2013年9月30日月曜日

水了軒の八角弁当



週末のほとんどは大阪を離れ、新幹線や、特急電車で
打合せのために出かけております。

昨日の日曜日は「Linea  Parallela」の設計契約と打合せのため
サンダーバードに乗り込んで敦賀へ。

しかし、くろしお号とサンダーバード、どうしてこれほど車両に差があるのでしょう!
「くろしお」も最近は新型車両が導入され(といっても途中駅の白浜までですが)
乗り心地は多少よくなりましたが、北陸方面へ向かう特急電車の乗り心地のよいこと。
車内もきれいでそれにスピード感もあり、発車本数もはるかに多い。。。。

いやいや、本日は南紀へ走る電車がかわいそうという話題ではないのです。
「駅弁」 の話です。

水了軒の「八角弁当」ってご存知ですか?
実をいうと僕は30年ほど前から、この「八角弁当」のファンなんです。














昼食を電車の中で食べる時間に移動する際は必ずこれです。
お弁当のふたに書いてある「老舗の味を今に継ぐ大阪割烹弁当」
この言葉「しびれますねえ」 
割烹弁当ですよ!
ふたを開けるとこんな感じです。
どこがそんなにいいの?と思われる方も多いかもしれませんが、
よく見ると揚げ物が少ないんですよ!わかりますか?

揚げてあるのは「茄子のあげびたし」くらいで
あとは煮物がメイン、煮魚、烏賊の雲丹焼き、ソラマメを茹でたもの
白いんげんの蜜煮、出し巻き、薄く味付けされた里芋などが献立です。
昔はこれにアナゴの八幡巻きやごぼうとこんにゃくのピリ辛煮なんてのも
入ってたんですが、いつの間にか無くなってしまいました。
最近のものは「復刻版 八角弁当」だそうですが。
 「大根なます」なんかクコの実があしらわれています。
全部食べて最後にデザート代わりの白いんげんの蜜煮を
頂くのがいいんです!

近頃は駅の売店には売ってなくて、偶然見つけた梅田大丸の
食品売り場で電車に乗る前に買い求めています。
時々スタッフのお昼ご飯用に買って帰ったりします。
お一つ如何ですか? ちょっと高めの@1100円です。。。







2013年9月28日土曜日

軍艦島(端島)
















今夏、台風通過後の軍艦島

長崎市の郊外、野母半島(長崎半島)の先端近く、
脇岬から北へ4~5キロの海上に浮かぶ小さな島です。
石炭を掘るために岩礁の上に作られた人工の島ですが
廃墟となってしまったこの島はこのところ世界遺産登録や
建築の世界で色々話題になっています。

この島は私が大学進学のため長崎を離れて3年ほどして鉱山が閉山となり、
すべての島民が島を離れ無人島になってしまいました。

高校や大学の頃、夏になると長崎の街から海岸沿いに
半島の突端にある野母崎町まで友人達とバスや車に乗り
海水浴によく出かけました。
その折、峠を越えたあたりからこの島影が見えてきます。
野母崎に到着するまでずっと右手に見えているのですが、
いつも特別な存在としてずっと見つめていることが多かった。
手の届きそうな距離にあるその島は近くて遠い島でした。

高校生の頃、軍艦島(端島)から進学や甲子園を目指して
下宿している同窓生もいました。
当時在校していた海星高校は野球の名門で、よく甲子園に出場してました。
しかし、ほとんど平地の無い島で、ちょっと油断すると
ボールがすぐ海へ落ちてしまうそうで、野球をやること自体大変だったようです。

「一回、島に遊びに来んね、軍艦島も面白かよ!」と誘ってくれた友人もいました。
長崎は離島が多いのに、僕は船で離島に渡った経験がほとんどありませんでした。
五島や平戸など島に住んでる親戚がほとんどいなかったこともあり、
船はいつも眺めるだけのものであり、大波止や大浦の桟橋から出航する
離島行きの船を羨望のまなざしでいつまでも見ていたような記憶があります。

一度だけもう少し北の方の島で同じ石炭を採掘している松島という島へ
父親と渡ったことがあります。
港へ近づくと岸壁にたくさんの石炭が山積みされ、海は石炭の滓でしょうか
黒く濁り、見慣れない重機が走り廻っていました。
そのような光景を見て何か異次元の世界に来たような印象を受けました。

