2014年7月30日水曜日

美しい小窓



昨日は新宮「ゆらぎの情景」の中間検査でした。

何事も無く検査は終了しました。
市街地から少し離れた高台にあるこのお住まいは
涼しい風が常に建物の中を吹き抜けて
とても気持ちがよく、汗をかかずに検査終了。

コンセプトが「ゆらぎ」というくらいですから
時には強く、時には穏やかに風が抜けたり、
潮騒の音が風に乗って流れてきたり、
都会では聞いたことないような野鳥のさえずりが
響き渡ったりします。
心地よい自然のリズムに満ち溢れたお住まいです。

さて、このお住まいは色々な配置の窓から、
海や街の夜景を眺めることが出来ます。
いずれ、工事がもう少し進んでくると
海の変化を見るためのピクチャーウインドウ
そしてカウンターで朝食を食べながら、
美しい海だけが見える風景を切り取った小窓や、
大きなフェニックスの葉の間から街の灯りがチラチラする窓など
このお住まいの特徴的な部分をご紹介できると思います。

写真は窓の外に古びた足場板があるため
風景が美しく見えませんが、ピクチャーウインドウです。
本日は空気に少し湿り気があるのでちょっとガスってて
青い空、碧い海にはなってませんが。。。


















2階廊下からリビングへ降りる階段の途中まで
ちょっとづつ風景が変化していく、吹き抜けに設置された
ピクチャーウインドウ。

そのうち足場板が取り払われるので
正面に光り輝く熊野灘と雑木林が見えると思います。
嵐の日(台風)なんかすごい迫力だと思います。
木々が茂ってる辺りに熊野古道のルートがあります。

年内完成を目指して頑張ります。

2014年7月26日土曜日

夾竹桃



「LINEA PARALLELA」のお施主様から、
前庭の目隠しに植える樹木の相談を受けている。

計画地のすぐ近くの集合住宅沿いに植え込みがある。
そこに咲く赤やピンクの花が奥様のイメージに近かかったようで
「山口さんその樹木はなんという名前かご存知ですか?」と尋ねられた。

以前からそこには「夾竹桃」が植えられていることに気付いていた。
この植物は南方系の植物と思っていたので、
雪が積もる敦賀に街路樹として植えられていることが不思議に思えたのだ。

「夾竹桃という木で、僕の故郷、長崎にはたくさん植えられている木ですよ」と
お答えした。
もともと中国原産だと思っていたのだが、調べてみるとインド原産で、
中国経由で江戸時代中期に日本に入って来たようだ。
そのころ入って来たとすれば、南蛮貿易を通して長崎に入って来たということであろう。

残念ながらこの木は根・幹枝・葉・花・実まですべてに毒があり、
小さなお子様がいらっしゃるため、庭に植えることを断念せざるを得なかった。

そういえば幼い頃、この木に触るなと何度も両親から言われた記憶がある。

近所の西坂の丘にある26聖人殉教碑の周辺には夾竹桃がたくさん植えられていたし、
浦上の平和公園には生垣代わりにこの木が土手に植えられていて、
その生垣を抜けて公園に行くのが近道だったのでよく利用していた。
その枝を折るとネバネバした白い樹液が出てくるのだか、
その液を一緒に遊ぶ仲間達にくっつけようと追いかけっこをしていた。
今の親達がみたら激怒するだろうな。。

今井兼次設計 「二十六聖人殉教記念館」をバックに
赤やピンクの花をつける夾竹桃。
































騒音に近い五月蝿いクマゼミの鳴き声と、
この赤・ピンク・黄色・白などに染まる「夾竹桃」の夏の暑い日は
私の原風景の一つですが、広島では原爆投下の復興のため
市街地にいち早く植えられた植物だそうで、広島市の木になっています。

