2013年5月27日月曜日

Point(ポアン)



20年ほど前、江坂に「フロマージュ・カンカン」という
フランス・サボア地方のチーズを使った料理をメインにしたお店があった。
軽妙な語り口のオーナーシェフ 橋本さんの話を聞きたくて
その頃、僕も時々食べに行ってた。

そのレストランに「ポアン」の中谷シェフは働いておられた。
そしてシェフの奥様もそのお店でアルバイトをされていた。

僕が食べに行っていた頃、二人が働いていたか定かではないが
そのご夫婦は時が過ぎ「アキュイール」という、
大阪でも著名なフレンチレストランのオーナーシェフ、そしてマダムとなっていた。

昨年、「アキュイール」は惜しまれながら店を閉めた。

それから5ヶ月ほどして、新しいお店がオープンする告知を
お二人から頂いた。
オープン直後はさぞ忙しいだろうと、はやる気持ちを抑えながら
1ヶ月先の予約日を心待ちしていた。

週末、その日がやっと来たので、いつも仕事で忙しく構ってあげれない
パートナーを誘い出かけた。




























新しいお店のことは色々な方が書いておられるので、あえて書きませんが、
少なくとも老松町にあった「アキュイール」より、私のアトリエから近い。
つまり、歩いてランチを食べにいける距離になったということです。
それは打ち合わせに来られるお客様とも行きやすくなったわけです。

週末の夜、他のお客様をさしおいて、ほとんどの時間、マダムを
独り占めにしてしまい大変申し訳ないことしてしまいました。

ただ積もる話(ほとんどが他愛もない話ですが)がたくさんあり、
あっという間に時間が過ぎてしまいました。















「コンテ エクストラ」
 と題されたこの料理。
非常に洗練されているけれど、フロマージュ・カンカンのあの頃をも
彷彿させつつ、大阪の若手フレンチ料理人のトップグループを走る
中谷シェフの原点を見るような気がします。

お店の雰囲気もちょっと落ち着いていますが、ゆっくりと周りを見渡し、
それから一気に全力疾走しそうな予感がします。


2013年5月24日金曜日

碇を下ろしたフロートハウス上棟



晴天の昨日、和歌山県新宮市の「碇を下ろしたフロートハウス」は
無事上棟を迎えることが出来ました。

初めてお会いして1年半ほどの月日が流れていました。















コンセプトを作るために新宮の街をひたすら歩き回ったこと、
そしてキーワードになった「神倉神社、御燈祭り、浮島」などの地の言葉。
それがこの建物が立ち上がり、リビングダイニングに立ってみて
初めて住まいとの関係性が解き明かされる。















上棟後、施主のOさんご夫婦と僕がまずしたことは、
2階リビングに上がり神倉神社が見えるか確認することだった。
それまで基礎工事をしている間、敷地に立って神倉神社を探したそうだが
見つけられなかった、いやその微かな輪郭さえも見えなかった。
だから、2階の船の舳先をイメージした連窓に立ったとき、神倉が見えないと
コンセプトが根本から崩れ去ってしまう。

3人でメッシュシートを捲ってみると。。。。。














ありました!くっきりと社殿と「ごとびき岩」が見えます。
ここからご主人が毎年参加される御燈祭りの松明が作る
火の川が麓に向かって流れ落ちるのです。
僕はその勇壮な男祭りを奥様が台所に立って無事を祈りながら
料理を作る姿をイメージしていました。

そしてもう一つ、視線を連窓の北西に向ければ、タイトルとなっている
フロートハウスとイメージをダブらせた天然記念物の「浮島」の森が
輝く碧さで目に飛び込む。。。














住宅の向こうに新緑で覆われた「浮島」。背景には神倉山が見える。

これでちょっと安心しました。
あとは建物が仕上がってきた時にわかる仕掛けをいくつか。。。。
これは当分秘密にしておきましょう。

大阪への特急を待つ間に、Oさんご夫婦が駅まで見送りに来てくださいました。
手には大きなクーラーボックス。
お礼にとお店のお肉を用意して下さってました。
いつもいつも有難うございます。
お店の「メンチカツや揚げたてコロッケ」がこれまた美味しいんです。














