2011年3月28日月曜日

HAJIME RESTAURANT GASTRONOMIQUE






週末の夜、お客様の「Nさん、Yさんご夫妻」から、一緒に食べに行こうと誘われていながら

2ヶ月前にタイミングよく予約をしないと席が確保できない超人気店で、

スケジュール調整がなかなか出来ずにいたこのレストランにやっと伺うことが出来た。


オープン間もない頃、一度食事に来たことがあったのだが、あまり印象に残らず足が遠のいていた。

その頃は北海道のウインザー洞爺にある「ミシェル・ブラス」の料理の印象があまりに強くて、

そこで修行されてた「米田シェフ」の料理を甘く見ていたのかも知れないのだが、

その後 ご存知のようにミシュラン3つ星を獲得され、押しも押されぬ有名店になってしまった。


このところ、食べたものをどうだと言わんばかりに写真掲載しているのでなんとも気が引けるのだが、


私は素晴らしい料理と一生懸命考えた建築は相通じるものがあると思う。

料理人は食材の味覚の違いやカタチ、色彩などを組み合わせ皿の上で表現する。


それはシェフの考え、哲学を表現する場でもある。


まさに固有の土地に施主の意向を踏まえ、建築家が表現する空間そのものではないだろうか。


そう考えながら一流シェフの料理を眺め味わうのは、それこそ建築の勉強の場ではないか。





最後のお茶菓子を堪能し飲み物をいただくまで、知らぬ間にその夜は4時間を越えていた。


それだけシェフの料理に没頭していたのだろう。時間を忘れさせるほど素晴らしい料理であり


サービスがあるからこそミシュランは3つ星をこのレストランに与えたに違いない。


お客様と杯を重ねているうちに新しい交流が生まれそうな会へご紹介していただくことになった。


そこでも「面白いつながり」があるような気がしてなりません。


お食事に招待してくださった「NさんYさんご夫妻」本当に有難うございました。


至福の時間をたっぷり楽しませていただきました。



の葉書は本家本元「ミシェル・ブラス」のガルグイユです。


料理というよりも美しい一枚の絵のような作品。


言葉では表現できないほど美味しく感動した料理でした。




2011年3月24日木曜日

再会





昨日、所用があり神戸のポートアイランドへ出かけた。
直ぐ大阪へ戻らなければならなかったのだが用事が以外に早く片付いた。

同行したT君が近くにあるのなら是非見学させて下さいというので、
久しぶりにその場所から歩いて5分ほどのところにある「株式会社イング」本社を
尋ねてみることにした。

アポ無しで伺ったので代表取締役はお留守だったが、外観だけ見学させていただきました。

約6年程前に設計、監理をさせていただいた思い出深い建物です。
当時は周辺にまったく建物がなく、ポツンとしていたが
今はどんどん建物が出来て、周辺とうまく溶けあってきたかなあという気がする。

酸化チタンの天幕を被った建物はサスティナブルをちょっと意識した建築だった。

前庭の芝生や樹木もしっかり手入れしていただいているので
敷地はとても綺麗で整備されている。


同行のT君曰く、僕がこの建物と対話しているように見えたので
シャッターを押しましたとのことでしたが、確かに感慨深いものもあります。

実施設計、監理をお願いしているスタッフの小浦君と、
日々ぶつかり合いながら図面を描いていた記憶が蘇ります。

今回の大震災のこともあり、メンテナンスを兼ねて今まで設計した建物を
すべて巡回チェックしなければいけないなあと思う日でありました。






2011年3月21日月曜日

不思議な縁





先日、懐かしい人から連絡をいただきました。
電話で話したのは何年ぶりだったでしょうか。

初めてお会いしたのは2000年夏、僕の誕生日。
PLの花火が遠くに見える高層階のレストランでした。
彼はその店の支配人をされていたのですが、
なんだかとてもよくして頂いて、それから事がある度に
そのレストランを利用させていただきました。

スタジオクランツォ事務所立ち上げのお祝いも
そこで行いました。

それから色々な事があり、今は独立され数店の飲食店を経営されています。
シャンパーニュがメインのお店なので、酒の弱い僕はどうしても足が遠のいてしまいます。

その彼「Yさん」から久しぶりに連絡をいただき、昨日僕の事務所にお越しいただきました。
これからの彼の計画などもお話したのですが、とても強く印象に残っているのが
彼のゲストに対するサービス精神です。そしてプロとしての目線。

当たり前のことですが、デザイナーに対する彼の目線は相当に厳しい。
ただ単に空間を美しくデザインすることにあまり興味がないとのこと。
機能とデザインが一致してこそ、ゲストやその店で働く人にとって
居心地のよい空間になるのではないか。
だから今まで納得がいくまで自分でお店のデザインをしてきたそうです。

彼が経験してきたことが重い言葉として残りました。


巡り巡って10年、彼と初めて会ったレストランの椅子が

何故か事務所にあります。不思議な縁ですよね!

