2012年3月30日金曜日

櫻山居の雑貨店「〇 ENN」



昨日は岡山県瀬戸内市に一昨年完成した「櫻山居」の1年点検の日で、
スタッフ共々みなでお伺いしました。
天気もよく晴れ渡り、暖かな春の日でした。

僕も久しぶりに櫻山居へお邪魔しました。竣工写真の撮影以来ですから1年ぶりでしょうか。
施主の「Kさん」から昨年11月6日櫻山居にお店をオープンすることになりましたと
ご連絡をいただいたまま、当方の都合でなかなか伺うことが出来ずにいました。

それから5ヶ月。。。。やっと昨日伺う事ができました。
Kさん、お母様、大変申し訳ありませんでした。
撮影時はまだ荒地だった南側の土地は開墾されつつあります。
将来は芝生の寛ぎスペースと有機野菜の畑になる予定だそうです。

玄関には大きな「〇」が染められた暖簾がかかっていました。
そうなんですお店の屋号は暖簾の通り「〇ENN」といいます。
とりあえずお店を見る前に、仕事、仕事。
何せ1年点検に来たのですから。。。。

外周、内部、設備、床下と点検、確認を済ませ手直しの方法等などを
打合せをした後、2階の西側バルコニーへ出てみました。
上の写真の手摺りが付いてる部分です。

そこには1脚の椅子が海に向かって置いてありました。

椅子に座れば畑や雑木林の向こうに瀬戸内の海が広がります。
その向こうには高松の屋島が霞んでいます。
夏には高松市の打ち上げ花火が見えるそうです。
勿論牛窓の花火は目の前に上がります。

日がな一日この椅子に座ってぼーっとしているの が
最高の贅沢のような気がしました。


さてさて、肝心のお店ですが、色々なモノを取り扱う雑貨店です。

しかし、こだわりの商品がハンパではない!!
写真では紹介しきれませんが特に力を入れている商品を少しだけ紹介しましょう。

まずはウエアから。。
下は北欧フィンランドの超有名ブランド「MARIMEKKO」のメンズシャツ
これ相当なレアものらしいいです。なかなか手に入らないシャツ。
大都会のお店に置いていたらあっという間に完売でしょうね。


これもMARIMEKKOのアンテーク  レディースワンピース。
かなり古い時代(1960年代でしたっけKさん)のもので
今は手に入らない超レアなドレスです。

その子供服バージョン。デザインやパターンが北欧らしい。

こちらは「めぷらーな」という広島の手作り石鹸屋さんの商品 。
自然の材料だけで作った肌にやさしい石鹸です。

下の写真のザルは高知県の四万十川上流で、年配の男性が一人で
コツコツ作ってらっしゃいます。
水切りの金網の下に足が付いているので、そのまま置いていても

ちゃんと水切りが出来ます。
3段の入れ子になっているので収納もコンパクト。
細かい部分まで手を抜かないで作ってあるのでプロポーションが美しい。

本当に色々な品がありますが、Kさんとお母様が時間をかけて集められたものを
お店に並べてるだけなのですが、そのモノを見つけ出すセンス、審美眼は素晴らしい!
アンテークや陶器などあらゆる種類の雑貨が置いてあり、見ているだけでも楽しいです。

お近くに行かれる機会がありましたら是非覗いてみて欲しいですね。

牛窓「〇 ENN」

〒701-4302
岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓410-1
電話 090-4764-0966
営業時間 12時~19時
各種クレジットカード 可
定休日 木、金曜日

宜しくお願いします。

2012年3月27日火曜日

春の息吹




今日は「海に背を向ける家」の定例会議。

阪急王子公園駅を降りて、川沿いの遊歩道をゆっくりと登っていく。
穏やかな光がとても気持ちよく、少しばかり春を感じる。
歩道の左右をよく見ると春の息吹がいっぱい。

会議までには少し時間があったので、ちょっと道をそれて自然観察。
平戸ツツジか何かの新芽でしょうか、美しいプロポーションです。
色もいい。幸せ色のカラーでとても和みます。

こちらはソメイヨシノの蕾。
まだ硬いままですがこの日差しが続くと、ちょっとづつ膨らむのでしょうね。
寒い寒いといいながら自然は確実に春を迎えています。
こんな小さな出来事に心を向けて日々穏やかに過ごしていきたいものです。

ところで「海に背を向ける家」では壁を漆喰で仕上る予定でした。
でも何か物足りないなあという話を打合せ中、奥様としていて 何かの拍子に
少し価格は高くなるけど「FARROW&BALL」の自然塗料で
仕上たらどうだろう?という話になった。

