2012年10月27日土曜日

陽だまり



先日、4年前に卒業したF君がアトリエを尋ねて来た。
卒業後、地元の設計事務所に勤めていたが、
うまくいかなくて辞めてしまった。
その後、友人達と店舗デザイン、グラフィックデザインを
メインにしたオフィスを立ち上げ、今は軌道に乗りつつあるという。

ちょっと逞しくなって、顔に自信が出てきたね。
言葉に強さや筋が通ってる。

一昨日は去年卒業し、今は研究科に在籍する教え子が3人
CG制作の手伝いに来てくれた。学校で授業してた頃を思い出す。
みなパソコンをサクサク動かしながら、どんどん3次元の図面を
描いていく。知らぬ間にずい分と手際よくなったよなあと感心する。

昨日は3年前に卒業した「T君」が遊びに来た。
卒業後、僕のアトリエで少しバイトしていたのだが、
「やりたいことがあるのなら、何故それを目指さない!」と
キツイ説教をして社会に送り出した。
それから2年、今は知り合いの設計事務所で鍛えられている。

やっと自分から先々の希望や抱負を話せるようになってきた。
僕のブログをいつも読んでくれてて、その中に時々登場する
苦楽園のお鮨屋さんがどんなに美味しいものなのか、
なけなしのお金をはたいて「おばあちゃん」を連れていったそうだ。


















予約する際、予算をいってその中で納めてもらうよう
事前に話したそうだが、しっかりしてるやん。
お鮨の味はもちろん美味だったそうだが、それよりも
お店の大将「松本純」さんの迫力に圧倒されっぱなしで
それがとても印象に残ったそうだ。
30歳そこそこで美食家達を相手に堂々と
渡り合っているんだがら、只者ではないよね。
いい勉強になったのではないでしょうか。。。。

そんな教え子たちを見てると、僕は穏やかな陽だまりの中にいる
お爺ちゃんになったような気分。。。
暖かな日差しが身体を包み込み、転寝をしてるような、
夢の世界を旅してるような「ふあふあした気持ち」になります。































2012年10月24日水曜日

欧州の香り



少し秋らしくなって来ましたね。
今日、授業中目の前にある緑地公園を眺めていたら
公園の樹木も少しずつ色づき始めたように感じました。

昨日、建物の竣工写真をお願いしているSさんが
「海に背を向ける家」の竣工写真CDを持参してくださいました。

この住まいは2年前の8月に設計が始まり、
その年の12月に既存の建物を解体し、工事がスタートしました。
混構造3階建ということもあり、解体した後に地盤調査を行い、
少し時間をかけて実施設計を完了させました。
工事期間も少し長めでしたが、隣接して長く住まれている
住宅がありましたので、ご家族に負担をあまりかけないで
施工することが出来ました。

周囲からあまり飛出しないで景観のバランスを取ることと
「神戸の山の手だからといって何が何でも港が見える住まいに
しなくてもいいですよ」という奥様のお言葉に後押しされて
ダイナミックな内部空間を楽しむ住まいを提案しました。














外装は外張り断熱で包み表情を出すために
断熱効果の高い「伊豆新島産の抗火石」を地上階と
2階3階の一部に使ってあります。


















竣工写真なので設えはまったくしておりません。
美しい大理石、無垢のオーク材、ウォールナット材、
そして英国Farrow&Ball社の自然塗料で壁、天井など
内部空間のほとんどを仕上ました。


















内部に光を導き入れるためにあらゆる場所に
採光用スリットを作ってあります。




































お手持ちの家具などに合わせるため
ロートアイアンの手摺り、シルクのカーテンなど
内部は少しクラッシックな仕上げにしてあります。
でも新しく購入された家具はカッシーナ社の
「マラルンガ」や「キャブチェア」などをお奨めしました。
伝統的な家具とモダンな家具を組み合わせた
どこか「ミラノ」辺りにあるようなお住まいにしたかったのです。




































ロートアイアンを使うお住まいを設計するのは
本当に久しぶりでしたが、色々な出会いや繋がりもあり
楽しい仕事でした。
すべての仕事が終わった訳ではありませんが、
「Mさん」素晴らしい出会いを有難うございます。
またこれからも宜しくお願い致します。

「海に背を向ける家」から、芦屋の「眺めを楽しむ家」へ
そして東京の大規模リノベーションへと流れは続いています。

2012年10月21日日曜日

引き寄せる力!?



