2010年6月27日日曜日

松浦漬け




日曜日の午後、溜まっている仕事を片付けるために事務所へ。

梅田の阪神百貨店と通路を挟んだ向かい側から、ヒルトンホテルにかけて
おばちゃんたちが都道府県別に、土産物や物産品を販売している昔からある通り。
確か「アリバイ横丁」なんて呼んでませんでしたっけ?

いえいえ、実際にカラ出張のアリバイなんかに使ったことはありませよ!僕は。
神に誓って!

時々じっくりと観察するのですが、いやあ懐かしいものがありました!
佐賀県呼子の名産品、「松浦漬け」。
レトロなパッケージの缶詰です。
昔からまったく変りません。缶きりで開けるタイプではなくなりましたが。

中身は鯨の上あごの軟骨「蕪骨」を細かく刻んで水にさらし、酒粕で漬けたものです。
小さい頃はクラゲの粕漬けと思って食べてました。

余談ですが、九州は鯨をよく食べます。
街にはまだ鯨屋さんという鯨専門の小売店があって色々な部位を売ってます。

尾の身の刺身なんか、冷凍しているものを買うと家に着く頃、 丁度いい具合に解凍され、
ちょっと厚めに切ったその肉を生姜醤油に浸して、 口に入れると氷のシャリッとした感触と
濃厚な肉の味がたまらなく美味しかった。大好きな一品でした。
ずいぶん小生意気な小学生だったんだろうなあ。

ちなみにサメ(フカ)の肉も湯引きにして売ってます。最近はわかりませんが。。
木の芽を入れた酢味噌で食べると美味しいです。


この缶詰、長崎の実家には必ず冷蔵庫に入ってました。
熱々のご飯の上にのせて食べるんですが、お茶漬けにしても美味しい。
粕漬けですので、味はワサビ漬けのツーンというのを抜いた感じです。

こんなブログ書いてたら急にお腹が空いてきた。

今夜は久しぶりにこの九州の味を堪能してみようかな。






2010年6月26日土曜日

焼杉の家


6月26日、森材木店で「焼杉の家」の杉板を焼いてもらう予定でしたが
雨天のため延期になってしまいました。

現場は床の下地工事が進んでいます。

一部の部屋は床暖房を埋設するのですが、予算の都合上すべての部屋は
出来ませんので、スタイロ系の断熱材を根太の間に隙間なく敷きこんでいます。

「焼杉の家」はすべての居室が南向きですし、近くに障害物がないので、
冬は一日中太陽光が部屋の中に入ってきます。
とても居心地のよい空間になると思います。

一方外部は屋根仕舞いが始まっています。
アスファルトルーフィングの上に、ガルバリウム鋼板の屋根材が取り付けられていきます。

玄関からダイニングへの通り土間に、薪ストーブを設置するためフラッシングという
煙突部材を取り付けています。
これから先、熱帯性のスコールが多くなること想定して、雨水が入りにくいよう
特注で背の高い部材を作ってもらいました。
 
 
写真はフラッシングの取り付け作業をしている暖炉職人さん。
芦屋市から来てもらってます。

その後から板金屋さんが屋根仕舞いをしていきます。

事務所では施主のKさんと最終の打合せ作業中です。

建築中の集合住宅のエントランスドアにコールテン鋼を使用するのですが、
そのサンプルをご覧になったKさん、鉄の風合いが気に入られ、
自宅の玄関ドアに使えないかということで、コールテン鋼の建具を
制作することになりました。
取手は存在感のある南部鉄で加工されたものを使用します。

北欧製のオーディオキットを、ダイニングにセッティングすることになったのですが、
この場所で夜「スラヴァ」のアベマリアなんか聞いたら、本当にたまらんと思いますよ!

