪の空のような日、もっとたくさんあればずっと幸せでいられるかもしれない。

因みに「空色」、「青色」、「蒼色」、「群青色」、「紺青色」、「紺碧色」の違いってわかりますか?
今日の空の色は僕には「紺碧色」に見えましたが、皆さんはどんな色に見えたでしょうか?
言葉で表現することは難しいですが、日本の伝統色等カラーチャートで
確認してもらうと大変うれしいです。「蒼色」は伝統色ではありませんが。

日本の伝統色 www.colordic.org/w/   





2009年9月13日日曜日

まつ本と嘉瑞(かずい)



タイトルは私がよく行く2軒の鮨屋の名前です。
昨夜食べた鮨の余韻があるうちに伝えたいこと書いてしまわなければ。。。。

「まつ本」は阪急苦楽園口に「嘉瑞」は梅田老松町にあります。

鮨が大好きな方でしたらご存知だと思いますが。
どちらかと言えば新しいお店かもかもしれません。しかし名店だと思います。
名店と呼ばれるには美味しいということだけでなく色々な理由があると思います。

「まつ本」さんを知ったのは「あまから手帳」です。
僕の眼を引き付けたのは輪島塗のつけ台に載せられた鮨の美しさです。
こんな美しい鮨を握るお店だから絶対に美味しいに違いないと
電車を乗り継いで苦楽園口まで出掛けました。

もともとお父さんが西宮北口で鮨店を開いてらしたそうで
彼は二代目らしいですが、父親のお店を継がず自分の店を出したそうです。
父親のお店以外で修行したことはなく、ほとんど独学のようです。

お店は駅から歩いて10分くらいのところにあるのですが
大将の「松本純」さんはびっくりするくらい若くて、学生時代は相当「やんちゃ」らしかったそうです。
最初にお会いしたときは少し怖いくらいで腹の据わった男気のあるような印象でした。
でもお話をするうちにとても優しくて、この人の「鮨」に対する拘りと造詣の深さそして思慮深さと
寡黙さは本当の職人(建築家も含め)にしかない「カリスマ性やオーラ」があるように感じます。
いい魚が入った時の嬉しそうな顔は子供みたいだし、魚、お米、酢に対する研究心は
生半可ではない。最近やっと納得のいく米が見つかったけど「酢」はまだまだ決まらなくて
色々試している最中とのこと。
場所柄口が肥えたお客様が多いと思いますが、思わず口元が微笑んでしまうような
素晴らしい鮨を握ります。
まだ若い鮨職人なのでこれから熟練しますます楽しみになります。

 
写真は「まつ本」さんがお奨めしてくれた東京の浜松町にある「宮葉」という
最後の江戸前鮨職人と言われる大将が僕らのために握ってくれた鮨の 表と裏の違い写真。
どちらが裏表かわかりますか?
松本さんはこの店に開店時間の5時半に来て大将の仕事をみてていいですかと尋ねて
許しが出たのでそのまま閉店まで店の片隅でこの名人の仕事をずっと見てたそうです。
因みに写真は左側が鮨の正面(表)右側が裏側だそうです。

一方「嘉瑞」は東京の名店「あら輝」で修行をし4年前に老松町にお店を開いた方。
今年の大晦日で店を閉めます。修行していた「あら輝」が銀座に移るため
世田谷にある現あら輝の店舗を譲り受けあらためて来年3月にオープンします。
オープンの日は大阪の常連さんたちが押しかけることになってて今から予約で満席だそうです。
それほど人々を魅了する鮨を握ります。
そして閉店まですべて予約で埋まっている為、ここのところお店の外灯も点けず営業されています。

このお店はよく食べに行く新町のイタリアン「ギャロワーズ」のオーナーシェフ「武さん」に
い鮨屋があるから食べに行こうと誘われ、それも「予約が取れるのが2ヶ月くらい先だから
忘れんといてね山口さん」と言われ「えっ!そんな先なん?」というくらい食べに来る常連さんが
次の予約して帰るからなかなか予約が取れない店でした。
僕も食べた帰りにしっかりと次の予約をして帰りましたが。。