この週末も京都へ。
日曜日にお客様とヒアリングがあるので、下調べのため
天気のよかった昨日、敷地調査に京都東山の永観堂近くへ。
周辺には木々に囲まれたお屋敷や明治の頃の別荘などが並び
京都の格式と街並みの美しさを肌で感じます。
空気も凛としていて歴史の重みが「場の緊張感」を作り出しています。














11代小川治平作庭の美しい庭。


















夜は以前からクライアントの「Kさん」にお誘いいただいていた
写真のお店へ友人のS君と伺った。


















総勢12名の食事会であったが、2ヶ月に1度このお店で
素晴らしいワインを持ち込んで食事会を催されているとのこと。














塩釜と朴葉に包まれているのは京都牛です。














旨みが凝縮してとても美味しいお肉でした。














盛り上がってきた頃、出身地の話になり、
「長崎です」と答えたら隣に座られた女性から
「私も長崎です!」「長崎のどちらですか?」
「市内です」「いや僕も市内です。どのあたりですか?」
「銭座町というところです」「今は西坂ですが、僕も銭座町に住んでました」
「ええっ!〇〇寺の近くです。」
「僕が小学校の頃よく遊んでた場所です」。。。。

なんとご出身がご近所の方でした。またまたご縁続きですね!不思議です。
不思議ご縁続きでもう一つ。
そのお隣に座られていた方、偶然にも私のアトリエのすぐそばにある
スイーツショップの経営者の方でした。














時々プリンや魔法のロール買ってるお店ですが
共通の知り合いの方もいらっしゃって、
初めてお会いしたかたばかりでしたが
不思議なご縁の会でした。

2012年10月16日火曜日

京(みやこ)へ通う



週末(土、日)建築家展参加のため、
平安神宮向かいの「京都勧業館みやこめっせ」へ
出かけておりました。

土曜日にはスタジオクランツォを設立した頃、
僕と一緒に設計の仕事を頑張ってくれてた、
大津在住のSさんがイベント会場に来てくれました。
子育てのため退社したのですが、年賀状でご家族の様子は
毎年報告してくれてたので、長い間会ってないような感じは
しませんでした。でも直接会うのは7年振りくらいでしょうか。
ぼちぼち子育ても落ち着いただろうし、
アトリエへ戻ってきたら。。。と勧誘しております。

月曜日も打合せのため宇治市へ。
今週末も敷地調査や打合せのため京都へ出かけることに。
11月23日~25日の間も京都での建築家展に参加します。
なにやら秋の京都にご縁がありそうですね。

まだ紅葉には早すぎて1ヶ月以上先にならないと無理でしょうが
今回プランを考える敷地は紅葉の名所「永観堂」近くだそうで
一番美しい時期にあらためて敷地を見てみたいと思います。

もう紅葉してる!?。。
写真は残念ながら昨年の「東福寺」の紅葉でした。
































こういった風景は日本人の心を揺さぶりますよね。
美しいところには人もたくさん群がってしまうから
落ち着いて紅葉を楽しむことは出来ませんが
どなたか静かに一人楽しめる場所をご存知でしたら
是非教えてください。

2012年10月12日金曜日

ちょっと一息



6月から東京で進めていた大掛かりなリノベーション計画、
昨日やっと工事の契約までたどり着き着工の運びとなりました。

180㎡ほどある空間がどのように変化するのか楽しみです。














年内に完成予定ですが、30坪くらいの住宅が2棟新築
できるくらいのコストがかかります。
いろんな理由はありますが、良い物を求めた結果でもあり、
日常生活を心から楽しみたいというお施主様のご希望に
お答えした結果となりました。

昨日は久しぶりにご主人のAさんとお会いしましたが、
相変わらずの存在感に同行した建設会社の役員の方たちも
緊張の面持ちでした。
わたしのブログも読んで下さってるそうで、とても嬉しかったです。

理想的な歳の重ね方をされているので、同い年の僕としては
男としてちょっと悔しいけれど羨ましいかぎりです。
負けないように頑張ろうっと!

ところで少し前ですが、クライアントのN社長ご夫妻と久しぶりに
食事を楽しみました。
Aさんと同様に人生を楽しまれている成功者ですが、
フランクに、本当にフランクにお付き合いをさせていただいてます。
今回は秋らしく「菊」をテーマにした料理を作って頂きました。

菊の花びらをたくさん散らした鍋です。














中身は秋の食材が具沢山です。
あっさりした味付けで何杯でもおかわりしてしまいます。














「のどぐろ」炭で炙って、肝を使ったタレをかけ
おろし大根と一緒に。なんか菊入ってたんですけど
中井さん忘れてしまいました。ゴメンナサイ!