秋になると、先日お邪魔した牛舎で育った牛達の素晴らしいお肉が
お店に並びます。こちらのお肉は飼育契約されている農家の牛肉だそうですが
松坂牛系でこれも美しいお肉に間違いないです。

大阪へ戻って事務所には行かず、思わず西天満「松弥」さんに
持ち込みました。。。店主の中井さんの顔がニタリと。。。。。
Oさんご夫妻、お父さん、お母さんいつも済みません。本当に。。。

紀伊勝浦駅のすぐ傍にある建物に絡まって咲いているの
ブーゲンビリアでしょうかね?
毎回通る度、気になっているんですが。。。。

2013年5月21日火曜日

美しく装うために



仕事は常に1物件ではなく、
同時進行しながら異なるプロジェクトが動いている。

僕は全体を見ながら進み具合や、自分のイメージしている空間が
プロジェクトごとにきちんと遂行されているかチェックをしている。

いつもは頭の中にプロジェクトごとのCAD図面を開いて、
それぞれのイメージで図面を描いていて、必要な時は
実際にパソコンのマウスを動かして図面を描きます。

本日は図面とは違うけれど、頭の中に描いた集合住宅の外観の
イメージを具体的に作る作業をしている。














周りにあるのはイメージからピックアップしたカラーチャート。
「モザイク」をテーマにしているので、
複雑な色彩を外部に描き出すことを考えている。
まだまだ時間がかかる仕事なので、頭の中を時々リセットしながら
進めています。

料理人もある意味そんな色彩デザインを皿の上に表現している。
僕が大好きな北浜のライオン橋のたもとにある「ユニッソン・デ・クール」
阪本シェフはまだ若いけど素晴らしいセンスと感性、そして味覚の持主。

彼は絵描きが白いカンバスに絵を描くのと同じように白い皿しか使わない。
一度彼と京都「緒方」で食事をしたのだが、その時、器の話になって
「白い皿はごまかしが通用しない、すべて白い皿で勝負するのは
本当の料理の美しさや美味しさ、そして彩の妙味を見て欲しいから」と
僕に話してくれたことがあるが、訪れるたびそのことを思い出しながら
食事をしている。















淡路サワラのシャリモー キウイとハーブのグラサージュ














ミディ白アスペルジュのデクリネゾン


















小松島苺のフレジュ

クライアントの皆様には機会を作って彼の料理を食べていただいているが
まだまだ通わないといけないようだ。

HPが新しくなって料理写真も載っているから見てね!と彼がいうので
アドレスを書いておきます。気になる方はどうぞ!
www.unisson-musee.com

2013年5月18日土曜日

屋根を考える



打ち合わせが終わった後、クライアントのOさんのお宅で、
初めて出会った頃の経緯や建築に対する思いなどを長々話し込んでしまった。

住宅のインターネットコンペで私を設計者に選んで下さった
Оさんご夫妻はまだ30代前半の知的なカップルです。
住まいに対する自分達の思いも人一倍強いけど、
でも僕の話にもよく耳を傾けてくれる。。。というか
ほとんど僕が機関銃のようにしゃべってる。
今日は住まいのデザインに出来るだけ手を加えないで、
美しく存在感のある住まいをつくるにはどうしたらいいだろう?
という話題で盛り上がった(僕一人!?)。。。

新宮市の「ゆらぎの情景」のお住まいもそうなんですが
このところ、シンプルなガルバリウム鋼板の片流れ屋根もいいのですが
重なり合う屋根にちょっと興味をそそられています。
日本的な多重屋根や勾配屋根が重なり合うのもいいかなあと
思ったりしてます。雨仕舞いが大変だけど。。。





























チタン合金の屋根と「観月台」のある家、庇の長さが1.5mほどあります。
イラストレーションボードを使って屋根のシャープさを効果的に演出してます。

チタン合金はこれから始まる新しい集合住宅にも使ってみたいなあと
考えてます。

2013年5月15日水曜日

パワーを頂く!