長崎でも100年は一切の植物が育たないといわれた原爆投下中心地近くに
この木は数多く植えられ、すぐに花を咲かせるようになり、
長崎市民を勇気づけたそうです。

そして、もうすぐあの暑く長い夏の日が来ます。
ヒロシマは8月6日、ナガサキは8月9日
原爆落下中心地で勤労動員として働いていて一瞬で亡くなった叔父。
その叔父を探すために疎開地から長崎に入り、
放射能汚染で白血病となった亡き祖父。。。
静かに冥福を祈りたいと思います。

紫陽花が長崎市の木になっていますが、夾竹桃も長崎を代表する樹木だと
僕は思いますし、とても好きな樹木です。
その夾竹桃が好きで庭に植えたいと仰った奥様にとても感謝しています。
「Tさん」本当に有難うございます。嬉しいです。

2014年7月21日月曜日

「Linea Parallela」上棟



昨日は敦賀市で計画を進めている「Linea Parallela」の上棟でした。

早朝は猛烈な雨で、上棟できるか不安だったそうですが、
9時前くらいに雨は止み、今度は夏の日差しが照りつけるという
移り変わりの激しい天気でした。

地表と建物を分けるグランドライン、そして
建物の屋根と空を分けるスカイライン。
その2本の線が空間の輪郭を構成しています。
まさしくリボンテープ。
なので、外壁線がとても長いのです。
外壁を長くしたのは他にも理由があるのですが、
その一つが外壁が隣地との外構工事の替わりになるように計画したこと。
敷地が広いので周囲に塀を建てるだけでも多額の費用がかかるのです。
写真は北側ですが、開口部はほとんどありません。




























広い中庭に面した南側はずらりと大きな開口部が並びます。
丁度レッカー車が駐車している手前くらいに
この住まいのシンボルツリーを植える予定です。

こちらの工事を請け負っている工務店の棟梁は
どうしても松丸太を梁に使いたいということで
5mほど飛ぶリビングダイニングには
松丸太と梁成が450㎜の材を梁に使いました。


















屋根を受ける垂木には写真のような7寸の釘を使ってます。
釘を打つ金鎚の音が気持ちよく響いてました。


















敦賀も少なくなったとはいえ、積雪もあります。
備えは万全にしないと。。。。

年末完成に向けて工事は急ピッチで進みます。
工事に携わる皆様、どうぞ事故・怪我の無いように
宜しくお願いします。





2014年7月18日金曜日

「香魚」を食す



この時期の魚といえば、海では「鱧」、川では「鮎」。

鮎の本当の美味しさを知ったのは、25~6歳の頃。
まだ会社員だった頃、赴任先の新潟県で知り合いのシェフに連れて行って貰った
県の北部、村上市近くの三面川の鮎だった。

釣りといっても友釣りなんて高尚な釣りは出来るわけがなく
糸の先に針をたくさんつけて川底を引いてくる「引っ掛け釣り」
おそらく現在は禁止の漁法だと思うが、そのころは地元の人間だということで、
なんとなく許してもらえたような気がする。

天然鮎がたくさんいる川はとても良い香りがする。
鮎は「香魚」ともいいますが、他のマス、サケ科以外の
川魚にあるような生臭さが無い。
どんな香りかご存知ですか?

「西瓜」の香りがします。
川全体がスイカの香りに包まれているといったら大袈裟かもしれないが
本当にスイカ。。。。
川底のコケの匂いなのだが、鮎は一定の大きさになると石についたコケを食む。
コケしか食べないため、鮎の体はコケ(スイカ)の香りがするのです。
獲ったばかりの鮎を河原で焼いてもらい食べたがそれは本当に美味しかった。

こちらは京都・由良川の天然鮎。綺麗に串を打たれてます。
昔の鮎の記憶ほど香りは強くないが、それでも「スイカ」の香り。
この日はお施主様の「E 」さんご夫妻と鮎を炭で焼いて食しました。




























焼上がった鮎を頭からがぶりといってください、
一口食べたら、この酒を飲んでみてくださいと
亭主から渡されたぬるめの燗をした純米吟醸「瑞冠」山廃仕込み。。。
といっても私はお猪口1杯で充分。。にわか飲兵衛になってました。
