ある意味、軍艦島も高層のアパートが建ち並び、異空間のように思えて
島へ渡るという行為に怯んだのかもしれません。

今にして思えば「残念な事をしたな」と後悔しています。
建築世界に身をおくことになって、世界一過密都市であった軍艦島の生活や
コミュニティがどのようなっものであったのか、肌で感じる機会を逃してしまいました。

でも故郷が無くなってしまった同窓生達はどんな思いでいるのだろうか。。。。
最近は見学のために軍艦島へ渡る事ができるようになったようですが。。






2013年9月26日木曜日

定例会議




昨日は施工会社事務所で「眺めを楽しむ家」の第1回定例会議がありました。

お施主様と設計者は常々打合せをしておりますが、
施工者を交えての具体的な内容の打合せは今回が初めてです。














細かい決め事はこれからたくさん出てきますが、
本日はサッシの色、ユニットバスのパーツ確認、
上棟式の日程などをお話させて頂きました。

現場は配筋まで終わり、これからコンクリート打設、
養生期間をおいて棟あげへと進んでいきます。














配筋が終わった基礎廻り。
芦屋市旭ヶ丘にあるひな壇状の敷地なので眺望は抜群!
2階にリビングダイニング、展望浴室、3階に展望デッキ付き書斎がありますが
写真でわかるように南側リビングからでも大阪湾が一望できる
羨ましいお住まいです。

この計画はインターネットコンペで私どもを選んでいただき、
それから二年間かけてプランを進めてきました。
10月中旬、待ちに待った上棟を迎えます。

新居での新しい生活が始まる頃、小川を挟んで隣接する
桜並木が満開になるはずです。。。
Tさん楽しみですねえ!

2013年9月23日月曜日

床下排気のキッチン



昨日は「セカンドハウス」のクライアントご夫妻と
堺筋本町にある、輸入キッチンのショールームで打合せ。
キッチンサイズが3m×1.4mと一般的なキッチンから比べるとかなり巨大!
非日常的な空間で、ゲストを招いての食事会などをメインに考えておられるので
キッチンスタジアム的な生活感のない空間構成で、モダンな庭を見ながら
食事やお酒が楽しめるスペースとして計画中です。

そのキッチンで一番問題になったのがレンジフード。
リビングダイニングスペースのほぼ中央にキッチンを置くため
レンジフードが目障りになってしまいます。
そこで、天井吊りのフードを止めて、
イタリア製の電動リフトタイプの床下排気フードを採用することを提案しました。

ただイメージが涌かないとのことでしたので、
たまたまその日午後から撮影予定していた名古屋「抱きしめられる家」のキッチンが
特注制作した床下換気でしたので、その写真をお見せする約束をして名古屋へ。

夕刻、撮影中の現場へ到着。
ライトアップした「抱きしめられる家」はめちゃくちゃカッコよくて別嬪さんでした。

その写真は近日中にアップしますが、肝心のキッチン廻りの写真、
カメラマンが前回ロケハンに来た時に気を利かせて撮影してくれてました。
それが下の写真です。オーダーキッチンは「モデーロ」というメーカーのもの。
実際にこのままの雰囲気で生活されていらっしゃるOさんご夫妻。
とてもスタイリッシュです。


























建築家が設計する住まいに身を任せて生活してみたいと仰った
生活感のない「抱きしめられる家」も美しい仕上がりですが、
設計を依頼された方々に満足して頂けるのが一番です。

2013年9月21日土曜日

和菓子づくし



新宮市「碇を下ろしたフロートハウス」は
竣工検査済証の発行も終わり、
引越しを前に施工会社主催の食事会がありました。
食事会の後、施主ご夫妻と私3人で照明器具が取り付けられた
新しい住まいを見に行きました。
建物は自分でいうのも変なんですが、本当に「凛」と佇んでいて
廻りの建物とまったく違う雰囲気を醸し出しています。
最終的にカメラマンによる撮影がありますが、
入居が終わってから撮ろうと思ってます。

次の日お昼に敦賀「Linea Parallela 」のお施主様と
大阪本町にあるキッチンショールームで待ち合わせしていたため
翌朝、6時46分のくろしお号で大阪へ戻らないなければならず、
夜更かしをしないで早めに就寝する事にしました。

朝、駅へ行ってみると早朝にもかかわらず、
奥様が見送りに来られてました。
その時頂いたお土産がこれです。



















赤い札読み方がまったくわかりません。。














黄色のパッケージは栗饅頭をもうちょっとモダンにした感じ。














ホーチミンで買った美しいベトナム漆器に
お鴉さまという餅粉ときな粉を使ったお菓子を盛り付けてみました。
どれも 素朴な味でとても美味しかった。。。
Mさんいつもありがとうございます。