週末から週始めにかけて新宮へ出かけておりました。

工事中、これから工事開始、計画中と3つのプロジェクトがあり、
監理担当スタッフと一緒に打ち合わせに始終しました。
でもちょっと時間を見つけて熊野本宮へ工事の安全祈願に行ってきました。
新宮市内から車で4~50分くらいでしょうか。
行きたくてずっと気になっていたのでやっと安心しました。














夜は施主の一人、「ゆらぎの情景」Uさんご夫妻がどうしても
食べてもらいたいと「生しらす」のある料理屋さんへ連れて行って
くださいました。















魚群(なぐら)というお店ですが、路地の奥の住宅地の中にポツンとあります。
中へ入ってみると本当に普通の民家のよう。。。。
けれど地元の方達でいっぱいです。
下の写真が「生しらす」です。これにハマリました。














お醤油も何も必要ないです。水揚げされた時の海水だけで食べると
本当に美味しい!結構な量でしたがあっという間に食べてしまいました。
それから「カツオの刺身」、程よい酸味と香りが素晴らしかった。
「けんけんカツオ」とか「もちカツオ」とか言うんでしょうけど、お造りに
こんなに余韻があるとは思わなかった。
シビマグロもブリも普段口にするものとはまったく違ってました。














それから、「きびなごの一夜干し」「さんまの燻製」など
お酒飲みにはたまらん一品です。




























酒が進むと言いたいところですが、あんまり飲めませんから
お茶を飲みながらということになってしまいます。。。
でもUさん、Mさんいつもいつもご馳走になって申し訳ありません。

翌日は「碇を下ろしたフロートハウス」Mさんの現場で
工務店さんと打ち合わせ。23日には上棟を予定しており、
9月完成を目指しています。














正面に世界遺産「熊野古道」の一つ神倉山を望むロケーション。
リビングは2階にありますから、より一層眺望できると思います。

しかし、新宮は暑い!もう夏です。陽射しが南九州の宮崎や鹿児島と
変りません。
ブーゲンビリアも咲いてますし、空気が澄んでいるので光が眩しいです。
これから工事のために、この街へ通わないといけません。

来週からは芦屋の「眺めを楽しむ家」の解体が始まります。
週末は京都で設計契約と敷地調査、日曜日は名古屋の「抱きしめられる家」の
打ち合わせ。こちらも8月には完成します。
それを待っていたかのようにいくつかのプロジェクトが着工します。

有難いことですが、いつになったら僕は休めるんだろう!?

2013年5月7日火曜日

「新たな京都時間の佇まい」



昨年からお話を頂きずっと計画を温めてきた京都市左京区のN邸。
今月下旬、設計契約をする事になりました。

昨年の晩秋「ノムラモミジ」というタイトルでブログに書いたお住まいです。


















紅葉が盛りを過ぎたある日、計画地にある既存のお住まいを拝見させて頂いた。
そこにはこの家が守り続けなければならない「しきたり」や、比叡の山から吹き寄せる
気の流れ、時間の経過を刻む鞍馬石たち、美しく艶やかに佇む真紅に紅葉した
ノムラモミジ、大工の手仕事の痕跡など、凝縮された「京都時間」がそこかしこに
存在していた。
私にはそのような伝統や歴史、風習などをありのまま引き継いで、住まいを作ることは
経験不足で不可能に思えた。けれど「一つ一つの際立つ気配」を感ずることは出来る。
それぞれの存在と対話し明確な答えを導き出しながら、新しい居場所を作り出すことは
出来るかもしれない。
そこにある見渡す風景は錦絵のように一見「あでやか」だが、それぞれの気配は静かで
声高に主張せず、こちらの力量が試されているようにも見える。

