2009年11月30日月曜日

黄葉



先日から集合住宅のプロジェクトで前庭に植える黄葉(こうよう)する高木を探していた。
紅葉ではなく黄葉する樹木が欲しく、植物図鑑などで調べていたのだがイメージに合う
高木が見つからず、やはり「カエデ」しかもノルウェーカエデあたりがよいのかと考えていた。

今日は緑地公園にある[中央工学校OSAKA]で卒業制作の授業があり、
改札を出て紅葉も終わりに近づいた緑道の落ち葉を踏みしめながら学校へ向かった。
教室の窓の向こうには緑地公園の美しい風景が静かに佇んでいる。

授業の合間に公園の風景はよく見ているつもりだったのだが、あらためてその景色を見てみると、
こんなに素晴らしい場所が、学校と道路1本隔てた向こう側に広がっていることに驚いてしまった。

午前中の授業が終わり、カメラを片手に公園を散歩してみた。そうしたら日本と思えぬ風景が
そこここに点在していたのだった。


紅葉、黄葉、褐葉の違い皆さんご存知だろうか?
調べてみると葉に含まれるクロロフィルが寒くなり日照時間が短くなると分解される。
葉柄の付け根に離層という水分を通しにくい組織ができ葉で作られた糖類やアミノ酸類が
葉に蓄積しその糖から光合成を利用して新たな色素が作られる。その過程で葉の色が
赤や黄色に変化し紅葉が起こるらしい。

赤色は「アントシアン」によるもので秋に蓄積したブドウ糖、蔗糖と紫外線の影響で発生する。

黄色は「カロテノイド」による。春から夏にかけては葉緑素の影響で視認できないが秋に
葉緑素が分解されることで目に付くようになるらしい。

褐葉は黄葉と同じ原理らしいのだがタンニン性の物質(クロロゲン酸など)やそれらが複雑に
酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質が目立つためらしい。


まあ科学的なことは別にしてもどうですこの美しさ。因みにこの黄葉しているのは
「フウ」という木です。別名「タイワンフウ」マンサク科の落葉高木です。
「フウ」は緑の葉から黄葉し最後は褐葉になって落葉するそうですが
この木は木勢もりっぱでとてもゴージャスな感じがします。


神戸でプランを依頼されている住宅の周辺調査をした際、やはりこの「フウ」の木が
気になり、計画の一部にこの木が見える風景をどう切り取ろうか悩んでいることもあるのですが、
とりあえず探してた黄葉する高木は「タイワンフウ」が一番よさそうです。
早速設計会議で報告しなくては。

フウの葉が緑から黄色に変化していきます。  こちらは緑道から緑地公園駅へ向かう並木。

学生諸君!こんな素晴らしい環境で勉学が出来るのだからもっと頑張りましょう!
お昼ごはん教室で食べないで紅葉した木々の下で食べたらもっと美味しいと思うけどなあ。



2009年11月23日月曜日

蕎麦 たかま


昨日、朝からクライアントと打ち合わせが続き昼食を食べる間もなかった。
あまりお腹が空きすぎて、ずっしりしたものは食べたくなかったので
好きなお蕎麦を食べることにした。

蕎麦はけっこう好きな方であちこちのお店へ出掛ける。
酒はちょっとしか飲めないのだが、蕎麦屋の酒の肴は
美味しいんですよ。
特に肴の旨い店はお酒も美味しいそうだが僕は特に日本酒がダメ!

昨夜は「たかま」という天神橋7丁目にある蕎麦屋へ初めてお邪魔した。
写真の通り、店構えはこれだけしかない!暖簾もないです!
最近の蕎麦屋はこんな雰囲気の店が多いが、建築で言う「ミニマルモダン」な店構え。
店の女将さんは遠くから来る人が多くて、近所の人はあまり来ないと言ってた。

土地柄、こんな雰囲気なかなか入りにくいんじゃないでしょうかね。
場所も駅から少し離れてるし。。
で、肝心の味の方は?   美味しい!です。また行きたい店です!
蕎麦はもちろんですが、特に子持ち鮎煮、蕎麦味噌、そばがき、いい味です。
蕎麦湯も濃厚タイプで鴨汁なんかで割るといいですよ!

     

特に嬉しかったのが「ホヤの塩辛」があったこと。
関西ではあまり見かけませんが、多分酒飲みには堪えられない肴でしょう!
東京の両国にある「ほそ川」という蕎麦屋の「ほや」も濃厚で美味でしたが
こちらの店のは「ひも」のところ使っているのでどちらかといえばあっさりタイプです。