「詣で餅」という麦焦がしの入った素朴なお菓子があるのですが
同じ和菓子店で作られているお菓子の詰め合わせです。

大阪へ戻ると「Linea parallela」の奥様から
箕面の銘菓 かむろ「黒糖菓凛糖」を頂きました。
もともと豊中市のご出身で、前日にわざわざ買い求めに行って頂いたようです。
これも北摂では有名なかりんとう。





























友人の陶芸家「ウメサオ マヤオ」氏の大皿の上にもう一枚
バリ島「ジェンガラケラミック」の赤皿を載せ菓凛糖を並べてみました。
かむろは「みたらしだんご」も有名ですが、これも美味しいですね。。

以前に書いた「新築3兄弟」の次男、三男のお住まいというわけですが
次男までが完成し、これから三男になる敦賀でのお住まいの実施設計がスタートします。

明日は「セカンドハウス」の打合せのあと、天候が悪くのびのびになっていた
名古屋の長男「抱きしめられる家」の撮影に立ち会います。

2013年9月17日火曜日

完成下検査




台風、大変でしたね。
関西でも色々な被害が出て心が痛みます。

私はこれからプランを考える方との打合せと完成前の下検査に
新宮へ出かけておりました。
帰りは電車が動かず、もう1泊しないとダメかなと思っていたのですが
夕方から電車が動き出し、結局名古屋回りで深夜自宅に戻って来ました。

不謹慎かも知れませんが、設計者として暴風雨がどのように激しいのか
確認する必要があると思っているのですが、今回は激しい時間帯が深夜から
明け方だったため、まったく気が付かないで終わってしまいました。

「碇を下ろしたフロートハウス」は建物本体はほぼ完成し、
外構工事を残すのみとなりました。
今回、内装の仕上げ検査を含め、施主のMさんと確認作業を行いました。





























現場にはお母様もお見えになりましたが、「少ない予算の中
無理をたくさん言ったのではないでしょうか?」と心配されてましたが
大丈夫ですよ。。無理はしておりません。。
それから「小さいときから頑張り屋さんで、何でも一生懸命やる子です」と
仰いました。詳しくはここで書けませんが、幼い頃ある事情で少し
不具合を抱えられたそうですが、その時からもの凄く頑張るように
なられたそうです。

その頑張りがこの建物を作るきっかけになったと思いますし、
僕もご夫婦の直向さを充分理解して、それに負けないよう
必死で設計をしました。
ご夫婦の純粋な心が周りの人たちを衝き動かしているのだと思います。

Mさんご夫妻と僕は施主と設計者の一定の距離をおいた
関係ではないかも知れません。

どちらかといえば、肉親のような心底「ハート」で繋がった関係かも知れません。
必要な利益を得るというビジネスにはならない関係です。
でも私のアトリエは「一生懸命尽くすこと」が基本ですから
お金には換えられない人と人との絆を対価として頂きました。
それが一番大事で大切なモノだと信じてます。

この建物にはMさんご夫妻には内緒でいくつかの「遊び」を仕掛けました。

































玄関ホール、階段室を光が遊びまわる光景です。
朝早くから午後の3時くらいまで、色々な光が建物に侵入して
数々のシルエットを作ります。
一日見てても飽きない光景です。

名古屋の「抱きしめられる家」、悪天候で撮影が伸び伸びになってました。
今度の日曜日にはようやく撮影出来そうです。
完成してからまだ僕もお邪魔していませんので、撮影の際にはなんとか
時間を作って伺いたいと思っております。
ライトアップが見たいので夕方から伺おうかな。。。。。
Oさん宜しくお願いします。

2013年9月12日木曜日

削り節

















ある料理屋さんで削り節をふりかけた一品が出た。

焼き茄子の上にはらりと乗せられた削り節に目がいった。
見た事も無い雪のような削り節だった。
小鉢を顔に近づけると、息で飛び散ってしまうほど
繊細で美しい色と艶をしていた。
あまりにも美味しそうだったので、
これをご飯の上に乗せて食べてみたいと言うと
店主は土鍋の炊き立てご飯の上にたっぷりと乗せてくれた。