菊芋のごはん。
味付けにウニがたっぷりと入ってます。
シンプルなのに深い味でみんな凄い勢いで
おかわりしてしまいました。ご馳走様でした。














西天満「松弥」にて

2012年10月9日火曜日

パンドラ



自宅の食器棚、イタリア・ドリアデ社の製品を使ってます。
アントニア・アストリという建築家でインテリアデザイナーの作。
「パンドラ」というシリーズ名がついてます。
ドリアデ経営者の妹さんでもあり、主だったドリアデの製品は
彼女がデザインしています。


















とてもシンプルなデザインで、飽きがこないです。
アルミとフロストガラス(スリガラスのようなもの)で出来ています。
10年ほど前に手に入れたものですが、
このシリーズが発売されたのは1993年ですから20年近く前。
けれどまったく陳腐化してません。

自宅でほとんど料理も作らないし、たまにシャンパングラスか
ワイングラスを出し入れする程度なのでまだ綺麗です。
あんまり実用的な食器は入ってませんね。
飾り棚みたいになってますが、もともと食器が少ないので
最低限の食器はキッチンの収納の中に納まってます。


















背板もフロストガラスなので壁際に
ブラックライトをセットしています。

ご存知のようにブラックライトは蛍光色に
反応しますから、写真のように美しく輝くわけです。
気分がノッた時はJAZZを聴きながら
部屋の照明を全部落とし、カーテンを全開にして
街の夜景を見ながらウイスキーを飲んだりします。
そういう時は一人でボーっとしてるのがいいんです。


















オレンジ色に輝いているのは「アレッシ」の
アイスクリーム用カップらしい。
大きいカップなので1~2度しか使ったことがない。

妖しくブルーに光る食器棚、美しくないですか?
秋の夜長、たまにはそんなことしてもいいかな。

2012年10月6日土曜日

思いの結晶



週末と言えば大方遠距離のお客様のところへ
打合せのため出張、今日も和歌山県紀伊田辺市へ
朝から出かけて先程戻ってきたばかり。
明日は名古屋で打合せ。明後日は。。。。。

それ以外の週末はじっくり時間が取れるので
住宅の模型作りや集合住宅のCG制作に励む。
作っていて楽しいし、頭の中に思い描いていたカタチを
自分の手で具体的な形を表現でき、
修正箇所を発見してすぐに図面にフィードバックできます。
この一年間でどれだけ模型を作ったか調べてみた。

パティオのあるジュエリーハウス














四世代家族の家














記憶の家














抱きしめられる家














碇を下ろしたフロートハウス














山城の民家














眺めを楽しむ家














風景を作る家














メタセコイアの家














ゆらぎの情景


けっこう作ってますね。
それぞれに明確なコンセプトがあるのでみな異なった
カタチになってます。(当たり前か。。。。)

中にはコンペ応募作品で残念ながら受注出来ず、
計画だけで終わったものもありますが、
おおかた完成したかまだ設計中の建物です。

少年の頃からプラモデルを作るのが好きだったので
こんな仕事は苦にはなりませんが、もっと時間が欲しい!
建築は楽しいですね。歳を取る時間がありません。。。

2012年10月2日火曜日

人生の転機



友人の一人が勤めてた会社を辞めたというので
一度ご飯でも食べようということになり
久しぶりに淀屋橋「芝川ビル」地階にある
ベトナム料理店「RIVE  GAUCHE」へ伺った。

ここは「パリにあるベトナム料理店」とちょっとひねった
解釈をしたお店。
オーナーのこだわりですね。だからこの建物を選んだ。。














写真は芝川ビル公式サイトから転写

なんとも趣のある由緒正しいこのビル、昭和2年竣工。
地下のお店の中にも当時花嫁学校だった時代の
面影を残すタイル貼りの水槽が店内中ほどに
そのまま置かれてます。


















以前は靭公園のブランジェリータケウチの並びに
お店があってこちらは支店みたいな感じだったのですが
今はこのお店だけになってしまいました。

靭公園に面してたお店はベトナムのホーチミンに
そのままあってもおかしくない程、ベトナムっぽい
いい感じだったんですがねえ。
余談ですがホーチミンは街路樹にジャカランダという
樹木が植えてあり、歩道を歩くとこのジャカランダの小さな葉が
雪が舞うようにはらはらと落ちてきて、風情があり
とても美しかったんですが。。

友人はベトナム料理はあまり食べた事がないというので、
オーソドックスに「ゴイクン 生春巻き」から「揚げ春巻き」と
あれやこれや話しながらパクついてました。
























































コーンと玉葱のベトナム風スープや蟹と春雨の炒め物などを
オーダーして〆はやはり「フォー」ですね。
今夜は「フォーボー」牛肉入り麺です。














久しぶりに食べたら美味しい。
何年か前にハノイに行ってから、ベトナムは訪ねてないので
久しぶりに行きたくなりました。
彼の地では地元の人と一緒に朝の出勤時、
銭湯の椅子のような地べたに近い椅子に座り
パクついた思い出があります。

楽天家の友人のおかげで、いつものようにワイワイ言いながら
美味しく食べたので、食は満足したのですが、彼の本音の部分は聞き忘れてしまいました。

これから上手く世の中を渡ってくれるといいのですが。。。
まあ、縁が切れるわけではないし、美味しいもの食べたくなったら
連絡しますと言ってたから大丈夫でしょう!




























最後に緑豆入りのココナッツダンゴと蓮茶を頼んで閉店まで
四方山話で終始しました。

結局、彼とはまた今月末に食事をすることなりました。