自然に囲まれたこの場所で、晴耕雨読のライフスタイル!羨ましいかぎりです。

コールテン鋼(耐候性鋼板)についてはまたあらためて紹介します。

2010年6月25日金曜日

西洋漆喰



西洋漆喰の起源は古代エジプト時代に遡るそうですが、
ギリシャ、ローマ時代を経て、べネツィア共和国繁栄期に
建築装飾仕上げとして、イタリア全土に浸透していったらしい。

世界最古の建築書(BC25年)と言われる「ウィトルウィウスの建築書」には
その時代に、既に確立していた西洋漆喰についての詳細な記述があるそうだ。

今世紀に入り、忘れられていたスタッコ技術の復活に力を注いだ
イタリアの建築家カルロ・スカルパらにより蘇った西洋漆喰は、現代性を含んだ
西洋の文化として今も受け継がれ続けられている。

下の写真はイタリアやフランスの世界的ブランドのショップ内装に使われている、
ポルベーレ・メディアという仕上げ。大理石の粉末、ペースト状の石灰などを
左官鏝で仕上る技法です。
この仕上げに使う石灰は石灰石を焼いてから水に漬け、
2年程熟成させたペースト状ものを使用します。
イタリアでは数百年前から行われてきた伝統的な方法で、
粉末に比べると品質が安定するそうです。

写真ではわかりにくいが、小さな砂の粒子が混ぜられていて、
それが表情を作り出します。
左は表情を押えた仕上げ、右は少し鏝跡を残した仕上げです。


下の写真はポルベーレ・メディア・グラッセロ仕上げと言います。
鏝で模様を出した後、艶を出すために金鏝で何度も磨いて仕上ます。
スタジオクランツォでは15年ほど前から、この仕上げを住宅や店舗
集合住宅のロビーなどに数多く使用してきました。
昨年オープンしたフレンチレストラン「ラ メゾン ブランシュ」の客席も
この西洋漆喰を使っています。白壁ですがライトが当たると地模様が浮かびます。

鏝で何回も磨くことにより、地模様が浮き上がってきます。
地模様は設計者のイメージと職人の感覚により、
阿吽の呼吸で生まれてきます。
ですから、同じ職人さんを指名してお願いすることが多いです。
もちろん左官職人さんであれば、誰でも出来るという仕事ではありません。

下の写真は下地に同じ模様を描いてもらいながら、仕上の手法を変えてもらいました。
同じ壁面ですが、磨き方を変えると濃淡、艶が変化します。
写真中央部分で表情が違うのがおわかりになりますか?


少し離れてみると下の写真のように艶あり、艶無しのボーダーが出来上がります。
壁面に変化をつけるために施工した例です。
因みにあまり光っていないところは、コンビニのビニール袋で磨いてあります。



現在設計中のリノベーション住宅の玄関、リビングダイニングの壁面を
ポルベーレメディアで仕上る予定です。
この建物はRCですので、下地となる壁面が安定していますから
クラック(ひび割れ)が入りにくいこともあり、この技法で仕上ることにしました。
木造など壁面が微妙に動きやすいものは割れの原因になり易いので
使うことはほとんどありません。

石灰は元々多孔質ですので湿度調整機能があり、また自然素材ですから
環境にも、生活にも負担をかけません。


この住宅は余分なものをそぎ落とした、ミニマルな空間をデザインしようとしていますので
あまり冷たい空間にならないよう、少しだけ温かみのある表情を出そうと
現在職人さんに「テクスチャーサンプル」を制作してもらっています。

2010年6月21日月曜日

おもてなし



「おもてなし」、「もてなし」の言葉の意味を調べれば
多くの事が出てきます。

一般的には「物を持って成す」の意味で、
品物や料理などを用意し、心を込めて振る舞うことのようです。
また表裏のない真心で相手に尽くす意味もあります。

しかし、商品や飲食で歓待し何かを得るという意味もあり、よくよく考えないと、
本意ではない事(何か見返りが欲しいの意味)を受け取られるかもしれません。

私は人さまに何かさせていただく事が好きです。
自分にとっては損になることが多々あるかもしれませんが、
そんなことより、単純に相手が喜んで下さればそれでよいと思います。

まあ、ある意味、「お人よし」と言うことでしょうね。
時々、お付き合いの長いお客様から、経営者には向いてないと言われます。(笑)