鮎の骨酒みたいな香ばしさです。
そしてもう一つ出されたのが、鮎の「うるか」に
熟成させた鮎の卵。。下には山芋の短冊。
この「うるか」も酒飲みには堪えられんでしょうね。。
雑味のないうるかが素晴らしかったです。














この時期だけの味わいですね。。
(西天満 松弥にて)

鮎は川の鰯とも例えられるそうですが、
鱗が小さくて姿も何処となく似ているからでしょうか。。。
前日、敦賀の「Tさん」ご夫妻とランチした
ユニッソン・デ・クールの鰯のサラダ仕立ても
とても美味しかったです。
彩がよいのでアップしておきます。

2014年7月16日水曜日

「ゆらぎの情景」上棟



月曜日、和歌山県新宮市で計画していた、
「ゆらぎの情景」の上棟式でした。
計画がスタートしてまる2年以上が過ぎましたが、
やっとこの日を迎えることができました。

特にお施主様ご家族は感無量だったと思います。

新宮市でも高台にあるこの敷地は南東方向に熊野灘を望み
風向きによっては潮騒が聞こえます。
リビングやダイニング、各個室から海を眺めることが出来る
素晴らしい敷地です。














敷地内にはフェニックスの大樹が2本あり、南国ムード満点。
空も海も碧く空気も澄んでて気持ちのよい土地柄です。

リビングからは海を切り取るように開口部が設けてあり、
ごろんと横になっても太平洋を眺められます。
中庭の両サイドに船の舳先のような斜めにカットした袖壁を設置するため
海と空だけが部屋の中に飛び込んできます。


















地元の工務店のK棟梁は和歌山産の杉材に強い拘りを持っていて
この建物の梁にはこの住まいのために長く自然乾燥させた杉を使っています。
シロタとアカタのコントラストが美しい紀州杉です。














屋根の野地板もすべて紀州杉から切り出したもの。
ふんだんに使ってますね。














壁は漆喰で仕上ますが、和モダンにはしません。
ここにユーロモービルのキッチンがどのように
納まるのか楽しみです。

2階からの眺め。
毎日こんな風景が眺められるのも羨ましい。














年内完成を目指します。
怪我、事故のないようK棟梁、宜しくお願いします。

次の大安20日は敦賀で計画している
「LINEA PARALLELA」の上棟式です。

2014年7月10日木曜日

立体的な街



台風が近づく直前、長崎市へある敷地を確認するため
スタッフのSさんと出かけておりました。

プロジェクトは来年の計画なのですが、
何となく今見ておかないとアカンという私の直感が働きまして。。。
それに二人の日程がこの日しか都合がつかないということもあり。。
朝一番、7時20分の飛行機に乗り込みました。

台風の影響で飛行中はよく揺れました。
長崎も今日は雨かも知れないなあと思いつつ、
Sさんから「先ほどまで長崎は雷雨注意報が発令されてましたよ」と
言われたものの、今更諦められませんが何せ遠距離出張の時、
私は「嵐を呼ぶ男」といわれてます。
何もないわけがないじゃないですか!

長崎空港へ到着してみると以外にも雨降ってないじゃん!
覚悟してきたけど、ぜ~んぜん大丈夫。
さすが地元、「嵐を呼ぶ男」を神様も許してくれたかな。

市内の高台にある敷地に到着しても雨が降る気配まったく無し。。。
むしろ雲の間から太陽が顔を覗かせ、陽射しまで出てきた。暑いッス!

見渡せば右手には長崎駅から浦上方向、港を挟んで飽の浦・立神・稲佐山
左手には香焼から東シナ海まで見渡せる素晴らしい眺望。
それに目の前の住まいは解体中で、この敷地は道路に面していないため
新たに建築物を新築する可能性は限りなく0に近い。
つまりはもっと眺望がよくなるということです。

写真で見る以上にもっと立体的なので、
夜はハンパなく世界三大夜景が楽しめます。
でもここまでの道のりは、長崎特有の狭く急勾配の坂道。
少し登り降りするだけで息が切れます。。