これが「ホヤの塩辛」。ホヤは東北地方でよく食べるようですが
味の方は「海鼠腸」によく似てます。日本酒にぴったしです。

火曜日が定休日ですが、夜は蕎麦が売り切れ次第閉店です。

「たかま」  06-6882-8844

大阪市北区天神橋7-12-14グレーシィ天神橋ビル1号





プロジェクト


このところ、少しずつ設計の仕事が動き出し事務所もバタつき始めました。

大阪市内で10棟程デザインしている集合住宅のニューバージョンと
個人住宅の設計にGOサインが出て本格的に計画に入りました。

集合住宅の方は基本コンセプトを具体的にデザインしていく作業を続けていますが、
クライアントは毎回新しいアイデアや素材を提案してくれることをとても楽しみに
していらっしゃいます。
基本コンセプトの説明の際に、ゲシュタルト質やルビンの杯、図と地の関係などを
をプロジェクトと絡めて少し話したのですが、前夜久しぶりに芦原義信先生の
「街並みの美学」を 読み返してしまいました。



   ルビンの杯の図                     図と地の関係

今回もちょっと面白いことを考えています。(まだ公表できないのが残念ですが。)
ある程度まとまればHPのプロジェクトのところに掲載します。

住宅の方は今春から色々なプランを進めていたもので、やっとカタチが見えてきて
具体的な設計が始まります。僕としてはもう少し悩みたい気もするのですが
完成時期の事もあり、スタッフ共々気合を入れて頑張ります。



2009年11月20日金曜日

カモシヤ クスモト


飲食店の激戦区福島。
私も事務所から近いので時々出没するエリアなのですが
その中でとびきりのお店を紹介します。

「カモシヤ クスモト」 なんだか妙な名前のお店ですが
感性豊かなオーナーが考える創作料理は
素材のよさと特徴を生かして組み合わせ、
サプライズと予想を覆す美味しさに仕立てます。
そしてお店で用意しているお酒と相性ぴったし!

カモシヤとは「醸し出す」の意味でお店は醸造酒のみを提供し
スピリッツなど蒸留酒は置いてません。
もともとバーテンダーだった腰の低~い「楠本さん」が
3年前にオープンさせたお店です。

2号線の福島交差点から西へ歩いて5~6分でしょうか。
一見今風の住宅に見える一軒家。
近寄らないとお店とはわかりません。
かろうじて店の前にシャンパン、ワインの空瓶が並べてあるので
お店かな?とわかるくらい。

     
でも本当に訪れる度によくこんな組み合わせ考えつくなと驚かせられます。
そして本当に美味しい!コース料理は1ヶ月ごとに変るそうです。

楠本さんは本格的な料理の修業はしてないそうで、だからこそ常識に囚われない
サプライズな創作料理を思いつくのだなあと常々感心させられます。
でも決して素人の家庭料理などではありません。
とにかく洗練されていて見た目も美しい!プロの料理です。
この店は料理の写真を公表して薀蓄を語るより、食べに行かれて
感動される方がお奨めです。

ああ、いい忘れましたが、ここのパンもメチャクチャ美味しいです。
何個でも食べてしまいそうになります。パンそのものの風味が
あとを引いて止まらなくなります!



「カモシヤ クスモト」

大阪市福島区福島5丁目17-14

06-6455-8827 OPEN 18:00~25:00(ラストオーダー)

2009年11月6日金曜日

プレゼン


スタジオクランツォでは住宅設計、店舗デザインのご依頼物件で、
施主様のご了解をいただいた案件に関しては事務所スタッフ全員で
社内コンペを実施している。

全員必ず現地調査をし、施主様とのヒアリングの内容を平等に説明し
一定期間を与え担当者それぞれで計画を考える。
ベテランも新入社員も関係ない正真正銘の設計バトルだ!
もちろん私も参加する。

お決めいただくのは施主様なので、プレゼンが重要なカギとなる。
今回は岡山県瀬戸内市牛窓で住宅の計画をされているKさんの案件。

以前ブログにも書いたが牛窓のオリーブ園内に敷地があり、
緩やかな傾斜地の向こうには小豆島、瀬戸内の穏やかな海が広がる
抜群のロケーションだ。その上敷地内には大きな桜の木まである
200坪の土地をいかに有効活用できるか?

持ち時間10分間に模型や図面を使って思いのすべてを説明をする。
僕達もそうだが、施主のKさんも「ちょっと緊張しますね!」とおっしゃる。

私は出来る限り新人もお施主様と身近に話せる機会を作ってあげ、
クライアントの考え方やライフスタイル、住宅を設計する意味を
読み取る技術を習得して欲しいと考えている。
また仕事に対する緊張感や自分が計画したものが現実化する可能性に
ささやかながらもこの業界で、将来の希望や夢を見出して欲しいという思いもある。

逆に私やベテランも負けられない意地があり、必死に考えることになる。
それはそれでとても刺激があり、何回も図面を描き直したりして楽しい時間だ。

   
入社2年目のTさんと4年目のO君が模型を前にプレゼンをしている。


この場でコンペの結果は出なかったが、一度模型と図面をKさんに持ち帰っていただき
ご家族とご相談いただいて回答をいただくことになった。
この後もまだ幾つかの社内コンペを控えており、緊張の日々が続くことになりそうだ。


スタッフの皆さん、一つ一つがすべて自分の栄養となり成長の糧になります。
大変だけど頑張りましょう!僕もまだまだ成長してます。