2011年4月28日木曜日

「記憶の家」模型





久しぶりに自分で模型を作った。

いつもなら誰か若いスタッフが作りましょうか?と言ってくれるのだけど、
今はそれぞれがそれなりの仕事をかかえているし、
それとなく「やって欲しいオーラ」を出してアピールしてみたが
みな色よい返事をしてくれない。

仕方なく模型材料屋さんに出向き、必要な材料を買ってきて自分で作り始めた。

単なるスチレンボードの白模型ではプライドが許さない!と一人決心し、
クライアントの「Yさん」ご夫婦には「イメージがすごくわかりやすい!」と
言ってもらいたいがため、それなりのテクスチャーを仕上に使ってみた。




この「記憶の家」は家業であった醤油醸造所の家屋をモチーフにしている。

10代まで暮らしたこの土地に、家族を連れて帰ることになった「Yさん」に生まれ育った
家の匂い、情景を記憶として残してもらいたいし、まだ幼いお子様につないでいって
欲しいと思ったからだ。

最近、歴史や伝統、風習など過去から引き継いできたものを将来へつなげて行きたいと
思う気持ちが強くなってきた。
単に歳をとってきたからかも知れないが、よそ者の設計者がコストや設計の都合で
そこに存在した「何か」を いとも簡単に切り捨てることは出来ないはずだ。

だから空間の内外部にその痕跡を残したデザインを考えた。


住いの入口は外玄関と内玄関があり、その先には暖炉のある通り土間が置かれている。
土間の向こうには蛇籠とコールテン鋼の外塀があり、足元の一部が切り取られている。
(写真は事務所の芝生を稲に見立てて撮影したが、足元の緑など実際の風景も同じはずだ)

青々とした田植え後の稲など南に広がる田畑や空気、光、自然の変化を足元から
しっかり感じて欲しいと思った。
またリビングの北側の格子窓からは、唯一残っている醤油醸造所のレンガ煙突が
見通せるように配置してある。

蛇籠に入れる石はこの辺りで産出される御影石を使う予定だ。
その外塀の間に美しい風景を切り取るコールテン鋼のスクリーンが立てられる。
石積みの雰囲気を出すのが大変でした。
3ミリほどの石を選別する作業はほとんど内職のような地味な仕事でした。




内外部の表現はCGでも作っている。






今度の週末の打合せで「Yさんご夫婦」の反応が楽しみになってきたぞ。





2011年4月26日火曜日

支援




東日本大震災の支援について、自分は何が出来るのだろうとずっと考えていました。

現地でのボランティアや建築に携わる者としてのサポートなどもあるでしょうが、
一時的な支援しか出来ないような気がして、もっと身近に何か出来ることはないのだろうか?

数日前、ユニセフから震災支援の書類が届いて気が付いたのですが、
そういえば10年程前から、世界の子供達が少しでも健康であって欲しいという願いから、
僕はユニセフのマンスリーサポートというプログラムを続けていたのです。
毎月小額ですが10年も続けると、そこそこの金額を寄付したことになり、
多少なりとも医薬品などが子供たちに届けられたかなと思っています。

震災報道のニュース番組を見てて、震災で親を亡くした子供達に何かしてあげたいと
思うようになりました。
そこである孤児達の基金に、ユニセフと同じように毎月小額ですが寄付をすることにしました。
一時的な支援よりも、自分の負担にならない程度の金額を、長く続ける方がいいのではないかと
思ったのです。











どんな子供達もみんな同じだけ幸せになる権利があるのですから、


そのお手伝いが出来たらいいなあと思ってます。







2011年4月24日日曜日

A Tavola!(ア・ターヴォラ)




時々普通の(伝統的な)イタリアンが無性に食べたくなる時がある。

そんな料理を食べさせるお店は数店あるのだが、
わざわざと遠くまで行く時間もない時、近所にいい店があればなあと思っていた。

少し前になるが、「ラ・メゾンブランシュ」の加藤シェフがひょっこり
事務所を訪ねてこられた。
どうしたのかと思っていたら、古い友人がイタリアンのお店をオープンしたので
食べに来たのだけど、隣の建物が僕の事務所だったのでびっくりして
ちょっと寄ってみたとのこと。
美味しいので是非食べてみて下さいと言われ、じゃあ近いうちにと
思っていたのだが、行く機会を逃してしまい、ノビノビになってしまってた。

願叶ってやっと伺うことが出来た。

そのお店 「A Tavola!」は、以前西天満で「カンパネッロ」という店を経営されてた
鈴木勤さんが新しくオープンされた店です。

どこか懐かしいお店の様子。
イタリアのちょっと田舎のトラットリアみたいな感じで妙に落ち着きます。
地元の親父さんたちがエスプレッソ片手に立ち飲みで、今日のサッカーの
勝敗なんかを議論してそうな。。。。そんな雰囲気。

料理担当の女性シェフも5年間イタリアのあちらこちらで修行されてたそうで
現地の定番が楽しめます。






安心して食べられる美味しいイタリア料理です。

お客様との軽いランチや事務所のミーティングに使え重宝しそうです。

オーナーの鈴木さんともすぐに仲良しになってしまいました。

お昼時に事務所にこられる方、是非ランチご一緒しましょう!