息で吹き飛ばないようにそっと口に運んだ。

白いご飯と何の味付けもしていない削り節だけなのに、
何ともいえない甘みと旨みが口いっぱいに広がった。

なんでこんなに美味しいの?と店主に聞いてみた。
そうすると店の奥から2種類の薄い紙箱を持ってきた。

中を開けると違う削り節が入っていた。
2種類を小皿に取り分け匂いを嗅いで口に入れてみて下さいという。

同じ時間に削った1本の鰹節なのにまったく違う匂いがする。
少し黄色がかった方は魚の生臭みと雑味があった。
薄いピンクがかった方は仄かな旨みの香りしかしない。













(西天満「松弥」にて)

何が違うのだろうか。。。。1本の同じ鰹節なのに。

黄色みのある方はよく見かける削り節の色。
でもこれは返品なんだそうだ。
自分の店ではこれは使えないと持ってきた業者さんに言うと
慌てて薄いピンクのものを「自分の店の削り節はこれです」と
社長が持って来たそうだ。

黄身がかった方は削り方が粗いので酸化しているのだそうだ。
確かに薄いピンクのもは肌理が細かく、
シルクのような艶と滑らかさがあった。

店主曰く、削り節は本当はガラスで削るのが一番いいそうだ。
切り口がシャープで鉋の鉄の匂いがつかず、そして酸化しにくいんだそうです。
鰹節一つにしてもそれだけの拘りや思いがあるのですね。

小さい頃、夕食前に必ず母親から鰹節を削りなさいと
四角い木箱と薄い透き通ったルビー色の鰹節を渡された。
あれは嫌々ながら削った鰹節だから、本当は美味しくなかったんだろうな。

ある時、京都の料理屋さんで、伊勢神宮に献上された鰹節を払い下げられ
賜ったものを料理として出されたことがあった。
びっくりするような香りと色艶そして旨みがあった。

そのことを店主に話すと「山口さんそれは最高の鰹節ですよ」と言われた。

私も含め物作りの職人は自分の前にあるものと、
真剣に向き合わないだめですね。





2013年9月9日月曜日

京都、地鎮祭に思う





















昨日は「新しい京都時間の佇まい」の地鎮祭でした。

生憎の雨空でしたが、地鎮祭に雨空というのは
僕の場合、意外と多くてあまり気になるものでもありません。
大抵が、地鎮祭が始まる頃降っていた雨も
祭事が進むうちに止み、次第に晴れ間も見えてくるのです。

本当に不思議なんですが、昨日の地鎮祭も終わる頃には
いつものように光が差してきました。

大将軍神社の神主さんの素晴らしいご祈祷のおかげでしょうか。。。。

京都には都をを守るために四方の要所にこの大将軍神社があるそうです。

一番興味深かったのは写真の鎮め物。
五行思想というのでしょうか、中央の黄色い鎮め物を守るために
周囲の四つの方向(東西南北)にお守りを一緒に鎮めます。

五行思想などは難しくてとてもここでは書けませんが、古代中国に端を発する
自然哲学の思想で、万物は木・火・土・金・水の5種類からなるという思想だそうです。
「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という
考えだそうです。

基本的には風水も含め方位、季節、成長などそれぞれに色や守り神があります。

例えば、方位(東西南北)ですが、東は青(緑)、西は白、南は赤(朱)、北は黒(玄)
これは季節にも置き換えられ 東(青春) 西(白秋) 南(朱夏) 北(玄冬)

また守り神というのでしょうか 東・青春・青龍  西・白秋・白虎 南・朱夏・朱雀 
北・玄冬・玄武。。。。古くから色々なものに応用されていたようです。

中央の黄色の鎮め物は何にあたるのか。。。
五行では黄色はやはり中心というか、方位で4つの方角の中央にあたり、
四季では季節の変わり目、土用になるそうです。
黄色は土にあたり万物を育成・保護する性質を表わし、
季節の変わり目の象徴だそうです。

すみません、これ書き出したらキリが無いくらい色々なことに応用されていて
さすがに千年の歴史を持つ京都ならではの、納得がいく答えになるのですが
この場所にお住まいになられてた、お母様のお話に合致するところが多々あり
あらためて京都という土地柄を、再考しないといけないなあと感じた次第です。


2013年9月6日金曜日

全貌が見えた「碇を下ろしたフロートハウス」




















「碇を下ろしたフロートハウス」の足場がやっと外れました。

内装仕上げや外構工事は終わっていませんが、
神倉山に向かって一文字に並んだ窓が印象的です。

ご商売をなさってる施主のMさんからは、
お店のお客様がこの家の進捗状況を、
買い物ついでに色々教えて下さるそうで
足場が外れてからは、「カッコいいね!」「お店みたい!」
「見所は2階の出っ張りでしょ?」などなど。。。。
それぞれの感想を仰るらしい。。。