ここもまた師匠譲りの頑固さで本当の江戸前鮨を握っていらっしゃいます。
鮨ネタはほとんど築地から入れてるそうですが、東京で店が開けることで
何よりも一番嬉しいのが築地へ行って自分の目で選んで魚が買えることだと話されてました。
赤酢のシャリに特徴があり、摘むときは型崩れせず、口に入れたらほろほろと崩れていく。
昨夜も4人で出掛けていたのですが、一品一品に感動しきり。
最後に出る穴子とかんぴょうの巻物(有明産の海苔がただものではない)なんか
あまりの美味しさにカウンターに座ってるお客さん全員が眼を閉じ「うーん」と唸ってたそうです。

関西の数少ない本格的な江戸前鮨店が閉店してしまうのは残念ですが、「まつ本」さんに
がんばってもらうしかないなあ。
大阪からは少し遠いですが是非探して出掛けてみてください。
夜のおまかせコースがお奨めです。

「嘉瑞」さんも来年3月には世田谷区上野毛にオープンしますから東京へお出かけの際は是非どうぞ!


あらためてオープン告知はいたします。







2009年9月10日木曜日

閑谷学校(光と影編)



今週火曜日、草刈が済んだ敷地調査の為牛窓へスタッフと出掛けた。
あまりにも天気がよく大阪出発も早かったので、予定より早く牛窓近くまで来てしまった。
仕事が済んでから近くにある閑谷学校(しずたに)へ見学に行こうかと思っていたのだが
せっかくだから先に見ていこうという事になった。

閑谷学校についてはスタッフの誰かがブログに書きそうだし、いや書いて欲しいのだが。。

僕は先日書いた「光と影」について、彼の地があまりにも美しい表情を見せてくれていたので
そのことに少し触れたいと思う。

門をくぐると地元の閑谷高校の生徒がボランティアで案内と説明をしてくれる。
建物や歴史の事は暗記したようにスラスラとしゃべってくれる。
「フムフム」と聞きながら片方でこのアングルで写真を撮ったら
備前焼の瓦の影の表情がすごく出るだろうななどと考えていたが
途中で痺れを切らしてしまい、案内してくれてる女子高校生に
「ねえ!この白い漆喰壁に瓦の影が落ちて、そこに空の青さが映えて
とても綺麗だと思わないかい?」と説明を遮るように言ってしまった。
「えっ!?」と予想していないことを言ったものだから少し驚いていたけど
「本当ですね!今までどうして気づかなかったんだろう。きれい!」と言ってくれた。
      
「建物をそんなふうに見て感じることもできるんですねえ」 という女子高生の言葉に嬉しくなり
「ほらこれも!あれも!」と光が作る美しい影を探し歩いた。スタッフはいつの間にか
いなくなりあちこちの写真を撮りまくっている。
   

   

最後にたどり着いた書庫の建物は背景の日徐山の緑をバックにすらっと
立ち上がっているのだが、その姿はポルトガルやスペインの建物と共通する
美しさに驚いてしまった。
備前焼の瓦屋根と漆喰の壁、全体的なプロポーションは日本の伝統的な建築様式を
踏襲していながら、強い光と影のおかげで昨夏訪れたポルトガルの田舎屋と
シルエットが重なってしまう。

この建物だけをみていると自分がいつの時代のどこの国にいるのか
わからなくなってしまいそうだ。




ゆったりと充ちる夜


 9月5日の夜、ロンドン、プラハで11年の音楽留学を終え
今夏日本デビューの「MICO]さんのミニコンサートを
スタジオクランツォのギャラリースペースで開催しました。

シャンパンを飲みながらの寛いだ雰囲気の中、定員20名の予定のところ
25名ほどの方にご来場いただき、楽しい一夜を過ごしました。


コンサート前半はアカペラで歌曲、チェコ民謡などを歌われ
後半はジャズ、ポップスを歌っていただきました。

通りすがりの方もコンサートのポスターとステージをご覧になられ、
飛び込み参加したいという方もいらっしゃいましたが、
席が確保できない為残念ながら諦めていただきました。
遠くは京都、神戸からも参加していただき家庭的な雰囲気の中
「ゆったりと充ちる夜」は過ぎていきました。

  
10月にはCD制作の為プラハへ行かれるとのことでしたので、帰国されたらあらためて
第二回目のコンサートを企画したいと思っています。

青々とした芝生の庭を見ながらのコンサートにしたくて、スタッフのK君と
芝の種まきにチャレンジしたのですが、あいにくの暑さもあり上手く発芽してくれませんでした。

また新しいイベントの企画を検討していきたいと思ってます。