2010年5月31日月曜日

牛窓 焼杉の家



牛窓の現場では5月26日基礎コンクリートの打設が行われました。
建物が奥に長いため、ポンプ車を使ってコンクリートを流し込んでいます。
土間コンクリートを鏝で押えて仕上ます。
明日一日置いて28日、型枠脱型します。



天気が好いので順調に工事が進みます。
写真は基礎天端をフラットに仕上る「天端レベラー」という仕上げ材です。
右の写真はそれを使って仕上た基礎と土台を固定するアンカーボルト。


5月29日、構造材の搬入が始まり、建て方ももう間もなくです。
その前に基礎周りの足場をしっかりとする為、小型の転圧機で地盤を固めています。

5月30日、土台を敷く前に床下通気工法用のキャットスペーサーを要所に配置します。
黒っぽいプラスティックのようなものがスペーサーです。
今回は焼杉板を縦張りするのですが、土台に水切りをつけないため、
土台から20cm下まで杉板を張り伸ばします。
土台はすべて桧の心持ち材(年輪が材木の中心にあるもの)を用意してもらいました。
また通気工法のため、防腐処理をしないで土台の施工を行います。
(防蟻処理は基礎から1mくらいまでします。)
下の写真はスペーサーを使って土台を浮かししている写真です。

現場に柱、梁など構造材が運ばれて来ました。
いよいよ大安の6月2日、施主のKさんが心待ちにしていた建て方が始まります。
スタッフは朝から牛窓へ出掛けますが、私は午前中の授業が終わり次第向かいます。
なんとか夕刻までには現地へ到着できるのではないかなと思っていますが。。。
とにかく建て方の終わった2階部分に上がってみたいのです。
そこから見える牛窓の風景がどんなものなのか、とても楽しみです。

スタジオクランツォでは普段、コンクリート造の集合住宅や、商業施設などの
建物の設計が多いので、日々工事の進捗状況が目に見えてはわかりにくいのですが、
住宅は毎日毎日が変化していきますのでとても楽しいですね。
上棟の風景はまた紹介します。






2010年5月27日木曜日

蕎麦 とき

昨夜はスタッフ全員少し遅くなってしまったので、
蕎麦でも食べて帰ろうといことになって、
北新地の中にある「とき」という蕎麦屋へ出かけた。

一番若い女性スタッフのTさんは、
とっくに連れて来たことがあると思っていたら
「初めてです」って言うから、随分長いことみんなで来てなかったんだな。
そうか、蕎麦アレルギーのスタッフが以前いたので、
中々みんなで来れなかったんだ。

場所柄、ご存知の方も多いと思うのだが、
ここは蕎麦も酒の肴も美味しい。

蕎麦は北海道、音威子府(おといねっぷ)産の
北厳蕎麦を石臼で挽いており、素朴な香りと味わいがある。
当然十割蕎麦がお奨めだが、そばの前のお酒やビールに合う肴がたまらない。

私はいつも丸々と太った「九十九里の鰯の丸干し」、
この店で好きになってしまった絶品「にしんの甘露煮」
合鴨ロースの煮込みなどを頼む。

その後、出し巻きと海老天巻きをオーダーして、

最後に十割を注文するのがパターンなのだが、

Tさん初めてだったので、他にも色々頼んでみた。やはりどれも美味しい。

新地は何となく高い店というイメージがあるが、
決してそんなことはありません。
良心的なお店もたくさんあります。
お客様とご一緒することも多々ありますが、
皆さん喜ばれます。

PS 牛窓の仮「焼杉の家」の上棟が6月2日となりました。
   




2010年5月25日火曜日

入選おめでとう!


今日、午後3時30分より靭公園そばの科学技術会館で
日本建築学会近畿支部主催「卒業設計コンクール」表彰式があった。

私が卒業設計を担当した小西君が「短大、高専、専修学校の部」で
入選し、本日表彰されました。

この賞は1位2位という決め方ではなく上位3名を入選にする。
その中で審査委員の先生方の評価が一番高かった。

卒業制作をスタートする時から、この賞を獲得しようと頑張ってきたので
私もとても嬉しい。

そんなに大きな賞ではないかも知れないが、建築学会の先生方7名が真剣に
内容を精査した上で、評価してくださった賞なのでとても有難い。

小西君本当におめでとう!よかったな!
講評にあった内容をしっかりと理解した上で
最後にもう一度ブラッシュアップしましょう!
 