具体的な住まいのイメージが湧いてきました。。。が、
少し先の話なので、頭の中で熟成させておきましょう。
熟成させておけばもっとよいものが生まれるかもしれません。

やっぱ好きだなあ、この街。。。


2014年7月8日火曜日

大扇食堂プレオープン



京都市伏見区淀で計画していたイタリアンバール「大扇食堂」が
本日プレオープンしました。
外観はイタリア産のモザイクタイルを目立つように貼り、
食欲をそそるような赤い色でファサードをまとめました。














正式なオープンはもう少し後ですが、少しずつ厨房設備に慣れていきたいと、
オーナーシェフの「Oさん」の考えで、まずはランチタイムだけオープンしました。

ジェノヴァの下町市場の傍らに存在してるようなお店にしたいということと、
この街の近所のオジちゃん・オバちゃんに気軽に来て頂ける様に
ご両親がこの地で営まれていた「大扇食堂」という名前をそのまま
このお店に引き継ぎました。
手作りのイタリア惣菜も販売します。




























このお店は客席にくらべ厨房がかなり大きいし、
設備もかなり充実しています。
お店に来ていただくことも重要なのですが、
それ以上にケータリングサービスをしたいと
シェフは考えておられるようです。

玄関ドアを開けてすぐの椅子のないカウンターはシェフズカウンター、
立ち飲みでワインに合うつまみなどを目の前で作ってもらい
シェフと言葉を交わしながら程よく酔えるスペースになってます。

昔からここにずっとあったような、ちょっとしたレトロ感も出しつつ、
エンジンを全開にするとかなりぶっ飛ぶような料理まで
自由自在です。
先日お伺いした時は、シェフが色々な種類のイタリアパンを焼かれてました。
お店の近辺にパンの焼けるいい匂いが漂ってました。

グランドオープンする際に詳しいお店の情報はお知らせします。

「大扇食堂」を宜しくお願いします。

2014年7月1日火曜日

梅雨時の夢



懸案の兵庫県産ケヤキの無垢材でダイニングテーブル、椅子、食器棚を
作る計画が、やっと本格的にスタートすることになりちょっとホッとしました。
長さ4m 巾1.2m 厚さ12cmの1枚板です。
なかなか無い素材ですが、「Tokunaga Style」の徳永順男さんによって
命を吹き込まれていきます。出来上がりが楽しみです。

ということで僕も少しストレスが無くなりました。
色々なプロジェクトがちょっとづつ進んで気分的にとても楽になりました。

年明けからずっと夢見てるバカンスが現実味を帯びてきたような気もするけど
まあ世の中そんなに甘くはないから、ちょこっとだけ現実逃避してみましょう!

まずは、フィレンツェ郊外のフィエゾーレ。
フィレンツェの街を見下ろす高台ですが、僕はこの小さな集落が大好きで
街を見下ろす小路沿いで木苺やケッパーの実を摘んだり、
乾いた風が心地よいトスカーナの夏を堪能します。












トスカーナに飽きたら、アマルフィ海岸やカプリ島なんてどうでしょうか?
あまりにもベタ過ぎますか?
けれど、やはり美しいものは美しい!海の青さも半端じゃない。
それが南イタリアですよね。。。。
今の季節、本当に最高ですよ!




























青の洞窟は素人が写真撮るのは本当に難しい。。
なかなかピントが合いません。
撮った写真の中ではまだマシな1枚。

最後は大西洋に面するポルト郊外レサの海岸に作られたアルヴァロ・シザのプール。
バンバン写真撮ってたら、おまわりさんがすっ飛んで来て、
「こんなところで写真撮ってたら犯罪者と思われるから、あっちへ行け!」と怒られた。
そうだよね、考えてみたら水着姿のうら若き女性!?が大勢いらっしゃる。
そんな場所にカメラ向けてたら、そりゃ変態と思われても仕方ないか。。














僕的には世界的に偉大な建築家の作品を撮ってたんですがね。
最後にオチがついて日々駈けずりまわる現実に引き戻された気がしました。
当分は目の前の敵と格闘の日々でしょうね。。。