昨年「メゾンブランシュ」の加藤シェフからいただきました。

その椅子を横にして話をしたのですが、この椅子君はこんな事が

起こることを予感していたのでしょうか?



そして、23年前デザインしたインパラブラックの石の大テーブル。

これも意志があって、戻るところへ戻って来たような気もします。


何かそんなものがいっぱい詰まった私のオフィスです。









2011年3月18日金曜日

あともう少し!






フルスケルトンリノベーションの住宅「BW-H」、
もう間もなく完成します。

今、最後の追い込みで職人さんたちは必死です。
外構工事もあと少し。明日は植栽が入ります。

一昨年の秋、現地調査に伺った時の写真と比較してみて下さい。
外観も化粧直しして、モダンな住いに衣替えしました。
圧巻は夜間のライトアップですが、それはまた別の機会に。

内部も照明が入り雰囲気が出てきました。
下の写真の職人さんが座り込んでいるところは、大きな一枚ガラスになっているのですが
丁度クリーニングしたところで、ガラスが入ってるようには見えません。

下の写真、スタッフのK君が工務店社長と水盤の吐水口の収まりについて打合せしています。
その水盤、テラスデッキ側から見るとこんな感じ。ブルーシートの手前にはシンボルツリーの
高さ5mのシマトネリコの株立ちが植えられます。
リビングとデッキは同じ床レベルになっていて、ガラス1枚で完全に繫がってます。
水盤にはライトが仕込まれていて、ブルーの光が水中をリゾートホテルのように照らします。

4月に入ると注文していた家具類やバーチカルブラインドなどがセッティングされ、
その後、いよいよ新しい生活がスタートします。
同じ時期に設計を始め、3月14日に引渡しが終わった
「アーバネックス京橋プライマリーワン」に続いて、今度はこの「BW-H」が竣工します。
月日が過ぎるのは何故こうも早いのでしょうか?
クライアントのお子様達の成長ぶりを見ていると、その時間の経過がよくわかります。








2011年3月15日火曜日

TAKE IVY





ハービスエントの雑貨店で懐かしい本を見つけた。
おそらく45年程前になるだろうか、いやもっと古いかも知れない写真集。

僕は中学、高校、大学と「アイビー少年」でした。
知らない方も多いと思いますが、大昔「アイビールック」というファッションが
ものすごく流行った時代がありました。
その当時のお洒落少年の「バイブル」みたいな本なんです。

今見れば何てことはない単なる学生のキャンパススタイルで、
今どきこんな格好している若者もほとんどいないと思います。

でも当時はビートルズやストーンズを聴くだけでも不良!?と言われた時代です。
なんだか歳がバレバレですけど、この本のスタイルに心底憧れてました。



ページをめくっても普段着の学生達が写っているだけです。
当時穴が開くほど見てたのでしょうね。写真の記憶が鮮明に蘇ります。



でもね、カッコイイと思いません?
右の写真の男性、おそらくOBのアイビーリーガーだと思うんですけど。
ところで、アイビーって蔦のことですが、何がなんだかわかりませんよね。
アメリカ東部の有名私立大学8校のことを「アイビーリーグ」というんですが
下の写真のペナント(ハーバード、イエール、プリンストン、ペンシルバニア、コロンビア、
ダートマス、ブラウン、コーネルの8大学)のアメリカンフットボールリーグことで、
すべて古い大学で校舎の壁に蔦が絡まっているのでその名前がついたと言われてます。
日本の東京6大学はそれを真似たものといわれてますが、こちらは野球のリーグが
有名になってしまいました。

アメリカにいる親友のH君、学生時代二人ともアイビー少年でした。
このブログの写真みたら、喜ぶでしょうね!
H君、復刻版だけど1冊そちらへ送ろうか?
今日の夜ブログチェックするだろうから、電話掛かってくるな。
茨城の実家、地震大丈夫だったんだろうか?
    

2011年3月13日日曜日

アコルドゥ(Akordu)






随分とご無沙汰していた奈良 富雄にある
モードスパニッシュレストラン「アコルドゥ」へやっと伺うことが出来た。

昨年冬、オーナーシェフの川島さんから、「アコルドゥ」を舞台にした
BS日テレの「皿の上の物語」のDVDを送っていただき、早く予約をしなければと思いつつ
個人的な落ち込む事情等も重なりなかなか行けないでいた。
美味しいお店ですよとお奨めした「Mご夫妻」が、躊躇している間に行かれたようで絶賛していただいた。
3月下旬にもう一度食べに行きますと、Mさんからご連絡をいただき、紹介した本人が行かないようでは
具合いが悪いぞ!とあわてて予約の電話をしたわけです。