結局、写真に写っている下地ボードの部分などをすべてその塗料で
仕上げることになったのだが、工程的にもまず塗装下地の紙クロスを
全面に貼らなければならないため少し時間がかかる。
でも納得のいく住まいにしたいからということで、設計変更して進めています。


この塗料は「櫻山居」や「BW-H」でも使っているので
要領はわかっていますが、今回は内装全体が少しトラディショナルな
雰囲気の仕上になるため、より一層このイギリス生まれの塗料が
マッチングすると思います。

久しぶりにこんな仕事をすることになりましたが、とても楽しんでいます。

2012年3月26日月曜日

豊かな週末!








週末、土曜日は芦屋の「Tさんご夫妻」と久しぶりに打合せ。
キッチンのカタチでずい分悩まれていましたが、やっと実施設計に向けて前進です。

日曜日はたつの市の「記憶の家」で、リビングダイニングの床に荏油を
みんなで塗ろうということで、施主のYさんご家族、スタジオクランツォスタッフ、
施工会社の監督など6名+外野席!?のYさんのお父様が集まり作業開始!


塗り油は山桂産業さんの純 植物油「えごま」。
エゴマ油は食用として使いますが、これは木製品の
保護用のもの。1瓶で15畳ほど塗れます。
とても伸びのよい油です。乾性油ですので1~2日で乾燥します。
時々乾拭きすればいい艶と色に発色します。

スタッフが必死でオイルを塗りこんでいます。

1時間半ほどで30帖のLDKを塗りましたが、おそらく月曜日は
あちこちで筋肉痛の悲鳴が聞こえるのでは。。。。

作業ののち、車で1時間弱戻った三木市吉川にある木工作家「徳永順男」さんの
工房を尋ねました。彼には記憶の家の「玄関ドア取っ手を作ってください」と
お願いしているので、その打合せに伺いました。
珍しく今日は誰も訪問者が来ないそうで、ゆっくりと話をすることが出来ました。

数日前、日曜日に伺いますと電話したら、「今日ココイロって番組に出演するから
時間があったら見ておいて」と言われ、Yさんにも連絡して見ていただきました。
徳永順男さんのことは以前にもブログに書いてますので、詳しくは省略させて
いただきますが、玉鋼のカンナを使って仕上る椅子やテーブルを作る作家です。
日本刀のような切れ味なので、木地の順目、逆目関係なく美しく仕上がります。

サンドペーパーで仕上る方法とは違い、フィニッシュカンナだけで仕上るので
手にカンナの微妙な削痕を感じ、人が丁寧に仕上た優しさや温もりに
触れることが出来ます。
住まい中ではテーブルや椅子以外に手摺りや取っ手にその感触を使いたいと
ずっと考えていたので、「記憶の家」でやっとそれが実現します。

徳永さんは家具の仕上にエゴマ油に イボタ蝋を削って混ぜたものを
溶かして使ってるそうです。白いモノがイボタ蝋、瓶はえごま油です。
下の写真はそれで仕上たケヤキ材を使った椅子の肘部分。
杢目がとても美しい。。


完成したばかりの椅子(左)と1年ほど経過した椅子(右)
鉄染という錆びた釘を水に入れその溶液で仕上ると
木のタンニンと鉄錆が反応して黒っぽいいい色に変化していきます。


帰り際、徳永さんから本を頂きました。
出版されたばかりの本ですが、関西で頑張る木工作家26人を紹介してます。
もちろん徳永さんも一番最初に紹介されてます。

Yさんの奥様からも美味しいお土産を頂きました。
京都「ジュヴァンセル」の竹取物語というケーキ。これ本当に美味しい!
有難うございます。栗と大納言が絶妙ですね!


「よねむら」という創作フレンチを京都祇園に時々食べに行くのですが
その並びにこのお店があり、たくさんの人が並んでていつもなんだろう?と
思ってたのですが、やっと理由がわかりました。


今度僕も並ぼうかな!

2012年3月21日水曜日

酒中花 空心







休日夕方、設計コンペの模型制作が終わりプレゼンボードもなんとか完成して
コンペの依頼主に郵送した。やれやれちょっと一段落。
これで、やっと友人達と久しぶりの中華料理にありつける。。。。

写真はそのプレゼン模型の1階部分。朝日の入り方検証写真です。

夜は西区新町の「酒中花 空心」へ。

友人がランチしに行く度、シェフから「僕を食べに連れて来て欲しい」とずっと
お願いされてたそうで、この日やっと伺うことができた。

自分としては2年くらい行ってないなあ、ボチボチ行かないとなあと思っていたのだが、
実は4年近く伺ってなかった。そんなに行ってなかったのか。
席に着く前にわざわざ客席へ出てきてくれて。。。シェフ、ゴメンネ!

