2010年2月20日土曜日

集合住宅見積合わせ



予てからデザイン監修と意匠設計を担当している集合住宅のゼネコン各社による
見積合わせが昨日、クライアントのオフィスで行われた。

総戸数99戸なので僕の事務所の仕事としては結構大きなスケールだ。
       
この左右の建物の間に来年3月新しい建物が完成します。

朝10時から夕刻最後のゼネコンさんが見積書を提出されその内容チェックまで
その日の内に終わらせるため結構長時間かかった。

見積書も1社あたり100ページは超えるので、各ゼネコンの積算の担当者も
大変だと思う。営業が持ち込む150枚以上の図面を前に出来る限りの低単価を
拾い出し積もり上げる。

それでも受注できるかどうかわからない。そんな仕事を日々続けられているゼネコンの
積算担当者を何人も知っているが、おそらく積算中は鬼のような形相だろうと
思うけれど仕事を離れればみな穏やかな顔立ちの人ばかりだ。
見積用の図面を受取にこられる担当者はみな優しい顔をしてらっしゃる。

見積依頼は普通ゼネコン4~5社へお願いするのだが、勝者となるのは1社だけで
残りは敗者となる。それが常なのだがこんなご時勢、一生懸命「わが社に御下命を」と粘る
営業の担当にお断りの連絡をしなければならないのは毎回ちょっとつらい。

断る方もつらいのですよ。普段営業に来られて世間話をしている間は色々な情報が
聞けて有難いのですが、この時ばかりはそうはいかない。
何度そんなやりとりをしただろうかと、ちょっと感傷に耽っている間にゼネコンさんは確定し
工事の具体的な話が周りでどんどん進んで行くんだよなあ!

と言いつつ気持ちを切り替え今日は牛窓の住宅の施主打合せ、明日は明日で狭山の住宅の
施主打合せと週末休息無しの日々が続きます。

そうそう、来週2月27日、28日は久しぶりにASJ京都みやこスタジオ主催のイベント
「第2回建築家展」に参加します。場所は京都勧業館(みやこめっせ)です。

お時間のある方、住宅建てようかと考えられている方是非遊びに来てください。


2010年2月19日金曜日

牛窓とじゃこ天

数日前、岡山県瀬戸内市牛窓で計画している住宅の縄張りのため現地へ向かった。

前日かなりの降雨だったので敷地がぬかるんでいるのではと思っていたのだが
予想以上に水はけがいいようで、スニーカーに泥が付くこともなかった。

敷地の南側には地元の方の土地があるのだが、ほとんど手を加えられていないので
まったくの原野状態でその先の雑木林までは軽く60~70mありそうだ。
そして木々の間からは小豆島、前島などが見える。
    
今回は冬枯れの木立の状態(落葉樹と常緑樹の生態系)を見極め、計画中の建物の
間取り、開口部の配置を現地で敷地に落とし込み、周辺環境を施主である「Kさん」に
確認していただきながら、雑木林の持ち主にご了解を得た上で景観を良くするために
多少の剪定を考えなければならないのか一度確認していただきたかった。

冬の間に絡まったツタなどを取り除き、それ以外は出来るだけ自然のままにしておきたい。
敷地をあちらこちら歩き回ってみると野うさぎのフンなども落ちている。
地元の工務店の担当者に聞いてみると「鹿」「狸」「ウサギ」は生息しているとのこと。
           
風景をズームしてみると木立の合間に瀬戸内海が見え隠れする。地元の民家の焼杉壁
とても味わい深い。

この計画では外壁は焼杉に近いものを考えていたのだが、Kさんのお母さんから「焼杉」の板で
外壁を仕上たいと要望されていることもあり、今回はこの地域でよく使われる本焼きの「焼杉」を
使う予定にしている。

「Kさん」たちは四国の松山市に出掛けられていたので、その帰り道に牛窓へ立ち寄って
いただいたのだが、その際愛媛県八幡浜の「じゃこ天」をいただいた。
これがメチャクチャ美味しい。すごくコクがあるんです。
友人のマヤオさんの窯で焼かせてもらった六角皿に乗せてみました。
本当は5枚入っているんですが、我慢出来ずに1枚食べてしまった!
  
愛媛県八幡浜市 谷本蒲鉾店の「はらんぼ じゃこ天」美味しいです!
Kさんありがとうございます。スタッフにもそれぞれいただき感謝しております。

今夜はこれでビールをいただこう。


2010年2月17日水曜日

イタリアンダイニング茜


毎年バレンタインは相方が食事をご馳走してくれることになっている。
(当然ホワイトデーは私がご馳走することに。。。)
今年は何処がいいと聞かれ日曜日だし、たまには遠出するのもいいかということになった。
幾つか候補を出した中で、兵庫県篠山市にある「イタリアンダイニング茜」という
レストランに決めた。この店はもともと丹波産の野菜販売をご商売になされているオーナーが
美味しい地元野菜をもっと知ってもらいたくて始めたレストランだ。だからどちらかといえば
野菜が中心の献立になっている。料理は素材の味を生かした、素朴なイタリア料理ではあるが
そのロケーションやレストランの建物とも相まってどこか懐かしい味だ。
 