森本支部長(神戸大工学部長)より表彰状を受け取る小西君。



その後、福武總一郎氏(財団法人 直島福武美術館財団 理事長)による
2010年日本建築学会文化賞 受賞記念講演が行われたのだが、
自分が作る美術館は世界一を目指すと言われる。

300年持続する建築を作るために、自前で海砂の塩抜きをする施設を用意したり
最高の鉄筋を用意するという。
また、建築家は総合芸術家であり、すべての芸術が理解できなければ
本当の建築家でないと言われる。
そして建築家の持っている智材すべてを提供してもらうのだそうだ。

氏は東京、大阪などの都会は好きではないし、都市には興味がない。
自然と共存する田舎が好きで、瀬戸内はまだ自然がたくさん残っているからこそ
離島に美術館を作り、自然風景とアートを合体させているのだという。

氏の建築、文化、アートシーンに対する考え方にハッとさせられる場面が幾度とあり、
市井の建築に関係する者、もっと真剣に建築と向き合わばければと反省した。

2010年5月24日月曜日

フレンチレストラン


先日プレゼンテーションしていたフレンチレストラン。

シェフ夫妻よりプレゼン案で進めて下さいとのお返事をいただいた。

「熟成」という言葉をキーワードに、現在の店舗の雰囲気をよりグレードアップさせて
少し大人の雰囲気を持つ「ハレの場」の提案だ。

ご夫妻の持ってらっしゃる家庭的な温かさを残しながら、昼から夜へのイメージチェンジを
照明を含めた内装デザインで表現する。




 

これから数ヶ月、詰めた打合せが続くのだが、ここでCG(コンピュータグラフィックス)が
圧倒的な説得力を持つ。
微妙な色の確認、照明の表情など手書きのパースでは表現できない部分や
色違いのパターンなどデータ入力さえすればすぐに出来る。
CGパース屋さんに外注すると結構な費用が掛かるが、私の事務所は3次元PCを
使っているので自前で安価に制作出来るんです。
これが強~い武器なのです。
ショップデザインも住宅も集合住宅や商業ビルもCGを使ってガンガン作ってます。








2010年5月18日火曜日

工事現場



東野田の集合住宅は杭打ち作業の最中。

写真は鉄筋組みの杭です。
昼過ぎ11トントラックで分節した鉄筋杭を運んできました。

本日は技術定例会議です。
現場での問題点、近隣の状況、施工計画全体のチェックなどを話し合います。
  

一方、牛窓の木造住宅の現場は地ならし、クラッシャーラン、断熱材、防湿フィルムの
敷き込みが完了し基礎土間配筋をしています。この後アンカーボルトをセットします。

この住宅は地盤改良したこともあり、ベタ基礎(基礎の底部がすべて一体になったもの)にしています。
床組みをしない土間となる部分には、厚さ4センチ程の断熱材(ウレタンフォーム)を敷き込み
冬場の足元からの冷えを防止しするようにしています。
  
   
明日は配筋検査です。合格すれば翌日コンクリート打設となります。
まったく同時期に集合住宅と木造住宅の工事が進行しているの比較が出来て
面白いですね。

他に神戸市東灘区で集合住宅の外部改修がもう完成間近となってきました。

2010年5月15日土曜日

シェフ



現在プランニング中のフレンチレストランのイメージを
色々勉強するために、事務所の図書室として利用している
「ジュンク堂書店」で料理の専門書をめくっていたスタッフのTさん。

料理人が買う専門書を書棚の一番下で見つけた。
表紙も見るからにフレンチ料理本ぽい。
中身は有名シェフの料理がズラーッと並んでる。


その中に「うん!何処かで見たことある顔が」!そして建物と内装の写真が!
おお!まさしく私達が設計デザインした「ラ・メゾン・ブランシュ」じゃないの!

その上、シェフが建物の説明までしてくれてます。
美味しそうなシェフの南フランス風のフレンチも見開きにいっぱい!

「あまから手帳」や関西の情報誌などにはよく掲載されているので
雑誌に出てること自体は驚きはしないが、プロ向けの専門誌に
こうやって掲載されていると、なんだか特別な気分になって、
とても嬉しくて思わずこの本、買ってしまったとスタッフのTさん。
自分自身もこのプロジェクトに関わっただけに、
知ってる人全員にに見せたくなってしまったそうだ。

実をいうと、後でこそっと僕も買いに行きましたよTさん!