A Tavola! 06-6347-1415  (定休日)水曜、第二火曜日

2011年4月19日火曜日

BABBIのウエハース




バレンタインデーに「BW-H」の奥様から頂いた、「BABBI」のウエハース
事務所全員お気に入りになってしまった。有難うございます!

昨日、事務所近くの「ほたるまち」の中にショップがあることを知ったので
私自ら買い求めに行きました。

ちょっとお子様が食べるにはもったいない。大人のウエハース
この「BABBI」、もともとイタリアのチェゼーナという小さな町で
ジェラート用のコーンを作っていた会社だそうだ。
確かにイタリアで食べるジェラートのコーンは美味しいです。

そしてこのパッケージデザインも秀逸。
下の写真はコラボしている堂島リバーフォーラムのカフェ限定のアソート商品。
中身もちょっとカワイイ!



残念ながらこの中に入ってるチョコレートコーティングしたウエハース
(VIENNESI)は在庫切れで買えなかったのが惜しい!


仕方なくウエハースの中にピスタチオクリームとチョコレートクリームが
入った伝統的ウエハース(WAFERINI)を買った。
このパッケージもなかなかセンスがいい。外の紙箱はピスタチオのグリーンで
中の缶はチョコレート色。憎いじゃないですか!イタリアンデザインセンス!!
ピスタチオクリーム、濃厚だけど上品な甘味で美味しい。
何個でも食べれます。

しかしあっという間にスタッフの胃袋に納まってしまうのでしょうね!