      
 夜なのでわかりにくいですが、茅葺屋根のりっぱな民家です。内部は民家の味を残しながら
 ちょっとモダンにアレンジしてあります。

         
建物もこの地方の古民家を改装したもので、建築を生業とする私としては興味をそそられる。
最近、篠山にも古民家を改修した集落を丸ごとオーベルジュとして活用、フレンチレストラン
蕎麦店、などを誘致して活性化を計ろうとする「丸山プロジェクト」というのも生まれている。

今回は時間があったので、最近TVで紹介され美味しいと評判の福知山市にある
栗専門洋菓子店「足立音衛門」さんまで足を伸ばしてみた。
大阪では梅田阪急に店舗を出店されてとても人気があるし、事務所でもお客様への
おもたせとして利用してます。

そこで、本店はどんな店なんだろうとある意味期待して出掛けたのだが、地元ではあまり
買い求める人がいないようで、ほとんどが通販用商品の発送ステーションと化していた。
イメージしていたお店とはちょっと違っていたので残念かなあ。でも栗のテリーヌはずっしりと
重くたくさん栗が入っててすごく美味しくです。 私のお客様も皆さんとても喜ばれます。
せっかくここまで来たし、翌日打ち合わせ予定の「Ⅰ」さんの奥様とちっちゃなお嬢さん方の
お土産用に1つ買い求めた。




2010年2月8日月曜日

3冊の写真集

amazonに注文していたセバスチャン・サルガドの写真集がやっと届いた。
事務所のライヴラリーには何冊かの写真集があるが、その中でも
すごく気に入ってる本が下の3冊。



見えにくいが一番下は1930年代の変り行くニューヨークを撮影した
女流写真家べレニス・アボットの本。
その上が「ケーススタディハウス」を中心に撮影した建築写真家
ジュリアス・シャルマンの本。
そして1980年代のアフリカ・サハラ砂漠の南「サヘル」の飢饉を撮影した
ブラジルの写真家セバスチャン・サルガドの本


左からアボット、シャルマン、サルガドです。

アボットはパリで写真家「マン・レイ」のアシスタントになり写真を学び
ニューヨークに戻り、高層ビルが立ち並び古い町並が壊されていく
都市の変化に驚愕し、街の写真を撮り続けること決意します。

私が持っているこの本はそのニューヨークの風景や、パリ時代のポートレート、
アメリカの地方の写真をダイジェストにしたものですが、当時のニューヨークの様子
リアルに伝わってきます。


ジュリアス・シャルマンはケーススタディハウスをたくさん撮影しています。
どこかで見たことのあるような建築写真がちりばめられています。
ロス郊外の住宅地で友人たちとイームズやノイトラの建物を探しまくったことを思い出します。

そしてセバスチャン・サルガド。昨年秋、東京で「アフリカ」と題する写真展が
開かれていたようですが、残念ながら行くチャンスを逃してしまいました。
NHKの新日曜美術館で特集も組んでました。
  
彼の写真は本当に怖いです。そこにありのままの真実があり、それを
至近距離で撮影しています。偶然のシャッターチャンスではなく、
何ヶ月も難民と共に生活をし、家族のような距離を作って初めて可能になる
ショットだと思います。ショッキングな写真の連続で、でもそこから目を背けることが
出来ない写真なのです。彼の写真は見るだけで震え、涙が溢れます。





2010年2月5日金曜日

鮨 生粋



学生達の卒業制作と設計依頼の相談が重なり
このところ一休みする間もない日々を送っていたのだが
友人から久しぶりに「鮨」を食べに行かないかと誘われた。

「鮨」という言葉に思わず「行きます。行きます」と反応してしまう情けない私。

昨年末、赤酢のシャリで有名な老松町の名店「嘉瑞」が東京進出のため
店を閉められて、大阪で美味しい赤酢のシャリで握る鮨がもう食べられないと
諦めておりました。

それを人伝てに聞いたのか、赤酢のシャリを出す店が摂津本山にあるので
一度食べに行ってみないかということで話がまとまり、日曜日の夜、
期待を膨らませながら出掛けました。


お店は摂津本山の駅から2号線の方へ10分ほど歩いた住宅街の中にあり
ちょっとわかりにくいかも知れません。この看板が外に出てるだけです。

鮨はアラカルトとコースがあって、きっちりお値段も書いてあり
とても良心的です。ご主人と奥様を中心にサービスの女性が
数人いらっしゃるようで小さな店構えの割りにお店の人が多いということは
人気がありお客さんが多い証拠。
当日も私達が入店してまもなく満席になってしまいました。

江戸前鮨のネタはほとんどがなんらかの「仕事」を施してあります。
特に赤酢はシャリが主張するので、捌いて切り身を酢飯の上に乗せるだけでは
魚本来の味が負けてしまいます。
そこで酢で〆る、煮る、寝かして熟成させるなど、「仕事」をしなくてはならないわけです。

能書きはどうでもよいのですが、穴子が3種類の調理方法で出てきたのが印象的でした。
煮穴子は口の中に入れたら噛む間もなく溶けてしまいました。

赤酢のシャリは出来ればもう少し温かいほうがいいかなという印象でした。
ご主人は大阪鮓の出身だそうですが、何故江戸前鮨を握られるようになったのか
あまりの忙しさに聞き忘れてしまいました。

ご主人またお伺いします。その時はゆっくりとお話聞かせてください。