昨日(日曜日)狭山のお客様とリノベーションの打合せが
梅田のスタジオクランツォ事務所でありました。
ちっちゃなお嬢さんお二人と、ご主人、奥様の四人でお越しいただきました。
事務所へお越しになるのは、昨年10月以来ですから8ヶ月ぶりです。

せっかく遠くから事務所へお越しになられるので、
どうしても食べていただきたいお菓子(マカロン)があり、
土曜日、奈良の生駒まで買い求めに行きました。

下の写真がそのマカロン。「スーリール・ダンジュ」というお店のものです。
以前、近くまで行った時に買い求め、美味しかったので是非一度「I さん」ご家族に
食べていただきたいと思ってました。
そして、そのマカロンに合わせるように、お気に入りの紅茶を生駒の帰り道
「リーガロイヤルホテル」で買い求めました




「美味しい!」と言ってちっちゃなお嬢さんたちが食べてくださったら
それでもう充分私は満足です。
残ったマカロンや紅茶はお持ち帰りしていただきましたが、
打合せにそのマカロンや紅茶が必要だったかどうかはわかりません。

けれど、打合せもとても重要なことだったんですが、
素直に「I さん」御一家に僕からの「おもてなし」をしたかったのです。
僕の気持ちを正直に表現したいと思いました。


住宅の設計も、自分の中ではある意味「おもてなし」の部分があると思っています。

住宅のデザインは建築家の個性が前面に出易いのですが、
私は出来るだけ設計者の個性を消したいと思っています。
よく言うのですが、「当たり前の仕事」をしたいのです。
検討に検討を重ね、お客様の意見を尊重しながら、
「負の要素になりやすい気にかかること」を極力減らしたいと思います。

「目に見えない部分はきちんと作り」、「目立つところは控えめに」です。
その途中、どれだけ苦労しようが、もがき苦しもうが、手間が掛かろうが
それが表に出てはいけない。

それが僕の「おもてなし」ではないかと思います。

ちっちゃなお嬢さんたちが、「お家作り直してよかったね」とご両親に
言ってくださることを願いながら。。。















2010年6月18日金曜日

集合住宅工事現場



本日は集合住宅の定例会議です。

現場は基礎配筋中ですが、本日は雨天の為作業中止。
ついニ週間ほど前までは、杭頭処理が行われていたのですが
現在はもう基礎配筋だらけです。


工事事務所から見た現場の様子。
配筋、梁貫通のためのスリーブ管、単管足場などで
足の踏み場もありません。


現場内に入ってみました。正面に見えるのは地中梁。
鉄筋を運ぶ足場の下に、ものすごい量の鉄筋が見えます。
最大SD32の鉄筋がトリプルで入ってます。
この地中梁、断面でいうと、梁幅1m梁成2mあります。
場所によってはもっと大きい断面のものもあります。
圧倒されますが、鉄筋が組まれた裸の状態は美しい構造物だと思います。

今ここに見えている部分は完成するとすべて地中部分になり、見ることは出来ません。
左側に梁と連結している杭頭処理した柱の鉄筋が組み上がって見えます。
今の時期にしか見ることが出来ない工程部分です

来週には確認検査機関の配筋検査が予定されています。
一方、牛窓の木造住宅も今月28日、住宅瑕疵保険の
構造検査が予定されています。
現在は床組みの真っ最中です。
狭山のリノベーション住宅は、増築部分の建築確認申請準備に追われています。
フレンチレストランはワイン色のガラス収集と、えんじ色の椅子張り生地探しに
スタッフのTさんが奔走しています。







2010年6月16日水曜日

皿うどん



故郷 長崎を離れて40年程経ちますが、
時々、どうしても食べたくなるのが「ちゃんぽん」と「皿うどん」

大阪でも中華料理店でメニューに載せているいる店を見かけますが、
僕がランチでよく利用するのは「中央軒」、社長は長崎の人らしい。

長崎人は皿うどんを食べる時に、必ずと言っていいほどソースをかけます。
皿うどんにウスターソース、これは定番です。
ですから、大阪のお店でメニューに皿うどんがあって、ソースがなかったら
これは本物ではありません!