新しいプロジェクトもTさんと僕とで進めていますが
メゾンに負けないオリジナリティ豊かなものを作りましょう!

2010年5月10日月曜日

日曜日




日曜日は夕刻から改修を計画しているフレンチレストランへ出掛けることになっていた。

店内が一番よく見える席を用意していただいて、食事をしながら夜の店内の雰囲気、
料理の内容や客席の表情などを調査するという、なんとも嬉しい食事に伺う約束だ。

夕刻まで少し時間があったので、事務所から歩いて7~8分のところにある
国際美術館にルノアール展を見て、お腹を少し減らすためにちょこっと歩いて
レストランへ向かえば、丁度いい具合にお腹も空くだろうと考えていた。

ルノアールはパリのオルセー美術館で見て以来だ。

印象派の絵画は特別好きというわけでもないのだが、
ありのままというべきか、自然の中の光や影を
画家達が自分の印象深い色で表現しているというか
あんまり深くその絵の中身を考えないで、素直に受け取ればいいようなイメージがあって、
気分的にはこちらも正座して見なくていいような楽な気がする。
特に南フランスを旅すると、彼らががこぞってアトリエを彼の地に求めた理由がわかる。

閉館間際にもかかわらず大勢の方が見学されていて
ルノアールの人気振りがうかがい知れる。




美術館では地下3階でルノアール展、地下2階では荒川修作展という
まったく違ったタイプの展覧会をやっていた。


2つ同時というのはちょっともったいないような気もする。
ルノアールを見終わった後、荒川修作展へ向かったのだが
17時閉館ということで、見る間もなく追い出されてしまった。

しかし、あちらこちらに配置されていた係員の方、夕刻になって
相当お疲れだったのだろうか、あちらこちらでまぶたが閉じてしまった方を
お見かけした。

閉館のアナウンスが流れると、何事もなかったように皆さん立ち上がり
両手を広げて、閉館ですから早く地上に出てくださいというよな素振り。

最近は美術館も少し遅くまで開館してるところがあるのだから
日曜日もう少し遅くまで(せめて19時くらいまで)開けていただけると
嬉しいのだが。(平日は19時くらいまでオープンしてるらしい)

久しぶりに靭公園まで歩いてみたが、思う以上に近いんだなあと思った。
最近の靭公園はペットの溜まり場みたいになってて、あまり好きではないけれど。
約束の時間まで公園のバラ園を散策してレストランへ向かった。

レストランで食べた料理の数々。
シェフ、マダム、ソムリエの方、ご馳走様でした。

お蔭様でモヤモヤとしていた詰めの部分が少し晴れてきました。


一番美味しかった一品(シャラン産ビュルゴー家の鴨)を載せておきます。


   


2010年5月8日土曜日

工事現場その2


昨日の工事現場は大阪市内ですが、同じ頃
岡山県瀬戸内市牛窓でも工事が始まっています。

こちらは木造2階建ての住宅です。
外壁にはこの地方でよく用いられる「手焼きの焼杉」と玄関土間の一部に
「版築」を使います。

藤森照信さんの「素材の旅」という、日本各所の伝統的な建築材料を
探し巡る本が出版されているのですが、その中で牛窓の材木店で
普段作っていらっしゃる焼杉の製作過程を紹介しています。

「森材木店」といいますが、たまたま施工をお願いした現地の工務店の
取引先が森さんのところで、今回の建物の外壁の板も焼いてもらうことになりました。
実際に焼く作業風景は6月下旬頃なので、その頃あらためてご紹介します。

さて、現場は何をしているかといいますと、地盤改良工事です。
表層50cm程が少し軟弱でしたので、表層改良を行っているところです。

表層改良工法は軟弱な地盤の土とセメント系固化材(地盤改良セメント)を
混ぜ合わせ固化させ、地盤の耐力を増強し、不同沈下を防ぐ工法です。

改良準備中、敷地左側にシンボルツリーのヤマザクラがあります。

地盤改良剤の袋と、右側は土と混ぜる作業中。
5月6~7日と2日程かけて改良工事を終了しました。
林の向こうには瀬戸内の海が広がります。
現場はこれから基礎工事に入って行きます。
事務所スタッフの「Tさん」が作っている
「牛窓焼杉の家」の完成CGです。
 (CG制作 スタジオ クランツォ)