だから今日はお詫びを兼ねて料理たくさんアップします。

「空心」は「一椀水」と双璧をなす若手中華の名店です。

まずは定番「ひしの実」水草「菱」の実の部分を茹でたもの。
塩をつけて食べますが栗と似たような味です。
付け合せは胡瓜の麹漬け豆板醤でいただきます。

レンゲに乗せられた千珠牡蠣グレープフルーツと沙茶の香り
兵庫県相生市で生産される千珠牡蠣は以前にも食べた事がありますが
とても美味しいです。

イペリコ豚の生ハムではありません 。一見最上級の生ハムに見えますが
自家製の干し肉です。でも味はハモンイペリコの最高級品ペジョータに
そっくり。。スペイン通の友人も同感!
これをアスパラガスと生湯葉の白湯スープにくぐらせいただきます。
空心らしい一品です。



定番、やわらか角煮の特製黒酢酢豚。これは誰もが絶賛する品。
外はパリッと中はしっとり柔らかく。。付け合せの百合の蕾も美味しい!



手羽先10種類の香辛料蒸しフルーツトマトのソース添え。
何種類かの唐辛子と月桂樹の葉で中身は見えませんが、

近寄ると唐辛子の香りで涙目になりそう。。


上に乗せられた香辛料を取り除くと中には八角や丁子、
柑橘類の皮と一緒に手羽先が現れる。
一度素揚げされた肉は蒸されることで柔らかくジューシーでスパイシー。
インド料理に使うガラムマサラのような香りというべきかな。。。
その手羽先にフルーツトマトベースのソースをかけて食べます。

そして最後に定番中の定番「四川麻婆豆腐」。
そのまま食べても美味しいですが、ご飯の上に乗せるともうたまりません!
初めて空心に来た若い友人はもう痺れる辛さに麻痺したのか、止まらなくなって
一気に食べてしまい、それでも足らず他の人の分まで完食!

デザートの汲み上げ杏仁豆腐。
これが癖になる味なんですよね。
写真にはありませんがゴマ団子もとても美味しいです。
熱々をフウフウしながら食べるのがいいんです!

食事の後、シェフと少しお話をしましたが、香港や台湾で修行した
彼の料理は創意工夫に溢れてるけれど、しっかりした中華の基本は
外さないし、何を食べても美味しい。
以前と比べるといい意味で一層アグレッシブな感じもするけれど
楽しみなお店です。2階には中国茶と飲茶のスペースも出来て
益々繁盛されてますね!
また食べなかった他の料理を食べに来なくては。。

2012年3月20日火曜日

仕上げに入った記憶の家




週末「記憶の家」では最終仕上げの打ち合わせ。

写真のリビングダイニングの床は床暖房対応のフローリングにするのだが、
仕上に荏油(えごま)を塗る事になっている。

自分たちの家が出来上がっていくのに、ただ傍観者でいるのは気が引けると
施主のYさんご夫婦が仰るので、事務所スタッフも参加してみんなで
塗布しようということになった。
30帖ある部屋だが、みんなで塗ればそんなにたいそうな事でもない。

Yさんには寝室の一部の壁も漆喰を塗っていただく事になっている。
ちょっとした運動ですよ、頑張って!Yさん!

リビングに置くソファのサイズ最終確認確認中のYさん。
身長が185cm程ある方ですが、天井高が4mほどあるのが
お分かりでしょうか?
正面の開口はリビングの引戸が入りますが、右の壁の中に
1枚扉が引き込まれます。
その向こう側は通り土間。玄昌石風の60cm角の黒タイルの上に
薪ストーブが鎮座しますが、天窓から淡い光がこぼれ落ちます。
左側は5枚引き込み戸でオープンデッキにつながります。
来週にはキッチンがセットされます。

2012年3月16日金曜日

卒業とティラミス




昨日は講師をしている中央工学校OSAKAの卒業式だった。

卒業式と2次会までの間、式場も2次会会場も、
僕の住まいの至近距離にあるということで、僕のプライベートに興味深々の彼らは
是非、僕の家に来てみたいと切望していました。

せっかく来るのだったら、シャンパンとちょっとした前菜くらいは用意しようと思ってた。
それにあまりゆっくりとした時間は取れないが、何か印象に残るような一品も作ろう。