左はソースがかかってない状態、右はたっぷりソースがかけられた皿うどん。
これが美味しい本物です!。関西人の口に合うかどうかはわかりませんが。。
本当はもっと色々な具がのってるハズなんだけど、ここ1年くらい量は変らないけど
具材の種類が減ったような気がします。
ピンク色のはんぺんのような蒲鉾が大好きです。
ほら、酢、ラー油などと一緒にソースと書かれた瓶があるでしょ!


長崎では「皿うどん」は、家に人が集まる時に振る舞うことが多いのです。
家ではあんまり作りません。すごい量になるからです。

長崎の方言で「おもやい」と言う言葉がありますが、
一つのものをみんなで一緒に使ったり、食べたりする時に使います。
卓袱料理(和、洋、中が一緒になった料理を、円卓を囲み上座、下座の区別無く
武士も庶民も外人もみな平等に食べる、鎖国時代からの郷土料理)もその一つかも知れません。
「皿うどん」は恰好の「おもやい料理」なのです。

学生時代、帰省している間、誰か来ると母が「皿うどんば取りましょかね」と言って
よく近所の食堂に注文してました。
そんな場合、たいてい幼馴染の店だったりするので、出前を幼馴染が運んできたりして
昔話で盛り上がることもよくありました。

直径50cmはあろうかという大皿に、てんこ盛りの皿うどんがのっています。
そして、そこには必ず携帯パックに入ったソースが付いてきます。

今はもう両親も亡くなってしまい、そんな皿うどんを食べる機会は無くなってしまいました。

大阪にいて、長崎の空気をどうしても吸いたくなる時、
ソースたっぷりの皿うどんが恋しくなるのです。

2010年6月15日火曜日

ラ ギャロワーズ




西区新町にあるイタリア料理店 ラ ギャロワーズ
数年前から時々お伺いしているお店です。
泉州野菜と、関空沖の1本釣りで上げる地物の魚が美味しい店。












オーナーシェフの「武」さんは元ミュージシャン。
ギターは相当上手いらしい。
それからイタリア料理以外の美味しいものにも目がない。

一時バリ島にハマって(まだハマってるか!)、イタリアンなのに
オリエンタルなスパイス満載の料理がどんどん出てきたりしました。

東京へ行ってしまった鮨の名店「嘉瑞」も、武さんに連れて行ってもらったのが
初めてだし、2ヶ月に1度の「美食会」をお願いしている「KO」さんも武さんの紹介。

大阪の野菜がこんなにも美味しいと教えてくれたのも、
犬鳴山の麓の豚がとんでもなく美味しいと知ったのも彼の料理。

カウンターに10人ほどと4人掛けのテーブルが1つだけの店ですが、
完全オープンキッチンで料理する手元までしっかり見える。
相当自信がないと出来ないことだけど、飄々として美味しい料理を作る。
あれだけの口の肥えた客ばかりなのに、平然と注文をこなしながら
カウンターのお客さんの相手をする人。

僕は武さんの右手はゴッドハンドだと思ってる。
1つまみの、絶妙の塩の量を素材に振り掛ける感覚に、ほとほと感心させられる。

土曜日の夜、久しぶりに(半年ほど行ってなかった)食べに行きました。
「伝助穴子」も「蒸しあわび」も「五島ののどぐろ」もいい味でしたが、
イタリアから届いたばかりのフレッシュポルチーニ茸、最高!でした。
本当にご馳走様でした。

「次来る時はマフラーしてるような時期にならんようにね山口さん!」と
しっかり釘を刺されてしまったけれど。。。

2010年6月12日土曜日

暖地桜桃



自宅近くのコンビニ前にある1本の桜の木。
今まで気が付かなかったのだが、今年はこの桜の開花が
少し早いなあと感じていた。
ソメイヨシノよりも早く咲いていて、日当たりのせいで早いのだろう
ぐらいに思っていた。