2010年5月7日金曜日

工事現場



大阪京橋で計画していた集合住宅の工事が本格的に動き出した。

今日はその工程会議。施主、設計者、施工会社、設備業者など
おおよそ15人くらいで会議を行う。
住宅の工事打合せと違い、すべてが大掛かりなため会議の数日前に
予習用の会議資料が現場から届く。
出来るだけ会議をスムーズに運ぶため、前もって準備するサンプル類、
議題にして欲しい内容などを現場と確認する。

この会議以外に毎週「技術会議」があり、施工上の具体的な内容を
技術者達で検討する。

スタジオ クランツォでは意匠、デザイン系の工程会議は私が、
テクニカルな技術会議は設計主幹のK君が主に出席する。

工事事務所から見える現場。
現在は基礎杭の掘削作業中。

右下ブルーシートの部分がアースドリルの本体。
街中の建築工事ではよく使われる基礎工事のやり方です。

アースドリル工法で杭頭直径1.6m拡底部最大2.4mの杭を合計16本
地中29メートルまで埋設する。その基礎の上に地上10階建て延べ床面積3716 ㎡
総戸数99戸の建物が載る。来年3月竣工予定です。


これから隔週、完成まで工程会議が続きます。

外観やエントランスに面白いデザインを考えていますので、
随時現場の工事進捗に合わせ、報告したいと思っています。




2010年5月5日水曜日

高雄山 神護寺


ゴールデンウィークの合間の昨日、
混雑した京都から周山街道(国道162号線)へ車を走らせ高尾へ向かった。
神護寺周辺散策とその近くの清滝川でランチをしながら、マイナスイオンを
たくさん浴びてリフレッシュしようというのが目的だ。

清滝川を見ながら、たくさんのモミジの古木に囲まれた道を参道へ向かう。
参道入口には毎年虫払いを兼ねた恒例の神護寺宝物展のポスターがかけてある。

神護寺は和気清麻呂が延暦年間(782~806年)に建立した愛宕五坊の一つ
高雄山寺が前身だそうだが、809年に弘法大師(空海)が入山、以後14年間住持され
真言宗立教の基礎を築かれたところで、同師を初代としている由緒ある寺である。


この寺、長い階段の参道が有名だが、日ごろ運動不足の軟弱な身体には本当にキツイ!
昔の人はお経を唱えながら一心不乱に上ったのだろうか。
ゼーゼー言いながらやっと楼門が見える直線階段にたどり着く。
その間、上手い具合にところどころ茶店があり、ちょっと休もうかと気持ちが萎える。
いやいやここで休んだらアカン、我慢して楼門まで一気に行こうと足を運ぶ。
ずいぶんと多くの人が歩いたんだろう、階段の踏石もツルツルで丸みがあり黒光りしている。


やっと楼門が見えた。
ここは紅葉の時は本当に美しいんだろうなあと思わせるもみじが両側から迫り出す。
楼門の仁王像。
幼い頃、故郷の長崎諏訪神社の仁王像が怖くて山門を
通り抜けるのが嫌で嫌でしょうがなかったけれど
ここは優しい顔をしているように見える。
地垂木、飛えん垂木、雲肘木や蟇股(かえるまた)が美しい楼門
素朴な石組みとサクランボのように伸びた八重桜の花びら

毘沙門堂から金堂を見上げる。


毘沙門堂にはモミジをあしらったデザインがあちこちにあり目を引く。

国宝 絹本着色 伝源頼朝 像 金堂には模写が置いてあるが
縦約1.4m横約1.1mほどあり、想像してたものより大きいと感じた。
ほぼ実物大らしい。本物は京都国立博物館にあるそうだが。


左が 伝平重盛 像、右が 伝藤原光能 像 この3つを合わせて
神護寺三像というそうだが、十二世紀末頃藤原隆信が描いたと言われるが
正確なことはわかっていない。肖像画のモデルも作者も
正確にわかっていないため「伝」という言葉がついているらしい。
その後、西明寺まで足を伸ばそうかと思案したが、なんだかお腹も空き始め
汗を掻きながら上ってきたおかげで喉も渇いた。
やっぱりここらでランチタイムかな。
歴史散策も食欲には勝てない情けない私達であった。