しかし、みなさん施主以上にこの建物のことをご存知で。。。。
新宮市ではあまり見かけない建物デザインかもしれませんね。

すべてが完成するまでにはあと1ヶ月ほどかかりそうですが
その間、日々変化していく建物のプロセスを楽しんでください。

一方、芦屋の「眺めを楽しむ家」は基礎工事の最中。
来月早々には上棟を迎えます。
これから内装の細かい打合せが始まり、僕の出番が増えそうです。

そして「眺めを楽しむ家」のお施主様とお知り合いの
京都市左京区「新しい京都時間の佇まい」ではこの週末地鎮祭です。
その日「抱きしめられる家」ではカメラマンによる撮影を予定しているので
午後から名古屋へ向かいます。

毎週末は大阪を離れどこかに出かけてることが多いですが
体調に気をつけて健康を維持しないと。。。。

2013年9月3日火曜日

旅亭 半水盧 (はんずいりょ)








数奇屋の建物を書いた一冊の本がある。

25年ほど前、長崎・雲仙に建てられた旅館で、
バブル絶頂期に贅の極みを尽くし、
京都から数奇屋大工50人を集めて作られたそうだ。

六千坪の敷地に離れが14棟。
離れといっても1棟が30~40坪くらいあるので
これはもう立派な住まいです。

島原にある祖母の実家の墓参りで雲仙を通る度、
国道に面して長い土塀の奥が気になって仕方なかった。
看板らしいものもほとんどなく、何だろうと思う間に通り過ぎてしまう。
温泉にありがちな旅館の風情はまったくなく、
どちらかと言えば一般人を拒絶しているように思える佇まい。

ある時、「和風建築のデザイン」という本に巡り合った。
本をめくると、ずっと気になっていた雲仙の、あの土塀の向こうに広がる
光景が1棟、1棟隅々まで掲載されていた。
その時から、いつかチャンスがあったら数奇屋の勉強と
「最高のおもてなし」とはどのようなものか経験したいと思ってました。

完成したばかりの頃の写真には、木立はまだ密生しておらず
造成したばかりの何か人工的なものばかりが写っていたが、
25年を過ぎた今、鬱蒼とした木々は自然のままの姿となって
訪れる人々に安らぎと、森がこんなにも美しいものなのだということを
再発見させてくれる。

広大な敷地内を散策することよりも部屋の窓辺に寄りかかり、
日がな一日、森を見ているだけで充分に、この場所にいる事の
幸福感を感じさせてくれる。
鳥達のさえずり、せせらぎの音、木立のざわめき以外、
何の雑音も聞こえない。

台風が熱帯低気圧に変わったばかりの、嵐のような日であったけれど
窓の向こうを霧が流れ、空は数秒単位で変化したが、
それがとても心地よかった。

じっと見ていて飽きない風景がこんなにも人を豊かにしてくれるということを
知っただけでも充分に勉強させて頂きました。
これが本当に「最高のおもてなし」なのでしょう。




2013年9月2日月曜日

盂蘭盆会(うらぼんえ)






休養のつもりで、週末長崎に帰っていたのですが、
台風直撃!昨年同時期、中学の同窓会で戻ったときも台風が。。。

どこかへ旅すると何かあるのが僕の定めかも知れません。。。。

それはさておいて今回帰ったのはリラックスするため、
いくつか楽しいことを用意してました。

その一つが9月1日~3日の間に行われる「盂蘭盆会」
日本在住の華僑の方が旧盆に長崎の「崇福寺」に集まり
先祖供養をされる儀式です。

小さい頃から当たり前のように思っていたこの盂蘭盆会も
故郷を離れると何か懐かしい出来事の一つとして記憶されてました。
今回は時間の都合上、最後の日に行くことは出来ませんでした。
でも子豚の丸焼きやあまり見慣れない料理がカラフルな線香と共に
並べられた光景は、僕の原風景でもあります。

今回は初日ということもあり、ご先祖様をお迎えする読経が流れ
金箔、銀箔を使った中国風のお供えの飾りつけの真っ最中。

けれど竜宮城に似た崇福寺の山門をくぐると、もうそこは別世界です。
お参りに来られる方もみな華僑の方。
長崎はある意味「香港」に似ているなあと若い頃から思っていましたが
まさにその通りです。
写真をたくさん撮ってあるのですが、ブログの調子が悪くアップ出来ません。
ごめんなさい。。。。