そこでフィレンツェの食堂のオヤジに教えて貰ったレシピを元に、
ちょっとアレンジした手作りのティラミスを作ることにした。
料理なんて1年に1度くらいしか作らないので大したものは作れない。

しかし、お菓子は材料の分量さえ間違わなければ、誰でもある程度ものは作れる。
唯一こだわっているのは生クリームの泡立て。
自分のイメージ通りの滑らかさを出すため、
機械を使わず冷やしたボールの上で泡立てる。
前日の夜、必死でかき混ぜました。

肝心の味の方はうっかり聞き忘れたが、すべて平らげていたのでちょっと安心。。。
マスカルポーネチーズを1パック使うため、どうしても余分に出来てしまう。

翌日、残りを事務所に持参してスタッフ達に食べてもらったが
美味しかったでしょうかね?皆さん!

卒業式後の茶話会。
まあなんとか全員無事卒業できたのでちょっとホッとしました。
「みんな卒業本当におめでとう!」

毎年の事だが学生達は社会に巣立っていく。
これから先、僕が彼らにお世話になることも数多くある。

現に現在愛知県で計画を進めている「O」さんご夫妻の住まい。
教え子の一人が名古屋で住宅設計の仕事に携わっているので
色々とお世話をかけています。「N」君有難うございます。

いつか日本の、いや世界のあちらこちらで彼らと仕事を
コラボしてみたい。

そんな日を夢見て日々精進しましょう!

2012年3月12日月曜日

少し落ち着いて!




このところ忙しない日々が続く。

計画通りに事が行かないと、車の渋滞と同じですべてが滞る。
空回りしているのか、多忙なのかもうまったくわからない!

計算通りであれば、今頃は現在温めているいくつかの
住宅プロジェクトをじっくりと考え、それにちょっとまとめて
休暇を貰おうかなどと考えていられたのだが、現実はそうそう甘くないぞ!

工事中、これから工事が始まるプロジェクト、設計が佳境に入るプロジェクト、
新しく計画がスタートするプロジェクト。。。。
それぞれにスタッフを振り分けて対応しているのだが、色々な理由でちょっと
つまずくと、ズルズルと悪い流れになってしまう。

気持ちを切り替え少し落ち着いて、何事もポジティヴに考えましょう!
一年中好きなことをさせていただいているのだから。。。
興味津々で模型を眺める嬉しそうなクライアントの方達を思い浮かべながら。。。

写真は奈良、富雄にあるモードスパニッシュの雄「アコルドゥ」
美しい店内でしたのでちょっと写真を。。
本当にヨーロッパのどこかにいるみたい。。。


昨日は昼間、名古屋で「Oさん」と打合せ。夕方大阪へ帰ってきて
夜は20年近い付き合いの会社社長「Nさんご夫妻」とプライベートな食事。
久しぶりに遠慮なく食べ、笑いとても楽しいひと時でした。
いい気分転換が出来ました。
また1週間頑張ろう!

2012年3月8日木曜日

好敵手!?






大阪北区の老松町通りの東側入口近くに、今勢いのあるフレンチの名店が2軒ある。
シェフは二人ともまだ若いが、非常に実力のある人たちだ。

料理についてどちらがどうこうとコメントするつもりはまったく無いが、
片やエネルギッシュでパワーがあり、他方は繊細でシェフの美意識が
皿の上に表現されている。




「ユニッソン・デ・クール」
偶然にも1週間おいて2つのフレンチを食べる機会があった。
近所なので互いに意識しない訳にはいかないだろうが、
こうやって2つのお店の料理を並べてみるとまったく違う。
コンセプトも見た目も味もことごとく違うのだからとても興味深い。




「アキュイール」
自分の仕事(建築)に置き換えて考えてみた。
僕には「好敵手」といわれる人がいるのだろうか?
年齢的に近い、経験値が似ているなど、そんな人たちは大勢いるが
果たしてそれは「好敵手」といえるのだろうか?