今度の週末に打合せ予定の「M邸」の奥様と、その次に打合せ予定の「Y邸」の奥様に
お茶菓子として用意しようかな。

    
イタリア人の味覚のセンスに頭が下がります。











2011年4月17日日曜日

レッドトラバーチン




好きな建築材料の一つに石があります。



その中でも特に好きなのがこのイラン産の「レッドトラバーチン」という大理石。

この大理石が気になりだしたのは梅田の阪神百貨店地下コンコースに

使用されているのを見てから。かれこれ20年以上前です。



その後、強いインパクトを受けたのは九州、福岡の中洲にある「ホテルイルパラッツォ」

イタリアの建築家「アルド・ロッシ」の作品で建物正面に窓がないホテルです。

存在感の強い建物だと思います。


16年ほど前、わざわざこのホテルに泊まるために博多へ行った記憶があります。

設計する際、何処かの建物で必ず使おうとその時から考えていました。

写真「北浜プライマリーワン」エントランスロビーのレッドトラバーチン


それはこの建物「北浜プライマリーワン」でやっと実現しましたが、

1枚のスラブ(2m x 2.5m)の石だったので石屋さんから

スラブのままで使いましょうと言われていたのですが、

石そのものは下の写真でもわかるように非常に素材感のある材料です。


単純に大きい石を3枚並べてしまうには、まわりがコンクリート打ち放しだから

この石の存在感が強すぎると思ったのです。

それに石を貼る面積がけっこうあったので、その重量感も消してした方が

面白いのではないかと考えていました。


レッドトラバーチンを見ていると、イタリアのニットブランド「ミッソー二」を

彷彿させるようなイメージがありました。

そこで40cm角に切り刻み、連続した模様にならないようランダムに貼ったのですが

ねらい通り、美しいニット模様のような重量感の無い壁が出来上がりました。


個人的に大好きな壁で時々ロビーを覗きに行きます。


阪神百貨店地下コンコースを飾るトラバーチン。

大阪の方ならご存知のはず。 この石も輸入量が少なく貴重品です。


トラバーチンはアルプス造山運動による石灰岩が熱と圧力を受けて

大理石化したものもあったが、石灰岩が湧水、地下水などで溶けて移動し、

再沈殿して生じたもので、圧密作用を受けていないので極めて多孔質な

石灰岩で縞状をしている。白い部分はこの縞状のトラバーチンが熱の影響を受け

方解石が脈状に再結晶してるものです。


今度は新しい使い方でチャレンジしてみたいと思ってます。

2011年4月15日金曜日

桜吹雪の中で




昨日、東京へ出掛けていた。 あるコンペの敷地を下見するためだ。


事務所は有難いことに仕事の依頼が重なり、結構バタついているのに


このコンペはどうしてもチャレンジしてみたかった。


それはこの敷地が広い東京の中で身近に感じられる場所であったから。


学生時代、僕は自由が丘という街にアパートを借りていた。


当時のその街は(今もそうだが)とても上品で、街の空気がとても心地よかった。


目黒通りを環状8号へ向かう途中の等々力でアルバイトをやってたし、


その通りや駒沢通りをアルバイト先の先輩の車、オープンの「フェアレディZ」で かっ飛ばしていた。


つまり、青春の思い出の場所なのだ。だからなんだかとても懐かしい匂いがした。


それから、もう一つ。


大阪で通っていたお鮨屋「嘉瑞」の堀内さんが、師匠の「あら輝」のお店を譲り受け


昨年3月に新たにオープンしたお店が、このコンペの敷地から10分程歩いたところにある。


東京に移転してからも何度か足を運んでいるのだが、何か縁があるように思えた。


もしもお鮨がお好きなクライアントで、そこで生活されるようになったら


そのお店に絶対行かれるだろうなと直感した。


そして、最後に施主が希望されているライフスタイルが、


先日完成した「BW-H」と数多くの類似点があった。


だから応募してみようということになった。






桜吹雪の中での現場調査は汗ばむほどの陽気だったが


色々感じることもあり、大きな収穫を得られた。







2011年4月12日火曜日

明日から学校で新年度の授業が始まる。

毎年同じ事の繰り返しに見えるが学生達は当然毎年変わるわけで、

学校の専任の先生方に学生達の情報を聞きながら、

授業内容に変化を入れてその年に対応している。

悔しいけれど自分はどんどん歳を取っていくのに、

彼らはだいたい毎年同じ年齢(18歳くらいか)で入学してくる。

年齢はみな変わらないのに、雰囲気は学年によってすごく違いがある。

それを知るのも面白い。

春休みに仕事を邪魔しに(?)来た学生たち。

彼らは結構行動的な学年です。

でもちゃんとわきまえていたのか、土曜日の午後のゆっくりした時でした。

そして僕の事務所にも一人新人が入った。

といっても、学校で教えてた学生です。

学生時代から、アルバイトや遊びに来たりしているので

初日からなんの違和感もなく溶け込み普通に仕事をしている。

あまり緊張感が無いのも困るので、 ビシビシ厳しいことや小言を言う。

でも、ちゃんと聞いてるのかあ


学生最後のコンペで奨励賞を頂いた新人のK君。

審査委員長から随分と褒められていたけど、

現実は厳しいよ!覚悟しときなさい!