いっそのこと「空間」はあれこれ手を加えず、シンプルに色をつけないでおこう。
生活感を消し去り、歴史や伝統に立ちはだかるのではなく「柳に風」、飄々と
それぞれに現代的解釈をしてみよう。
ミニマムで色艶を消し去った空間に、歴史と存在感のある過去からの贈り物を
そっと置いてみたいと思う。
切り取った空間のそこここに、アートやオブジェのように「歴史の重み」を配置し
静かに眺め、思いを馳せる。
しかし、それらは自分達からこちらに忍び寄るのではなく、静かに、ただ静かに
歴史を刻み続ける。

現代的な解釈で得た組み合わせや素材、余分なものを削ぎ取った空間に
光、歴史や伝統といった時間の経過が重なり合うことで「新たな京都時間の空間」を
作り出してくれるのではないだろうか。(設計コンセプトより抜粋)


























CG制作 STUDIO CURANZIO










2013年5月4日土曜日

カカオ サンパカ



ゴールデンウイークも休日はありません。
でも嫌々ながら仕事をしてるわけではないのです。
むしろ楽しんでいるかも知れない。

静かな、誰も居ないアトリエが好きなんでしょう!きっと!多分ね。。。。

アトリエは現在10件ほどのプロジェクトを抱えてますが、
忙しいという神経が麻痺してて、でも限りなく集中していて
頭の中がとてもクリアです。
一種のトランス状態でしょうか。。。。

身体に栄養を注入することもとても大事ですが、
それ以上に頭に糖分を補給してあげることが一番です。

ということで、今日は梅田大丸にある「カカオサンパカ」の
「Rajoles」という板チョコをかじりながら仕事に励んでます。





























以前はハービス・エントにある[パレ・オ・ドール」のチョコレートが
「お持たせ」にも、食べるのも多かったのですが、
最近はここ「CACAO SAMPAKA」のチョコレートを「お持たせ」に
することが多くなりました。
スペイン王室御用達のチョコレートショップです。














本日いただいておりますのは、下が「ロサス イ フレサス」という
ナチュラルアロマのローズを使ったバラとストロベリーのホワイトチョコ。
とても上品で優雅な気分になります。
上は「ジントニック」 アルコール分が入っていませんが、
西洋杜松(ねず)の香りと酸味が刺激的なラジョラスです。

それにお客様から頂いた「ハワイ・コナ」コーヒーを合わせてます。

余談ですが、お店のランチセットに付いてるホットサンド、
これがまた、僕好みの絶品の味!複雑な味ですがとても美味しい。
写真撮るの忘れたので、よかったらお店で現物を味わって下さい。

お店のスタッフの対応も爽やかで気持ちがいい。

当分、お持たせのトップになりそうです。。。。

さてさて、休憩はこの辺りでお終い。仕事に励みましょう!



2013年5月1日水曜日

5月です!スタッフ募集!



今日から5月になりましたね。
アトリエのすぐ北側の国道2号線では「メーデーの行進」が続いてました。

さわやかな季節です。そして一番好きな季節です。
仕事のモチベーションもドンドン上がって行きます。

           ところで!

スタジオ クランツォではスタッフ(アルバイト可)を募集しております。

住宅や集合住宅、ビルなどの意匠設計を習得したい、
インテリアデザイン、店舗デザインの可能性を追求したいなど
建築設計、デザインに興味のある方を求めています。

チャレンジしてみたい方は下記アドレスへご連絡下さい。
archi@studiocuranzio,com     担当 山口

同時にオープンディスクの学生も募集しておりますので
大学3回生、専門学校2回生以上の方で設計に興味があり
なんでも勉強してみようという意欲的な学生の方ご連絡下さい。






































こちらは完成したばかりの松が枝町プライマリーワン、
「1/Fゆらぎ」をテーマに溶融亜鉛メッキリン酸処理パネル、
光と影を追求した単身者向け賃貸集合住宅です。

この建物から数百メートル離れた場所で
新たに集合住宅プロジェクトもスタートします。

住宅のプロジェクト色々進んでます!