自分にとって設計に関わる人たちは年配者も若手もすべて意識している。
「好敵手」というレベルではなく、みなすごいなあ!よくそんなこと思いつくなあ!
そんな感嘆する言葉ばかりが浮かんでくる。
もっと頑張らなきゃ!もっと本を読もう、建築を見よう!そんな意識がある間は
進歩出来るのかも知れない。先へ進めるのかもしれない。

年齢や肉体はどうあがいても老いていくけれど、脳や精神は衰えるとは限らない。
そんなことを考えながら毎日を過ごすのも楽しいものだ。

2012年3月6日火曜日

錨を下ろしたフロートハウス



土曜、日曜、月曜日とASJ紀伊田辺スタジオ主催の「未来をのぞく建築家展」に
参加のため、和歌山県新宮市へ出かけておりました。
また、昨年晩秋に初めてお会いして、プランニングを依頼された新宮市の若いご夫婦
「Mさん」にそのファーストプランをプレゼンすることも目的の一つでした。

出発前夜まで、新人スタッフの「M君」や「Hさん」が必死に作ってくれた模型を携え
朝一番の新宮行き特急「オーシャンアロー号」に乗り込んだ。

「Mさんご夫婦」とは時々メール交換していたのだが「空中にぽっかり浮かぶリビング」を
作りたいと僕が書いていたので、どんな建物なのかご夫婦でずっと考え想像していたそうだが
本当にどんなものか想像できなくて、頭が混乱していたそうだ。
「Mさん」紛らわしいこと言ってごめんなさい。

約束の時間、「Mさん」は果たしてどんな建物が出来ているのか
とてもドキドキしていたそうだ。
お二人ともとても緊張の面持ちでしたものね!
前日、お二人のお母様がお見えになり、僕の作品をご覧になられたのですが、
お二人のプランは一切お話しませんでした。
お母様もプランの事はまったくお聞きにもならなかったので、ちょっとほっとしました。
やっぱり、まずはお二人に見てもらいたかったので。。。

テーマは「錨を下ろしたフロートハウス」
コンセプトを話し出すととても長くなるので、今回は割愛しますが、
「フロートハウス」とは水に浮かび自由に移動できる水上コテージのようなもの。
写真は現代的なフロートハウス。カッコいいですよね!

出典 blogs.yahoo.co.jp

今回計画されているロケーションを考えると生活の中心になるリビングは
どうしても2階にしたいと思ってました。

周辺を建物に囲まれているため、唯一開いている北西、南西方向に建物の顔を作り
その部分を強調するデザインにし、黒い外壁にそこだけがホワイトのぽっかり浮かぶ
リビングダイニング。ゆっくりと浮遊しているような「フロートハウス」をイメージしていました。

そのリビングの窓からは新宮の街を見守る神倉神社と神倉の山々そして
天然記念物の「浮島」を切り取る。
日々そんな風景に囲まれて生活ができたら、とても清らかで大らかになるのではないか、
そして、「この土地に根付いて生活をしていく覚悟を決めて船の錨を下ろそう」そんな
家にしたいと考えていました。

お会いして、まず用意してきたコンセプトを読んでいただき、
その後、図面をご覧いただきました。一通りの説明を終え、
箱の中からこの「錨を下ろしたフロートハウス」の模型を出してお見せしました。

お二人はちょっと驚いたような顔をされましたが、すぐに嬉しそうな笑顔になり
少し興奮気味に模型を眺めていらっしゃいました。
とても気に入られた様子でしたので、この模型はお二人に預けていくことにしました。

プレゼンが終わり夕刻、新宮を発つ時間が来たので駅へ向かったのですが、
そこに「Mさんご夫婦」が見送りに来て下さってました。

とても嬉しかったなあ。なんだか互いの距離がぐっと近くなったような気になり、
柄にも無くちょっと目頭が熱くなっちゃった。。。。
プレゼンが終わった後、家に帰って嬉しくて嬉しくてずっと模型を眺めていたそうです。
僕も嬉しかった。。親子ほど歳も離れた僕にこんな若い方がプランを依頼され
それを気に入ってくださって。。。
名古屋の若い「Oさんご夫妻」の時と同じような暖かくて、とてもとても
アットホームな気持ちになって。。なんだか身内みたいな。。。

事務所スタッフのお土産にとこの「もうで餅」を用意して頂いて
大変恐縮していたのですが、聞くとこのお菓子は「熊野本宮大社、熊野那智大社
そして熊野速玉大社」でしか販売してないとのこと、わざわざ買いに行って頂いたそうで
とても恐縮です。

こし餡が入ったお餅を玄米粉(はったい粉)でまぶしてある、素朴で上品な味。
玄米粉なんて僕ら世代には懐かしい。。子供の頃、オヤツ代わりに砂糖を入れて
お湯で煉ったこの玄米粉をよく食べました。今どきそんなものは子供は
食べないでしょうけどね。。どこか懐かしい味でした。


その夜、家に帰ると「Mさん」からメールが届いてました。
そこには「このカッコいい家を絶対建てます」と決意表明がありました。。。