2011年4月10日日曜日

その後の「BW-H」






SS大阪の清水さんが先日撮影した「BW-H」の写真の一部を送ってくれました。

土曜日が天気が悪くて日曜日に撮り直したものです。

よく晴れ渡った日でしたので、こちらの狙い通りシャープな印象の写真が撮れたと思います。


シンボルツリーのシマトネリコの枝が気持ちよく風に揺れています。



外観の夕景も空がブルーバックになって、とてもすっきりしています。


東南方向にあるリビングと一体化したデッキと水盤、

とても気持ちがよさそうです。


駐車場側の壁面は自然石のボーダーを乱張りにし、

夜間のライトアップでより一層、石の特徴を強く出すようにしてあります。



CG画像がブログにもよく出てきたキッチンからリビング側の佇まい。


壁の仕上げに使った「ポルベーレメディアグラッセロ」。


ライトが当たり美しい光沢感をより一層際立たせます。





夕景から夜景への変化。「I さん」のお気に入りのスペースです。


写真はまだまだたくさん撮影しているのですが、クライアントの許可を


いただいて現在制作中の新しいHPで公開したいと思います。


引越した後、今度一年生になる「のんちゃん」に新しいお家気に入った?って


聞いてみたのですが、「ぜ~んぶ好き!」って言ってくれました。


デッキに落ちた葉っぱを集めていると、妹の「さあちゃん」が


枯葉を一生懸命集めてくれて、「ちぇんちぇい はい」と何回も何回も


手伝ってくれて、二人でデッキに座り「日向ぼっこ」をしたのですが、


こういう時間が本当に幸せな時間なんだろうなあと一人思ってました。


ちょっと羨ましいかな。「Ⅰ さん」





2011年4月6日水曜日

何気ない行為




昨日、完成した「BW-H」の引越しのお手伝いに出かけた。


僕は最近ほとんど車は使わないで、公共交通を利用している。


昨日も地下鉄、私鉄、バスを利用した。


「BW-H」は私鉄駅からバスで15分ほどのところにあるのだが、


バス停で待っていると足の不自由な老婦人が杖をつきながら


僕の後ろに並ばれた。


とても不自由そうでじっと立っていられなさそうだった。


まもなくバスが到着したのだが、バス停近くに車が違法駐車していて


少し離れて停車した。そのためにバスのステップまでに段差が出来てしまった。


僕は老婦人の腕を抱いてゆっくりとバスに乗せた。


幾つか先の停留所でその老婦人は「ありがとうございました」と


言われ降りていかれた。 そのあと、肩をポンとたたかれた


「あなたはとても良い事をしましたね!」と言う声が


後ろから聞こえてきた。振返ると白人の老紳士だった。


「僕は何もしてませんよ」と答えたのだが、「出来ない人がたくさんいるんだよ本当に!」と


バスの乗客に聞こえるかのように大きな声で言われた。


途中のバス停には大学があり、学生もたくさん乗車する。


彼らに聞こえるように話したのかもしれない。


彼は途中のバス停で下車した。よく見ると彼も少し足が不自由だった。


何か嫌な思いをしたのだろうかとも思った。


バスを利用するようになって気が付いたのだが、


バスは油圧で車を傾けステップを低くすることが出来るようになったんだ。


10数年前、スイスのバーゼルでバスに乗った時、


停留所でバスがいきなり傾いて人を乗せたのには驚いた。


ヨーロッパはすごいなあと思ったのだが、身近で同じようなバスを見て


とても嬉しくなってしまった。 しかし、震災のその後の事もあるけれど


人が人を手助けすることに特別な意識を持たないで


自然に振る舞える当たり前の世の中でありたいと思う。



2011年4月4日月曜日

撮影




リノベーション住宅では昨日、今日と竣工写真の撮影を行いました。


カメラマンはSS大阪の清水さん。代表的な作品は滋賀の佐川美術館。

このところ、事務所の竣工写真撮影が立て続けに4件あって、この住宅で完了です。

HPを更新していないため、未発表の作品がたくさん溜まってますが、

近いうちに新しいHPが出来ますので、ドーンと多数の竣工建物をUPする予定です。



DW-Hを撮影中の清水さんと、ちょっとモデルになってもらったスタッフの「T さん」。


カッシーナのソファ「マラルンガ」なんてあんまり座る機会がないのですが、


テレビの高さを確認してもらうため、ちょっとソファに腰を下ろしてもらいました。


ちょっと嬉しそうに微笑んでます。                                                           \


昨夜、外部照明確認のため、施主の「I さん」ご一家にお越しいただきました。


水中照明やフロアライトを利用して、ホテルヴィラの雰囲気を演出してましたが


「自分の思い通りの仕上がりになって、非常に満足してます」とお褒めの言葉を頂きました。


お二人のお嬢さんも大喜び、よかった!明日はいよいよ引越しです。


それから今日は施主「Iさん」の了解を得て、自宅を検討中の「Nさん」も見学に来られました。


色々イメージを膨らませて帰られましたが、夢が早く実現するといいですね。




2011年4月1日金曜日

変身




フルスケルトンリノベーション住宅はもう間もなく引越しです。

今日は親世帯の家具類が搬入されました。


ご両親が住まれる2階部分はいつでも生活が出来るようになりました。

もの凄い「変身」です。

わかりやすいように建物のビフォア、アフターを並べてみました。

明日は1階リビングに置くカッシーナ社の家具類が搬入されます。


        改装前全景               改装前の庭


改装後全景               改装後の庭、デッキテラス    


納品に来られる家具屋さんや仕上げ業者さんはみなさん新築と思ってます。


デッキスペースに植えられたシンボルツリー(株立ちのシマトネリコ)


足元は「稚児笹」を密生させます。



リビング、サンルームにはバーチカルブラインドが取り付けられ


太陽光線をリズミカルにカットしてくれます。穏やかな光と影です。


水盤に水を張ると、キラキラした水面が天井を遊び場にするでしょう。



ダイニングテーブルの上にはシャンデリアが。。。


スタッフの「T さん」がクリスタルの配列を検討中。


色ガラスの入ったシャンデリアは2階のダイニング用。


既製品のシャンデリアにオリジナルなカラーガラスを加え


世界に一つだけのシャンデリアを作っていきます。



日、月曜日とカメラマンに撮影をお願いしているので、


気持ちよく晴れたらいいのですが。。。


夜のライトアップも本当に美しいです。


ただし、震災後でもあり資源節約のため、照明回路を細分化して


LDE系の照明器具を多用し消費電力を抑えていますし、


シーンごとに必要な照明だけをピンポイントで点灯できるように 配慮してあります。


明後日の夜、クライアントの「I さんご夫妻」と最後の検査をしますが


ご家族の皆さんに気に入っていただけるといいのですが。。。


特に「のんちゃん、さあちゃん」姉妹にネ!