数日前から、この木の前のコンビニ行く度に「サクランボ」のような
赤い実がチラホラと茂った葉の間から見える。

ひょっとしてサクランボ!?
あわててカメラのシャッターを切った。
ちょっと小ぶりだけど、どう見てもサクランボだぞ。


木立を見上げてよく見ると、数は多くないがあちこちに赤い実や黒っぽい実が。
黒っぽい実なんかアメリカンダークチェリーの子供みたいなヤツだし。
飛来する鳥達のためにもぎ取るのは止めましたが、こんな街中にも
命の営みがあるんですね。
ただ近所にあるソメイヨシノの葉と比べてみると、葉のトゲトゲがちょっと少なくて
大振りの葉っぱです。

左がサクランボらしき実がなってた街路樹、右はソメイヨシノ。
色々調べてみると、どうも「暖地桜桃(だんちおうとう)という中国実桜という種類らしい。
「佐藤錦」や「高砂」などのサクランボとはまったく違うもので、花の開花時期も
1ヶ月ほど早いらしい。どおりで桜が咲くのが早いなあと感じたわけだ。
もちろん実は食べられるそうですが、鳥達のためにそっとしておきましょう。
3月のブログにも書きましたが、桜の開花と間違ったベニバスモモ(紅葉桜)という
ソメイヨシノより早く咲く品種があることを知りました。
都会の自然もよくよく観察してみると、新しい発見がたくさんあって嬉しくなります。
余談ですが、私の住む集合住宅の管理人さんが、シンボルツリーである「クロガネモチ」の
大木が今年は花をたくさんつけたので、植木屋さんに植えて8年経ってやっと土になじんだと
話したら、いやいや植物はもうだめだと思ったら、最後の力を振り絞って精一杯花を
咲かせることがあるからひょっとして枯れるかも。。と脅かされたと言ってたのですが
どうやらこちらも本当に根を張って、元気になったようでたくさんの赤い実を付けてます。
自然観察する気持ちの余裕を常に持たなくてはなりませんね。









2010年6月10日木曜日

集合住宅現場



大阪京橋の集合住宅の現場では杭の打設が終了し、
杭頭処理が行われています。

杭頭処理とは簡単に言えば現場造成杭(アースドリル工法)を施工する際
ベントナイト溶液というものを使って杭の穴を保護しながら掘っていくのですが、
鉄筋(籠筋)を投入し、コンクリートを流し込んで杭が出来上がります。
このコンクリートを打設する際、ベントナイトを抜き上げながらの打設になるため
土などの不純物が混じり、最後の部分が強度的に不安定な部分が出来てしまいます。
その部分をおおよそ0.7m~1mの範囲と仮定してコンクリート部分を撤去する
作業を杭頭処理といいます。
コンクリートを破壊処理すると鉄筋が見えてきます。
この鉄筋と地中梁の鉄筋を結合させて丈夫な基礎を構築するのです。

詳しくは監理担当の小浦君がスタッフブログで書いてくれると思いますが。。。。


杭頭処理をした現場造成杭が林立しています。
この上に地中梁と柱が組み上げられていきます。

杭頭処理で撤去されたコンクリートの塊。
重量で3トンくらいあるでしょうか。

杭頭処理する際、鉄筋とコンクリートをスムーズに
切り離す為、鉄筋に保護材が巻かれています。
全部の杭の処理が終わると、これから墨だし、
そして地中梁の配筋が始まります。

事務所ではこの建物に使う仕上材の最終サンプル打合せが
各メーカー、加工業者と続けられています。
外壁タイルだけでも2000㎡以上あるので、特注で作ってもらうのですが
その色、質感を決めるだけでも時間がかかります。