川島シェフの料理プロセスは私達建築家のデザインに対する考え方と類似点が多い。
どういうことかと言えば、彼は食材を前にしてまず、料理の名前を考える。
その名前は感覚的でかつ繊細な「詩」のような言葉の描写だ。
それぞれのフレーズは全体をしっかり構成していく。
建築家が土地を見、諸条件を検討した上でその建物のコンセプトを考える。
その考えを元にダイアグラムを検討し具体的なカタチを作っていく。

食材を見て今日はこの料理にしようと決め、それに見合った名前を考えるのではない。
建築で言う「後付けコンセプト」ではないのだ。
だから今日はすべての料理の写真と、料理名もすべて掲載しますので
料理と名前を比較してイメージしてみてください。

その前に飾り皿の上に落ちた満月。とても詩的でしょう?
単にテーブルの上の照明が映りこんでいるだけなのですが、なんとなくシェフの仕掛けに見えます。

アミューズの前に牧草やハーブを乾燥させ温かいお茶にしたものが出た。
寒い日にお越しいただき、少し体を温めてもらうためにお出ししているそうだ

では最初の料理からご紹介します。
料理名は「深い森のモヒート 柑橘とハーブのアペリテポ」
(大きいグラスにはスモークした干草が入っており、クロケットに仄かな香りを残す。
小さいグラスは柑橘とスミレのカプチーノ)

-スペインとイタリアのオイル 発酵オイルバター ヒマラヤの塩-

「土にまみれた野菜 「冬」 アブラナ科といくつかの葉」
(土に見立てたものはオリーブを砕いてドライにしたものを使っている)

「苺とアヴォカド、海老のサラダ レタスクリーム」

「フォアグラのテリーヌ 赤いリボンと酢漬けのサラダ」
(ビーツを赤いリボンに、ズッキーニを緑のリボンに
その下はホウレン草のジュレ、紫キャベツの酢漬け)

「オリーブオイルの砂 日本のネギと椎茸、ジロル茸、 卵黄とスミレ」
(細長く敷かれているものが森の小道をイメージしたオリーブオイルを
特殊処理した砂、黄色い卵黄の中にスミレのオイル)

「ニホンテキナオワン たら白子と軽いサルサヴェルデ」
(日本料理の椀物をイメージしたもの。抹茶椀に似た器が用意されている)

完全なオープンキッチンなのでシェフの料理姿がよく見える。

「まながつおのアサード 大豆の甘い印象添え」
(日本の家庭で日常的使われる調味料が入ってるが、その微妙な味加減を
上手く処理している。何の調味料かは想像してみてください)

「牛頬肉の30時間火入れと炭火焼野菜の涙 “ひとり静か”」
月桂樹と世界の胡椒ミックス(マダカスカル、テリチェリ、サラワク
キュべべ、タスマニア、ジャマイカ、マラバー、グリーン、ピンク、山椒)

「スペイン 羊たちのチーズ」

「冷たいカカオスープに浮かんだエスプレッソのかす、
軽いコーヒーのクリームと今どきのカゼイン」
(カゼインとはたんぱく質の膜のような物でババロアの食感)

春の兆し 甘い岩肌 レモンクリームと柑橘のジェラート
(甘い岩肌はメレンゲに炭を混ぜたもの)

ざっとこんな感じです。でも一品出される度、素晴らしい表現力と驚きがあります。
そんな名前の付け方が、ワザとらしいといわれる方もあるようですが、
僕はすごい刺激になります。そして何より美しくて美味しい!し料理に余韻がある。
感動モンですよ!お店の名前の通りずっと「記憶」に残る料理です。
シェフとも久しぶりに話をしましたが、控えめで静かな印象で
あのひらめきはどこから生まれるのだろといつも思います。
フランスの三ツ星シェフ、ミッシェルブラスにどこか似てるのでしょうか?

2011年3月12日土曜日








この度の「東北関東大震災 」で被災された皆様に対し
        謹んでお見舞い申し上げます。

      一刻も早い復興をお祈り申し上げます。




           スタジオクランツォ1級建築士事務所
                   所員 一同







2011年3月11日金曜日

僕のおもちゃ本




建築系の仕事と「役者」や脚本の仕事もしている友人のM君が
何かの折にプレゼントしてくれたフランク ロイド ライトの飛び出す建築本。

時々思い出したようにページをめくります。

今まで気付かなかったけど、表紙もよく見るとライトの顔になってました。
ページをめくっていくと、かる~いジャブ程度に絵が立体化していきます。
この落水荘なんかちょっとアゴをかする程度。
写真や図面、説明等もちゃんと掲載してあり、それなりの本です。が、

ページをめくっていくと結構「おおっ!」というようなポップアップが出現します。
下のJOHNSON &SON ADMINISTRATION BUILDING & RESEARCH TOWERや
グッゲンハイム美術館なんか結構な迫力です!!



詳細な部分も作りこまれててノックアウトされそうな出来栄えで、
おもちゃのように楽しめる本です。
時々子供のように一人夢中になってます。
M君、気分転換に楽しんでますよ!有難うございます。