牛窓の住宅はもう屋根下地が済み、アスファルトルーフィングの敷きこみも終了。
今月26日には外壁に使う、焼杉の手焼作業が始まります。

事務所では「フルスケルトンリノベーション住宅」の作図作業が佳境に入ってきました。

またフレンチレストランのガラスを使った意匠デザインのエスキースも始まっています。

2010年6月7日月曜日

そっ啄 つか本



日曜日の夜は、お客様の「KO」さんとの2ヶ月に1度の恒例の食事会。
今回は大阪から少し離れて、京都祇園に良い所を見つけていただいた。

予約がなかなか取れないそうで、丁度2ヶ月前の食事会(フレンチ、アキュイール)の時
次はここにしましょうとKOさんから提案があり、その場で予約したお店です。

そっ(漢字は口偏に卆)啄とは 雛鳥がカラを破ろうとして嘴でつつき
雛鳥の力だけではカラを破れないので、同じ場所を親鳥が
外から破ろうとすることをいうらしい。

禅で、機が熟して悟りを開こうとしている弟子に師がすかさず教示を与え
悟りの境地に導くことをいう。

ある意味「阿吽の呼吸」のような料理人とお客の関係を意味してるのだろうか。
お店が忙しいのと、こちらもほろ酔い気分で店主に聞くのを忘れてしまった。



祇園の路地を入ったちょっとわかりにくい場所ではありますが、
知る人ぞ知る店のようで、東京辺りからも食べにいらっっしゃるようです。


まだ30代後半の店主と、若い2番手の二人で切り盛りされているが
一品一品手をかけ、しっかり仕事をした料理が8種類ほど出てくる。
それぞれに趣向があり、とても素晴らしかった。

その中でも特に目を引いたのが「鰹節」、伊勢神宮に奉納された鰹節をおすそ分けして
いただいたそうで、それでダシをとった加茂茄子のすりながし。
その「鰹節」只者ではなかった。はらはらと茄子の上にかかったその身は
艶があり、すばらしい香りだった。同じ鰹節でもこれほど違うものかと
店主の塚本さんも思ったそうだが、本当にまったく別物だった。

もう一品。淡路の沼島産の鱧。これもすごかった!
本当に軽く炙っただけのものを山葵と塩だけでいただく。
素晴らしい脂ののり具合と旨み、こんな鱧食べたらもう他では食べられませんよ!

半端ではない食通のKOさんは先月来て、今月来て、来月も来るらしい。
ということは3、4、5月にそれぞれ予約したってこと!?

毎回楽しい食事会なのですが、私が飲めないのが申し訳ない。
そのためいつも酒豪の相方に参加してもらってます。

次回は8月にオープンして間もないフレンチへ行きます。

ピッツェリアモリタ

先週土曜日久しぶりにピッツェリアモリ~タへ出掛けた。

最近そのピッツェリアの隣に九州ラーメンのお店が開店した。

その店の電飾看板がスゴイ!赤いラーメン鉢の上に、
まるで空中に浮いてるかのごとく、赤い箸と麺らしきものが
上下に動くのである。
その麺がまた九州のラーメンにそっくりなんです。

いやー!歩く人はみな目に止まるよな。
ピッツェリアの森田さんによると、目に止めるため
この目立つ看板を作ったらしいそうです。
肝心の味の方ですがまだ食べてないのでわかりませんが
お客さん結構入ってます。


今日は森田さんのお店の料理をちゃんと紹介します。
私はいつもパターンが決まっていて、まず前菜の盛り合わせ。
素焼きのピッツァが美味しいんです。隣においてあるゴルゴンゾーラチーズを
トッピングして食べます。
他にパルマの生ハム、カプレーゼ、ラザニア風の前菜など。



続いて、1枚目のピッツァはハーフアンドハーフにしてもらいました。
左はたっぷりの水牛のモッツァレラチーズに、これまたたっぷりのトマトと
バジルをトッピングしたもの。右はポルチーニとマッシュルームに
4種類のチーズ入れてもらったオリジナルピッツァ。
アッという間に平らげてしまいました。


2枚目はマリナーラベースにやはり水牛のモッツェレラチーズをトッピングしたもの。
マリナーラはナポリの漁師が船に乗る前に腹ごしらえしたものでピッツァの
原型と言われていますが、僕はいつもそこにモッツェレラを入れてもらい
風味を出すようにしてます。スプマンテの肴には最高の組み合わせです。


ドルチェはフルーツのピッツァに定番パンナコッタ、そして
マンゴーのジェラート。

森田さんの作業する手元を写真に撮らせてもらいました。
いつも美味しいピッツァ有難うございます。
今年のバカンスは是非イタリアへ行くって言ってたけど
オメデタでまたちょっと先に伸びましたね!
ストレス溜まらんように時には骨休みしてください!


チャオ!チャオ!




2010年6月4日金曜日

牛窓「焼杉の家」上棟



6月2日大安 待ちに待った「焼杉の家」の建て方が始まった。

思えば施主のKさんから住宅の設計のお話をいただのは1年2ヶ月程前で、
当初の計画は兵庫県篠山市の山裾にある、親族が所有されている敷地だった。

事情がありそちらでの計画を断念されたのだが、以前から岡山県に住みたいという
強い希望があり、二人でどこがいいだろうと検討をしていた。

しかし、縁とは本当に不思議なもので、岡山県で探すということになったら
当事務所スタッフの親族が、岡山県の瀬戸内市牛窓に土地を所有しているので
譲ってもいいというラッキーな話が飛び込んできた。

そこから先の話は2009年7月27日のブログに書いていますので
お暇な方は読んでみて下さい。
この場所で決まることを予感する内容が書かれています!

だから、Kさんと僕にとってはとても感慨深いんです。

そしてもっとすごいのは「Kさんのお母様」。
日本の伝統的な材料(貝灰、珪藻土、焼杉、栗の木など)がとてもお好きなのですが、
予算が合えば外壁を焼杉にしたいと希望された。それも手焼の板を。

事務所にあった藤森照信氏の「素材の旅」を思い出し調べてみると
この辺りは焼杉の本場であることは知っていたのだが、その中で牛窓の「森材木店」を訪れ、
手焼きの実演をしてもらっているのがわかった。

最終的にお願いすることになった地元牛窓の工務店、「元浜組」さんもこの森材木店と
付き合いがあるということで、話がとんとん拍子に進み、今月26日前後に森さんのところで
焼いてもらうことになったのです。
色々なことが重なり合い、住いが出来上がっていくのだなと実感しています。

話は上棟に戻しますが、学校での講義が終わりなんとか夕刻の牛窓へたどり着きました。
オリーブ園駐車場前から見える瀬戸内の穏やかな海です。


レッカー車のブームが伸びているところが敷地ですが、よーく見るとその向こうに
「屋島」の姿が見えます。あの向こうは庵治、高松です。右の写真の中央に小さく見えるのは
ベネッセの美術館がある犬島です。その右後ろには直島が見えます。

先日、直島福武美術館財団(ベネッセ)の理事長 福武總一郎氏の講演で拝聴した
熱い思いとラップし、何か特別な思いを感じました。


建て方の写真は元浜組の小橋さんが撮影してくださったものを使ってますが
彼は毎日、日報の代わりに写真データを送ってくれます。
地盤改良、基礎配筋などの写真もすべて彼が撮影してくれたものです。
小橋さん、有難うございます。お陰ざまで現場の状況が手に取るように判ります。
  
1階のダイニング辺りの建て方の様子。今回柱は間柱も含めすべて桧材を使いました。



東側平屋部分の小屋組みです。右手の写真は玄関からダイニングへの通り土間に
ある独立柱。黒御影石の束石にアンカー固定しています。ここの床仕上は玄昌石貼りです。

18時頃建て方が終了したので、いそいそと2階と屋根へ上がってみました。
前島のすぐ後ろに小豆島が鎮座しています。美しい眺めです。
 
夕闇が迫る頃、牛窓の南東方向にある旧市街(東町、西町)が見えます

この辺りの木立は別の地主さんのものですが、枝払いの許可をいただいているので
建物が出来上がる頃にはもっと視界が開けると思います。

牛窓は日本夕日百景に選ばれているのですが、本当に美しい夕焼け空です。
岡山市方向に沈もうとしているのかな。
今年の夏は建築途中(9月末完成予定)ですが、建物の真ん前の海に花火が上がりますので
その時は泊りがけで現場監理をしに来よう!